御来光の滝【登山ルート】

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西日本最高峰で、日本七大霊山のひとつにも数えられる石鎚山。最後の清流と言われる四万十川をもしのぐ透明度を誇る仁淀川は、この石鎚山に源流を発する。人を寄せ付けない深い山の奥、仁淀川の源流には、落差102mの「御来光の滝」がある。日本百名山の石鎚山の懐に抱かれた、日本の滝百選のひとつだ。この御来光の滝は、石鎚スカイラインの途中にある「長尾尾根展望所」から遠望することができる。遠くにある滝の姿からでも、その大きさ、雄大さは容易に推測できる。御来光の滝は石鎚山直下の険しい谷の奥にあり、近づく道はない。しかし、おそらく昔は使われていたが、今は廃道となった道を使って御来光の滝の直下へ登山することが可能だ。登山地図にはそのルートは記されていないが、近年御来光の滝に向かう人やツアーが多くある。そのためかなり御来光の滝に向かう道は歩きやすくなってきた。ただし登山道には道標はなく、渡渉やルートファインディングの技術が必要で危険場所も多い。決して安易な装備と未熟な経験で立ち入れるルートではありません。入山する際は以下の点に注意ください。

  • 単独行はしない
  • 必ずパーティーに登山経験相当豊富な方か、このルートを知っている人が参加する
  • 体力や山歩きに不安を感じる人には向かない
  • 雨天時、降雨後は入山しない(滑落、増水による徒渉不可、鉄砲水の危険がある)
  • 朝一番で出発する(遅くなると、スカイラインから出られなくなる)
  • 徒渉必須(川の中に入る)
  • 総歩行時間は5~6時間で、道は険しく、ルートファインディングが必要(道標は一切ない)

面河川へ一気に降りるハードな下り坂

御来光の滝と石鎚山

御来光の滝への出発地点は、石鎚スカイラインの途中にある長尾尾根展望所だ。石鎚スカイラインの後半、大きなカーブを曲がってすぐ右側に現れる、広い砂利の駐車スペースの展望所だ。ここには車が約2~30台ほど停められる。ここに車を停めて出発する。
石鎚スカイラインが通行可能になるのは朝7時。遅くても朝8時半までには入口ゲートをくぐらないと、夕方のゲート閉鎖に間に合わない可能性が発生する。スカイラインに車が閉じ込められると、一晩を車の中で明かさないといけなくなる。

御来光の滝登山道入口
登山道入口のスカイラインのガードレール
御来光の滝面河川
堰堤から見たさかのぼる面河川の様子

まずはスカイラインから、約300m標高を下り、面河川の谷底を目指す。長尾尾根駐車場からスカイラインを土小屋(登り方面)へ約100m程歩く。最初のカーブミラーのところに登山道入口がある。ガードレールを乗り越えると、登山道が斜面を下っている。けもの道のような道ではなく、はっきりとわかる道だ。滑りやすいので、注意して谷底へ降りていく。できればここで軍手などグローブをつけておきたい。周りの草や木をつかむことが頻繁に発生する。

おおよそ20分ほどで谷底に到着する。谷底には堰堤が組まれていて、それより上部の川は伏流していて水はない。もし、この場所で水が流れていたなら、渡渉の難易度がかなり高まっている。少しここで休憩したら、水の無い河原を歩いて上流を目指す。なお、歩く川の名前は「面河川」。仁淀川は上流部分では面河川と名前を変えている。

仁淀ブルー

この面河川の透明度は抜群。仁淀ブルーと呼ばれるエメラルドグリーンの水の流れはとてもきれいで、道がてら、その美しさも愛でたい。

ここで、御来光の滝へと進む道の「概略」を先に説明しておく。下記の地図に示したルートは不正確なので、参考程度にしてください。

御来光の滝登山地図

■徒渉は全部で5往復(最後の徒渉は連続して2往復)
■行程の半分以上は右岸を歩く
■右岸を歩く道は、川岸から登り、川を見下ろしながら歩く。
 川岸へ下って来たら、そこからは川を渡り、左岸で道を探すこと。
■左岸を歩く道は、川岸からはあまり登らない。
 右岸を歩く時間に比べて比較的すぐに徒渉ポイントにたどりつく
 左岸からの徒渉ポイントは、進む道がなくなった時
■登山道は道標はないが、所々に赤テープで目印がつけられている
■登山道は踏み跡がしっかりしていて、誰が見ても「道」の状態
 藪漕ぎやけもの道を歩いているなら、それは間違った道
■5往復目の徒渉を過ぎたら右岸を滝までずっと歩くかなり長い道。

