猿島探索ガイド【横須賀・猿島要塞】

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「猿島」は東京湾に浮かぶ唯一の自然島であり、明治時代に旧日本軍が東京防衛の要とした猿島要塞が島の中で眠っています。今も残るレンガ造りの巨大な戦跡はまるで天空の城ラピュタのようと人気のスポットとなっており、海水浴や釣り、バーベキューもできることから、多くの観光客が船で渡る人気の島です。歴史的な価値のある要塞跡は歴史やレトロな建造物が好きな方にはもちろん、写真好き、コスプレ好きの方にも人気で多くの人がその美しい風景を求めて訪れます。

横須賀から猿島へのアクセス

猿島への船

猿島へのアクセスは当然船。神奈川県横須賀市の三笠公園に隣接した場所に猿島行きの乗船場があります。無人島とはいえ猿島は人気のスポットなので、日や時間帯によっては結構混み合います。

猿島へのアクセス

乗船する船は2階構造で、1階は座席のある客室、2階はオープンデッキとなっています。わずかな時間なので、2階のデッキで横須賀の海を眺めながらのクルージングを楽しみましょう。猿島へ行くときは進行方向左側がオススメです。

海から見る戦艦三笠

出航すると進行方向日誰側にすぐに目にする船。これは明治時代、日露戦争で無敵のバルチック艦隊を撃ち破った戦艦三笠。レプリカなどではなく東郷平八郎が乗艦して指揮を取った本物の軍艦三笠です。明治時代の軍艦が残っているのは世界的にも珍しく、フェリー乗り場が隣接する三笠公園で間近から三笠を眺めたり、実際に乗船して内部を見学したりできます。猿島行きの船にのると、三笠を海側から眺められる貴重な機会を得られます。出航や帰港の時にはぜひデッキから海に浮かぶように見える三笠の雄姿を眺めましょう。

猿島

横須賀の沖合に浮かぶ猿島。出航してすぐにでもはっきりと目視できる距離にあります。海の上に浮かぶ小島、遠目には何の変哲もない島ですが、明治・大正時代の技術の粋を導入して造られた要塞の島なのです。猿島の名前の由来は鎌倉時代、日蓮上人が鎌倉へ向かう船旅で嵐に遭遇した際、念仏を唱えて無事に猿島にたどり着いたところ、白猿に導かれて本土に戻れたとの伝説より名づけられたそうです。という事で、島内には猿は生息していません。

猿島桟橋

約10分で船は猿島の桟橋に到着します。背後には横須賀の街並みが見えています。葉が落ちた後の冬は遺構の姿がはっきりと見える散策にはベストシーズンですが海が荒れることも多々あります。波が高い時は桟橋に波しぶきが上がりますので、防水効果の高いアウターを着ていくことをお勧めします。

猿島探索の基地となる管理棟

猿島管理棟

桟橋から島に入ると管理棟があります。探索ツアーなどを取り扱う案内所があり、バーベキューや釣り道具のレンタルも取り扱っています。トイレはもちろんロッカーや授乳室もある離島である猿島の中の頼れる基地となっています。詳しい猿島の秘密を知りたいなら、ここでツアーを申し込みましょう。

猿島ボードデッキ

管理棟の前は広いボードデッキが組まれており、テーブルも設置されています。目の前に広がる砂浜は夏は海水浴場として賑わいます。施設内にある「オーシャンズキッチン」ではよこすか海軍カレーや猿島ビールなどの軽食やドリンクが販売されており、オーシャンビューのウッドデッキテーブルで頂くことが出来ます。また持参したお弁当もここで頂けます。

猿島管理棟多目的ホール

管理棟の中にはウッデイな多目的ホールがあります。テーブルがあるので室内で休憩ができる貴重なスペース。また猿島で見つかった弾薬や砲弾などの資料も展示されています。

猿島発電所

猿島散策に出発すると最初に目にするのは「猿島発電所」です。明治26年に建てられた蒸気機関を利用した発電所跡。100年以上たった現在も発電所として使用されており、島内で使用する電気を発電しています。管理棟や島内のトンネルの照明などを灯す、猿島に訪れる観光客にはなくてはならない施設です。

猿島の最大の見どころの一つ切り通し

猿島切り通し

猿島は周囲1.6kmほどの小さな島。島の中央部の人工的に作られた地下トンネルと、島の上部にある砲座跡を結ぶ遊歩道を使って島を1周して要塞跡を見ることが出来ます。桟橋を出発すると猿島の散策道は緩やかに登っていきます。斜面を登る道はすぐに両側が崖になっている谷のようになった道となります。この道も戦闘を考慮して造られた道なのです。

猿島切通し

道は猿島の代表的な風景である切通しに入ります。切通しは、山を切り開いて両側を高さ5~6mの壁で覆われた通路。海や空を通る敵が発見できないようにした道になっています。その光景は古代遺跡のようにも見える壮大な建造物です。

