白猪の滝【中段への登り道】
愛媛県東温市にある「白猪の滝」は冬には全面凍結することで人気の滝。秋は紅葉、夏は水遊び、春は新緑と、美しい自然を楽しめる滝だ。新緑の季節、白猪の滝の中段へよじ登る。
国道11号線から国道494号線を10分ほど走ると、白猪の滝(しらいのたき)の駐車場に到着する。駐車場に入ると、30台ほど車が停められるスペースがある。トイレや完備されていて、白猪の滝への訪問の立派な基地である。
滝へは駐車場の奥の橋を渡り、大きな堰堤の横にある階段を登る。よく見ればこの堰堤、うり坊のレリーフがかたどられている。ここでの水量で滝の水量が判断がつく。田植えの時期は農業用水の取水で水が少なくなっているが、滝の水量は大丈夫だ。
勾配のきつい林道を15分ほど歩くと、駐車場にたどり着く。ここは白猪の滝の有料駐車場(300円)
体力に自信が無く、車の運転に自信がある方は、ここまで車で来るのも良い。有料駐車場からは渓流沿いに滝への歩道が続く。
新緑が美しい白猪の滝
有料駐車場から約10分。長いゆるやかな階段が現れると滝へはもうすぐ。階段を登り、谷間を左にカーブするといきなりその景色が飛び込んでくる。
『白猪の滝』
川を渡る木造の橋の上から、白猪の滝の全景が見られる。白猪の滝は落差96m、上段と下段の2段に別れている。遊歩道の奥の東屋まで行くと、滝の上段は見えなくなる
滝の下段。
これだけでも相当の高さがある。(映っている人の背丈と比べると一目瞭然)
滝の下段は幅が広く、落ちるというより降るという感じだ。白猪の滝は温暖な愛媛にありながら、冬場は凍結して氷瀑になる事で有名。厳冬期には、この岩肌は見事な氷とツララに覆われる。
滝つぼまでは容易に近づける。深い場所もなく、滝に打たれることも可能だ。滝から降り注いだ水が流れる滝つぼ付近はとても涼しい。マイナスイオン飛び交う、清涼な空間は、訪れる人を癒してくれる。
白猪の滝中段は滝に挟まれた絶景
さて、今日は滝を下から見上げただけでは終わらない。滝の上段と下段の間に登るルートがあるので、今日はこのルートで滝の中段へと向かう。滝の中段に出れば、上段の滝を間近に拝め、下段の滝を上から見下ろせるのだ。
しかし、このルートは一般にはお奨めできない。脆く急な斜面を這い上がり、断崖絶壁を横切らなければならない危険なルートだ。普段、登山に軍手を使わない僕だが、この滝の上に出るルートのためだけに今日は軍手を用意したくらいだ。装備不足や道のコンディション不良のため、滝まで僕もたどり着いたことが無いが、今日は装備もコンディションも万全。この道を整備し、ロープをかけた山仲間にルートの最終確認を行い出発する。
お奨めできないルートなので、詳細はここには記載しない。しかし用意した軍手がドロドロになり、冷や汗をかいたころ、やっと僕は安全な岩場にたどり着いた。
その岩場から、少し藪をこぐと、河原に出た。その河原こそ、前から行きたかった、白猪の滝の中段。
これが白猪の滝の上段。下段と違い、水の流れは集められ、勢い良く流れ落ちている。
白猪の滝下段の落ち口。地面がばっさりと切れていて、この下は断崖絶壁になっている。
上段から流れ落ちた水は、この棚を流れ、そして、ここから宙へと再び飛び出す。
恐る恐る断崖絶壁を覗き込む。
ひゃあ~、怖いっ。
遊歩道の行き止まりに人がいるが、豆粒のようになっている。圧倒的な高度感に足がすくむ。もう少し、滝の雰囲気を撮りたかったが、残念ながら僕の度胸ではこれが限界。
滝の上から見下ろす景色を楽しんだら、そろそろ下へ戻ろう。そう思った時、谷間にちょうど日が差し込んできた。
差し込んできた光は滝を流れ落ちる水しぶきを照らしだした。美しい水の流れが眩しく光り煌めく。思いがけずに見れた滝の美しい姿に感激する。
そしても谷間に降り注ぐ光は、下段の滝をも美しく彩った。雨のように降り注ぐ下段の滝に、見事な虹が浮かび上がった。木や岩に手をかけていないと転げ落ちそうな急斜面だが、この滝が見せる美を写真に撮らない手は無い。
足場を見つけ、木に手をかけて必死にカメラをザックから取り出す。写真を撮り終わった後は、不自然な体勢のまま、しばし滝を彩る光の芸術の鑑賞を楽しんだ。
東屋から、滝を眺められる遊歩道がある。ここを進めば、先ほど渡った橋まで滝を眺めながら歩くことができる。帰りはこの遊歩道を進み、滝の全景を楽しみながら、ここを後にしたい。
白猪の滝訪問に便利な宿
白猪の滝
場所:愛媛県東温市
交通:松山自動車道川内インターより約15分
料金:見学無料
駐車場:30台、無料(ただし林道終点駐車場は300円・約20台)
所用時間:無料駐車場より徒歩約30分、有料駐車場より徒歩約10分
【投稿時最終訪問 2013年1月】