道なき道と徒渉で進む面河川

御来光の滝登山道
ブルーシートのある右岸の道の入り口
御来光の滝渡渉
徒渉箇所の様子

堰堤からさかのぼる涸れた河原に川に水が流れ出したら、川を右岸へと渡る。ここは浅い水の流れで石や岩をつたって簡単に向こう岸に渡れる。右岸へと着くと、釣り師が休憩のために準備しているのだろうか。ブルーシートが木に巻きつけられている。ここが登山道の続きだ。入口は道としてはっきり認識できるほど踏み跡が明確についているのでこの道を進む。

山肌を登り、面河川を下に見下ろしながら道を行く。しばらく行くと、道は下り、再び河原に出る。ここで初めての徒渉。水が少ない時ならば、どの徒渉も頭を出す岩の上を飛び移ることは可能だ。しかし、転んで水没すると、装備品や食糧が無駄になったり、今後の行程にも影響が出る。自信がなければ、無理せず水の中を歩いて渡ろう。

川を渡り、今度は左岸の道を行く。左岸の道は河原からはほとんど登らず、河原の奥の森の中を行く感じだ。すぐに道は河原に戻り、再び徒渉して右岸に。(徒渉1往復目)

七釜

同じように右岸の山肌を登り、再び河原に降りる。そして、徒渉して、左岸の道を進む。しばらく行くと、川が岩肌の上を大きなカーブを描いてなめらかに流れている。ここは「七釜」と言われる見どころ。残念ながら、午前中は日が差さない。行きは素通りし、帰りは光をいっぱい浴びた七釜の美しい風景を楽しもう。
七釜を通り過ぎ、再び右岸へと渡る(徒渉2往復目)
そして、また同じように右岸を登り、道を進み、河原に降りる。
左岸へ徒渉し、森の中を進む。(徒渉3往復目)
左岸の道は途切れ、またここで徒渉。しかし、右岸にわたっても道はない。もう一度、左岸にわたり、再びもう1回右岸へと戻る。
要は左岸→右岸→左岸→右岸へと、連続して2往復する(徒渉4・5往復目)

ここからは滝へ向かって、ずっと右岸の道を行く。道の入り口は木に赤テープがつけられている。急で登りにくいので、気をつけて。この道を歩いていると、朽ち果てた木橋や苔むした石組みが目につく。どうやら一昔前は御来光の滝へと続く道は整備されていたようだ。何らかの理由で廃道になったが、再び脚光を浴び、道として蘇ってきている。
途中には、魚止ノ滝、犬吠の滝など、小さくても絵になる滝がある。下の河原に下りて見ることもできるが、降りるにはけもの道程度の足場しかないので気をつける。

紅葉の御来光の滝についに到着

御来光の滝

やがて、遠くに御来光の滝が見えてくる。駐車場から降りてから、その姿を1回も見ることがなかったが、かなり近づいたことが実感できる。何度か沢を渡るので、十分通過に注意する。特に雨天時などは、相当滑る。滑落すれば、はるか下の河原まで真っ逆さまだ。

秋の御来光の滝

間もなく、御来光の滝の下に到着する。堰堤からここまで、ゆっくり歩いて約2時間半だ(スタート地点からだと3時間)
健脚ばかりのパーティーなら、もっと早く到着できるだろう。滝の下には、急斜面を流れおちる小さな滝が連続している。ここから眺める御来光の滝の姿はとても神々しい。

御来光の滝はその真下まで右岸に滝の下までの道が続いている。滝壺はなく、水量が少ない夏の日になら、降り注ぐ水をその身で浴びて見るのも可能だ。これだけ巨大な滝に直接触れることができるのはなかなかない。滝の左岸には、断崖絶壁によじ登れる岩場があるので、落ちる滝の途中を真横から眺めることも可能だ。

紅葉の御来光の滝

紅葉の時期に訪れれば、御来光の滝の岩肌やその付近は真っ赤に染まり、美しい姿を楽しませてくれる。滝の付近はやや気温が下がるため、紅葉は一気に進んでいる。今までの登山道でまだ緑が多くても、滝にたどり着くと紅葉している木々が多くなる。

紅葉の御来光の滝

深い谷底から吹き上げる風が、100m以上の落差を落ちる水を空へと舞い上げる。谷底へ降り注ぐ光が晴れた昼前後に、滝に虹をかけてくれることもある。

4月の青空に映える御来光の滝

御来光の滝

かつて3回、御来光の滝には訪れており、新緑の季節にも訪問している。深い谷へ降り、奥へと進むこと約3時間。やっと辿り着いた御来光の滝。その姿が谷の奥に現れた時は、思わずその美しさに歓喜の声をあげてしまう。

御来光の滝

御来光の滝は、滝壺のすぐ下まで近づける。見上げるととても巨大な滝。この滝は岩の上に落ちているので滝壺は深くない。濡れてもいいのなら、この落差102mの流れに身を清めるとも可能だ。

