芸予要塞探索ガイド【しまなみ海道・小島】

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芸予要塞・発電所跡

芸予要塞発電所跡

探照灯跡から5分ほどで、次のスポットである「発電所跡」に到着する。赤レンガ造りの重厚な洋館。かつてはここで火力発電を行い、要塞で使用する電力をまかなっていたそうだ。よく見ると、屋根がすべて新しくトタンに葺き替えられている。人の手が入っているので、保存状態はとても良い。トタンも洋館とマッチするものを選んでおり、外観も著しく損なわれていない。発電所跡のすぐ横には島の民家もある。そんな生活の横に、これだけ歴史ある遺構が残っている場所はなかなかない。

芸予要塞発電所跡

発電所には正面に3つ入口がある。真正面が主要な部屋だと思うが、まずは右側の入口から探索。どうやら炊事室のようだ。ここで、発電所の職員が食事をつくり、食べていたのだろう。もしかすると、要塞に駐屯する兵の食事もここで作っていたのかもしれない。離島のさほど有名でない戦跡だけあって、壁などの落書きは皆無でとても保存状態がよく、遺構としては超一級品の保存状態。当時のままであろう、壁に打ち付けられた様々な金属部品に、当時はどのように使われていたのだろうと、想いを巡らせるととても楽しい。

かなり損傷しているが、かまどと洗い場があり、水道の蛇口まで設置されている。明治時代の水道かどうかはわからないが、国をあげて造られた大要塞には当時の最新の技術と設備が惜しみなく使われていたはずだ。

芸予要塞発電所跡

炊事場から発電所内部の部屋に入る。冷たく無機質な空間だが、そこに詰め込まれた歴史が否応なしに感じられる。鉄格子がはめられた窓から、柔らかな光が内部のレトロな空間に降り注ぐ。凍っていた時間が動き始めたかのような気がする。部屋の一角に、当時の物であろう金属製の部品が残っていた。錆びついてはいるが、部品としての原型は留めている。何に使っていたのかは想像はつかないが、こうやって100年前の人造物が今も放置され、そのままになっている。

芸予要塞発電所跡

発電所の主要施設と思われる部屋は2部屋ある。まずは右側の部屋。何もない部屋に、コンクリートの基礎だけがずしりと鎮座している。おそらくここに発電機を設置していたのだろう。いったいどんな機械や施設がここに備え付けられていたのだろう。かつての最新技術の跡だが、平和な世には円座にもってこいだったようだ。島人がここにゴザを持ち込んで、ここで語り合ったかのような跡が残っていた。

芸予要塞発電所跡

分厚いレンガ壁をはさんでもうひと部屋ある。ここにも何も残っておらず、壁に塗られていた漆喰が朽ちて剥がれ落ち、色あせている。とてつもない時間の流れを感じさせながら、何事もなかったように100年以上もこの部屋はここに存在している。

芸予要塞発電所跡

左側の部屋の一角に、小さな穴を見つけた。穴の内部は広い空間になっている。謎の小部屋だ。かがみこむと中に入れそうだ。猛烈な好奇心。スマホの懐中電灯を使い、ほふく前進に近い形で中に入ってみる。秘密の小部屋の内部は周りは重厚なレンガ壁に囲まれていて、窓は入口の小さな穴しかない。暖炉かと思ったが、煙突もなければ広すぎる。推測にすぎないが、おそらくここに火力発電で使う燃料を保管していたのかと思われる。万が一発火しても、小さな入口の穴をふさいで酸素の供給を立てば、それ以上の炎上を防げそうだ。

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