猿島要塞

隙間なくびっちりと組まれた石垣はまるで古代文明の遺跡のよう。精巧で堅牢な石垣からは高い防御力を感じることができます。

猿島要塞トイレ跡

兵舎の横には兵士が使ったとされるトイレがありました。トイレもしっかりとレンガ壁やコンクリートで造られた丈夫な造りになっています。

猿島弾薬庫跡

城壁のように両側を囲まれたような切通には所々レンガ造りの構造物があります。主に兵士が駐在する兵舎と砲撃する弾薬の保管庫。いずれも山の地下を掘りぬいて造られた堅牢な造りで砲撃を受けても耐えられるように設計されているそうです。なお、これらの構造物の一部はフランス積みと呼ばれるのレンガの建築様式が用いられており、猿島要塞を含め全国に4件しかない貴重な建造物でもあります。

猿島切通し

切り通しの東側には兵舎と弾薬庫の入口が交互に並んでいます。アーチ状の入口はフランス積みのレンガ構造物。弾薬庫の中には井戸のような竪穴があり、滑車を使って砲台まで弾薬を運び上げていたそうです。

猿島兵舎跡

まるで遺跡のように緑に覆われた猿島要塞跡は確かにラピュタの廃墟を思わせます。この中には地下施設がたくさん眠っていますが、入口は封鎖されています。猿島の探検ツアーに参加すれば、ガイドを伴って一部地下施設を見学することができます。興味のある方は申し込んでみましょう。

猿島切通しとトンネル

切通しの奥にはレンガ造りのトンネルが見えてきます。このトンネルは猿島のメインともいえる巨大な地下遺構となっています。

「愛のトンネル」と呼ばれる巨大で美しい地下トンネル

猿島のトンネル

地下に長く伸びるトンネルは幅4m、高さ4.32m、全長90mという巨大なもの。トンネル内部にはいくつもの横穴があり、指令部、兵舎、弾薬庫、倉庫として使われていました。まさに要塞の本部といえる場所です。侵入した敵が内部を見通せないように、トンネル中心を頂点とした傾斜がついています。

猿島要塞跡

地下トンネルの中には地上への階段があります。今いるトンネルは2階建て構造になっており、この上部にももう1本トンネルがあるそうです。階段は地下トンネルの上層部や山頂付近にあった指令所や照明所への連絡通路として使われていたようです。現在は通路に柵がされており、この階段を登ることはできません。

猿島愛のトンネル

トンネルには灯りが灯りレトロな雰囲気。暗くはないが怖いと感じる人は多いようです。そのため近年では「愛のトンネル」と名付けられ、男女が手をつないで通れば愛が深まるとか・・・。オッサンである私は、遺構への愛が強まるばかりで困ります。

猿島フランス積みのトンネル

トンネル内はアーチ状組まれて延々と続くフランス積みのレンガ構造。延々とアーチ状に組まれたレンガの壁はアートのように美しく、かつ国内に4か所しか現存しないフランス積みの見慣れない積み方はまさに超一級品の産業遺産。トンネルの真ん中に立つと、足元から日の光が漏れてくる美しいその光景にうっとりしてしまいます。

まるで天空の城ラピュタを彷彿とさせる遺跡のような風景

猿島ラピュタの風景

長いトンネルを出ると、まるで迷路やダンジョンを思わせるような不思議な三差路。ゲームやアニメの世界そのもので、天空の城ラピュタによく似ていると人気のスポットです。史跡めぐりが好きな方はもちろん、写真愛好家、近年ではコスプレイヤーが撮影で多く訪れています。確かに作品の世界のような場所でコスプレ撮影をすると、その完成度はぐっと高まりそうですね。

猿島要塞跡

長いトンネルは2階建て構造となっており、出口上部には先ほど通ったトンネルのもう1つ上の階の出口があります。中には入ることができませんが、まるで地下迷宮のように感じられます。

猿島要塞跡

トンネルを出ると、小規模な切通の中にさらにトンネルが2つあります。外部と遮断された空間にトンネルがいくつも口を開けている光景はとても不思議で、異世界のようです。なお、どちらのトンネルに入っても島の北部を周遊する探索路に出ることが出来ます。

猿島弾薬庫内

長いトンネルを出てすぐ前にあるトンネルに入ります。先ほどの愛のトンネルとは違い、手を伸ばせば天井と横の壁に手が付きそうなくらいの細くて狭いトンネルです。

猿島第一砲台・砲側弾薬庫

細いトンネルを進むと、途中から内部は兵舎のように広くなっています。ここは第一砲台・砲側弾薬庫跡で、すぐ近くにある砲台で使用する砲弾をここに保管していたそうです。その精工で不思議な造りにはついつい見とれてしまいます。

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