御来光の滝落ち口

見上げる滝の落ち口。100mを超えるあまりもの崖の高さに、吹き上がる上昇気流に滝の流れは切りとなって舞いあがる。

新緑の御来光の滝

青空にとにかく映える御来光の滝。滝を見上げると、紺碧の空から降り注ぐ日光が、御来光の滝を美しく輝かせる

見上げる御来光の滝

覆いかぶさるような断崖絶壁から流れ落ちる滝。圧倒的な高度感と威圧感。目の前の自然の大迫力はどんな超高瀬能な大画面テレビでも再現できない。

御来光の滝を見上げる

流れ落ちる滝口。一筋の白い流れとなって落ちる滝からは、数多の飛沫が空へと放たれる。春の陽気が冷たい山の空気を暖めていく中、空から降り注ぐしぶきと滝が巻き起こした風が冷たく、季節を元に戻して行くようだ。

御来光の滝落ち口

遥か頭上には、流れる川が宙に飛び出す滝の落ち口。迫力のある見事な場所で、滝の上まで登ってみたくなる。御来光の滝左岸には滝の上にでる登山ルートがあるそうだ。クライミング用具なくても登ることができ、御来光の滝を登り、源流である石鎚山まで登った山仲間の猛者もいる。

御来光の滝

滝のほぼ真下から。100mを超える高さから降り注ぐ滝は爆音と水しぶきをあたりに舞い散らせる。滝の正面に入れば、あっという間に水も滴るいい男になる。岩の陰から近づいて、その勇姿を見上げる。

御来光の滝滝つぼ

御来光の滝の滝壺。美しい水に満たされ、放出されるマイナスイオンがとても気持ちいい。この日は4月の末にしてはとても暖かく、強烈な日差しは持っていたチョコレートを溶かしてしまうほど。しかしここにいれば、水しぶきの混じった風が舞い、とても気持ちいい。
大瀑布のすぐそばでランチをとり、昼寝をする。とっても気持ちよく贅沢な時間を過ごす。

御来光の滝真下

滝の真正面から。少し離れていないと水しぶきでびしょびしょになってしまう。滝の下部には季節や時間帯によるのだが、虹がかかることがある。滝の周りを動き回り、虹を探してみたのだが、今日は残念ながら見ることができなかった。

御来光の滝

見上げると、滝の流れは形を次々と変えながら落ちていく。同じ形は、一瞬たりともないのだろう。滝壺付近の岩の上に寝転び、頭上の空から降ってくる美しい水の舞を眺める。100mをものの数秒で落ちてくる水しぶき。時速に換算すれば相当早いのだろうが、空に舞う水の姿はとても優雅でゆっくり。この滝が包み込んだ谷の時間の流れは、とてもにゆっくりに感じた。

晴天の初秋の御来光の滝

秋の御来光の滝

画面左下に小さく写っているのは人 比較すると滝はとんでもなく大きいことがわかる。

紅葉の御来光の滝

川沿いの紅葉はまだ早かったが、滝の上部は見事に紅葉している。

御来光の滝の虹

遥か頭上から飛び落ちる滝の水しぶきと太陽が作り出した虹が、神々しく滝の御前に七色の半円を描く。その美しさは感動的でいつまでも眺めていたい。
しかしあまりこの時間の流れをゆっくりと楽しんでいる訳にはいかない。帰りもここに来るのと同じくらいの時間がかかる。名残惜しいが、気持ちよい滝に包まれた空間を後にして、険しい道へと足を再び進ませた。

時間に余裕を持ちたいハードな帰路

帰路は今来た道をそのまま引き返す。下りはとても滑りやすく、徒渉ポイントも間違わないように注意して下る。前日にまとまった雨が降っていると、ちょうど帰路に着くころに川の水量が増えるので、この点にも注意が必要である。堰堤まで戻れば、ここからは地獄の登りが待っている。車を置いた駐車場まで、一気に急坂を登り返さないといけない。ここはよく参加者で「タイムトライアル」をするので、タイムデータがある。健脚の人で25~30分、登山経験のある中高年の方で40分程度の時間が必要である。もちろん、全力を尽くして出すタイムなので、ゆっくり登りたいなら1時間程度の時間は見ておきたい。石鎚スカイラインが閉鎖される時間は、季節によって変化する。駐車場から「面河渓」のゲートまでは30分ほどかかるので、時間配分には十分注意しておきたい。万が一、面河渓への下山が間に合わなさそうな時は「土小屋」のゲートへ向かうとよい。土小屋まではここから約10分。その先は瓶ヶ森林道を使い、時間はかかるが西条市・国道194号線方面へ下山することは可能だ。

御来光の滝登山に便利な宿

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