紅葉の石鎚山【見頃は10月の連休】

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西日本最高峰の山でもある標高1982mの「石鎚山」。日本百名山のひとつで、今でも信仰登山が盛んな霊山である。
そんな石鎚山は愛媛の紅葉の名所で、見頃は10月の連休の頃。その山容や標高に比較して比較的登りやすい石鎚山には紅葉の頃には多くの登山者で賑わう。
真っ赤な紅葉に包まれた切り立った断崖絶壁、真っ赤な紅葉の向こうに広がる雲海。赤や黄色のパッチワークのような彩りの森の上に広がる真っ青な青空。秋の石鎚山には神秘的な紅葉の風景が雄大なスケールで広がっている。

土小屋からは石鎚山や四国の名峰が一望!

朝の石鎚山

朝一番で、石鎚スカイラインで土小屋へ。石鎚山には北と南に登山口があり、土小屋は南側。マイカーのみのアクセスで走る距離も長いが、ロープウェイを使う北側に比べると、費用や時間を格段に節約する事ができる。
通常、石鎚山の紅葉の見頃は10月上旬。体育の日の連休が見頃と混雑のピークになる。少しでも時間が遅くなると駐車場に車が入れず、登山道も数珠繋ぎになることも多い。紅葉の石鎚山はとにかく早く登山を開始するに限る。

朝の瓶ヶ森

土小屋からは標高1897mで日本三百名山の瓶ヶ森もよく見える。笹原に覆われた山頂付近が美しい山だ。
その右奥には同じく三百名山の伊予富士(1756m)が連なるが、湧き立つ雲に覆われている。朝の美しい、山々の神秘的な風景が、気持よく目の前に広がっていた。朝の空気はとても寒く、凍てつきとなって肌にもうすぐ突き刺さりそうなくらいまで研ぎ澄まされてきている。

朝の瓶ヶ森

土小屋から瓶ヶ森を眺めながらゆっくりと山を登っていく。まだこの周辺の紅葉は見頃になっていないが、それでも色鮮やかな木が所々で見られる。朝日に照らされた紅葉は、まだ色の薄い朝の景色に目を覚ますような鮮やかさを添えてくれる。

澄んだ空気に充たされた早朝の石鎚山登山

朝の石鎚山

どんどん石鎚山が近づいてきた。頂上付近の木々はもう色褪せているが、中腹辺りの木々は燃えるような赤い色をしている。
石鎚山の一般登山道は、石鎚の岩壁を南側から北側まで大きく巻き、北側からよじ登る。ちょうどその稜線下の巻き道あたりが、紅葉のピークになっていそうだ。

秋の石鎚山の朝

石鎚山の朝はとにかく寒い。よく見ると、地面や笹にはには霜がびっしりと舞い降りていた。下界では紅葉の気配すら感じないのに、石鎚の山の上ではもう、冬が始まろうとしている。

朝の四国の山々

澄んだ空気は、四国の山々を遠くまで見せてくれる。
一番奥の左側から連なる山々は四国カルスト。山の上、天に接する日本三大カルストのひとつである。もっと向こうには太平洋が広がるが、残念ながらここから今日はその姿を見ることはできない。

紅葉と岩稜が美しい秋の石鎚山

紅葉の石鎚山

石鎚山の東稜基部付近までやってきた。ここから険しい岩の稜線を北側へと巻く道を行くが、思った通り、その道はちょうど紅葉の見ごろのようだ。厳密に言うと、この巻き道から見上げた山肌の紅葉が間近に迫っている感じではあるが、その美しさは格段。色鮮やかな紅葉に彩られた荒々しい石鎚の岩肌の姿は、深く心の奥にまで感動を伝えてくれる。

石鎚山の紅葉

上を見上げると、青空と紅葉。輝く太陽が眩しく秋の彩りを鮮やかに照らし出す。青空を背に輝く紅葉の光は、眼には眩しく、心には鮮やかな美しさとなって飛び込んでくる。

紅葉と瓶ヶ森

鮮やかなドウダンツツジの向こうにそびえる瓶ヶ森。頂上に広がる氷見二千石原と呼ばれる笹野原の風景がここから見ていても気持ち良い。
紅葉と雄大な山岳風景。どちらも楽しめる、贅沢な風景に何度も何度も足を止めて見入ってしまう。

石鎚山の紅葉

稜線直下のブナの森は見事に色づき始めた。その下を歩くトレッキング。心も体も鮮やかに照らされて、気持よくなる。

石鎚山の紅葉

まだ色づかない木々も、眩しい光に照らされて、とても鮮やか。ここが紅葉になったとき、どんなにきれいなんだろう。

紅葉の石鎚山

急に目の前が開け、紅葉という鮮やかで美しい衣をまとった岩壁が現れた。石鎚山最高峰、天狗岳直下に出たのだ。

秋の石鎚山から見下ろす道後平野

険しさと美しさの両方をまとうそびえる岩肌には、ただ、見とれるばかり。美しい。

紅葉の石鎚山

岩肌が光を遮り、輝く紅葉の谷に影を落とす。そのコントラストはとても美しく、陰陽が交錯する鮮やかさが引き立てられる世界を作り出す。

紅葉が覆う岩壁にとりつき目指す石鎚山頂上

紅葉の石鎚山

二の鎖小屋を越えると、登山道は岩肌を何度も何度も九十九折りながら登る道となる。

紅葉の石鎚山

足元に気をつけながら登っていく道。それでも途中、何度見上げても、頭上の岩肌には紅葉が。青空のキャンパスに描かれた、色鮮やかなモザイクは何度見ても飽きない。

紅葉の石鎚山

そびえる最高峰の天狗岳直下の岩壁には燃えるような赤い紅葉が広がる。鮮やかな木々は、険しい岩肌にしがみついて必死に生きている。
しかしよく見ると、木々だけでなく、とんでもないものが断崖絶壁にしがみついている。ロッククライミングをする人たちだ。今日は多くの人がクライミングを楽しんでいる。鳥さえも近づかないような絶壁に挑む人々の技には、見上げる人々から何度も歓声が上がる。

石鎚山天狗岳

さあ、もうすぐ頂上だ。左側のピークの上に人が立っている人の姿もわかるくらい、近づいてきた。あの断崖絶壁の上に立ち、紅葉を見下ろすのが今からも楽しみだ。

紅葉の石鎚山

鉄の階段を取り付けた登山道で登る断崖絶壁にも色鮮やかな紅葉。圧巻の高低差の上で燃えるような紅葉は絶景だ。

石鎚山からの眺め

石鎚山頂上を目指して、断崖にかけられた鉄製の階段をいくつもいくつも登る。
頂上小屋が見えたころ登りは終了。目の前に、今まで険しい岩壁にさえぎられて見えなかった向こうの側の風景が突然広がる。やっと石鎚山の主稜線に到達だ。

石鎚山から見る松山と瀬戸内海

今日はかなり遠くまで風景が遠望できる。西ノ冠岳の向こう遠くには、愛媛の中心地・松山市が見えている。もう少し空気がクリアなら、伊予灘とそこに浮かぶ島々も見えそうなのだが、それでもいい眺めだ。松山市内からも、今日は石鎚山の立派な山容がはっきりと見えているに違いない。

紅葉の天狗岳と瀬戸内海を見下ろす絶景の頂上

石鎚山からの二ノ森

稜線に出るとすぐ、石鎚山頂上の弥山だ。
頂上から見る稜線。笹野原に覆われた稜線は、秋でも眩しい緑色を放っている。
西ノ冠岳(1894m)、二ノ森(1929m)、堂ヶ森(1689m)と山脈は続いていく。高い山に囲まれた谷が、四国で3番目の大河「仁淀川」の源流。個人的には最後の清流と呼ばれる四万十川以上の透明度を誇る川だと思っている。その源流はこの高く深い谷にある。
源流から湧き出した水は、この谷の下にある日本百名瀑の「御来光の滝」となる。そして、石鎚山の入り口、「面河渓」では美しい水辺の風景を作り出す。

紅葉の石鎚山

頂上から見下ろす山肌。裾野や谷にへ向かって色鮮やかな赤と緑のグラデュエーションがゆっくりと下っていく。

紅葉の天狗岳

石鎚山頂上の弥山には頂上小屋と石鎚神社があり、多くの登山者でにぎわう。ここでぱ、多くの登山客で賑わっていて、まさに足の踏み場もない状態だ。ここで昼食にしようと思ったがどうも落ち着かない。幸い、向こうに見える本当の石鎚山の最高峰である「天狗岳」へ向かう道は比較的すいている。天狗岳に登頂して、そこでランチの予定に変更する。
頂上から切り立った細い尾根に下りる鎖場は相互通行だ。もちろん信号も警備員もいないので、登山者同士、お互いに登る人と下る人の順番を決めて譲り合う。稜線に降りたら、細い尾根道を足元に気をつけて天狗岳へと向かう。

真の西日本最高峰・石鎚山天狗岳へ断崖絶壁の上を行く!

紅葉の石鎚山

天狗岳へ続く尾根道から見下ろした仁淀川源流の谷。この谷の底に、落差100mを超える「御来光の滝」が潜んでいる。

紅葉の石鎚山

天狗岳頂上が見えてきた。紅葉に彩られ、とても美しい。残念ながら頂上付近の紅葉のピークは過ぎており、もう少し早く来れば、一面の紅葉だったはずだ。
石鎚山の紅葉は、その夏の暑さによってピークの時期が前後する。しかし標高差がある頂上付近まで登れば、10月の連休ならどこかで紅葉のピークとぶつかれる。

石鎚山から望む瓶ヶ森

石鎚山頂上から眺める瓶ヶ森(日本300名山・1896m)
石鎚山から発した谷(御塔谷)が深く大地に刻まれている。この谷は加茂川となり、すぐそばの瀬戸内海にそそぐ。加茂川は、流れる距離は少ないものの、石鎚山をはじめとする2000m近い多くの山々から水を集め、一気に大きな川となる。

石鎚山天狗岳への稜線

弥山から天狗岳に向かう稜線の北側はずっぱりと切り落ちている。こんな足元が何百メートルもある崖になっているのだ。高所恐怖症の人にはとても耐えられない高度感。
僕は煙と同様の人種なので、この高度感は爽快に感じる。しかし、切り立った崖から下を見下ろすと、さすがに足がすくむ。もちろん這いつくばって下を覗くのだ。崖の下に今いる岩壁が影を落としている。正直、相当怖い。

石鎚山から望むしまなみ海道

切り立った岩の稜線の向こうには、今治市が見える。今治市は四国の玄関口のひとつ。本州・尾道市へ向かう「しまなみ海道」の橋のひとつ、来島海峡大橋が見えた。写真中央部一番奥だが、残念ながら写真だと見えない。肉眼だと見えたのだがが・・・

石鎚山天狗岳頂上からは360°の絶景!!

石鎚山弥山頂上

石鎚山最高峰の「天狗岳」に到着。石鎚山頂上の「弥山」を振り返る。神社を乗せた岩峰がそれだ。あそこからナイフの刃のような細い稜線をつたってここまでやって来たのだ。
石鎚山頂上には人があふれんばかりに乗っているが、こちら天狗岳の頂上は比較的すいている。風の当たらない岩影を探して、ランチタイムにする。

石鎚山から望む西条と新居浜

絶景を見ながらのランチは最高。左に見えるのは瀬戸内海と西条市・新居浜市の市街地。右に見える頂上が緑の山は瓶ヶ森。左の海はもちろん海抜0m。右の瓶ヶ森は海抜1896m。海から一気に高い山が立ち上がる四国独特の風景が一望できる。まさに海の上にアルプスが浮かんでいるかのようだ。

石鎚山ロッククライミング

先程まで、天狗岳直下の岩壁に張り付いていたクライマーが、頂上に直登してきた。足もすくむような断崖絶壁をザイル1本で這い上ってくるには卓越した体力と技術が必要。
下から登ってくる姿が見えないくらい垂直な断崖絶壁を登り終えると、見守っていた登山者から拍手が。天空にそびえる岩峰に挑むクライマーの雄姿には感動すら覚えた。
どんどん風が強くなってきた。温かい太陽が出ているとはいえ、遮るもののない空の上では、冷たい風にみるみる体温を奪われる。そろそろ下山しよう。

燃えるように輝く逆光に照らされた紅葉の中の下山

紅葉の石鎚山

石鎚山の頂上からは鉄階段を下りていく。抜群の下界との高度感と、欄干がない高い場所に掛けられた道を下りていくのは、高所恐怖症の人はやや怖いかもしれない。
二の鎖小屋まで降りてきた。ここから振り返る石鎚山の主稜線の姿は迫力。このそそり立つ岩壁を、鎖場や鉄階段で道が作られている。

石鎚山の紅葉

登りとは違い、下りは午後。太陽は石鎚山の向こう側へ回り込んだので、登山道は日蔭になった。登山道からのきれいな風景写真を撮るなら、午前中に注力しないといけない。
帰りは、差し込んできた光と影が作り出す森の美しいコントラストの風景が面白い。

石鎚山の紅葉

見上げると青いキャンパスに描かれた燃える赤。紅葉と青空はとにかく鮮やかに映えてきれいな組み合わせだ。
眩しく彩られたアーチを行くプロムナード。何度も何度も足をとめ、その美に見とれてしまう。

石鎚山の紅葉

振り返ると、鮮やかに輝く紅葉のヴェールに包まれた石鎚山。美しい衣をまとった石鎚山はとても美しく、そして雄大。西日本一の山の貫録を感じる風景だ。

石鎚山の笹原

眩しい草原を下っていく。立ち枯れの木々は笹原にはよく似合う。開放的な景色の中を行く足取りは、とても軽くなる。

紅葉の石鎚山

見返る石鎚山。ドウダンツツジの赤を飾り、自らも真っ赤な衣を纏う石鎚。石鎚山が最も美しい時期。四国の紅葉の名所として数えられるのも納得の風景だ。

石鎚山の笹原

どんどん石鎚山から下って来た。もうすぐ車を置いた土小屋の駐車場に到着する。僕たちが山を下っていくのを追いかけるように、石鎚山からも紅葉がゆっくりと下っていくのだろう。

下山後は清流・面河渓に是非立ち寄りたい

紅葉の石鎚山を楽しんだ後、石鎚スカイラインで下界に戻る前に是非立ち寄りたいところがある。それが、「面河渓」だ。石鎚スカイライン入口が面河渓の入り口でもある。帰路途中に手軽に立ち寄れる。
面河渓は四国を代表する紅葉の名所。同じ紅葉の名所である石鎚山で、紅葉を楽しんだ後は、面河渓でもさらに楽しむ・・・
という訳にはいかない。なにせ、石鎚山頂上周辺とは1000m近い標高差があるので、石鎚山が紅葉でもここはまだまだなのだ。それでも、登って来た石鎚山に端を発する清流で、四国第3の大河、「仁淀川」の源流部である面河渓の美しさは必見だ。紅葉の時期には大渋滞する面河渓だが、紅葉には程遠いこの日は人もまばらだった。

面河渓

面河渓の代表的な風景、五色河原周辺は、訪れたのが夕方ということもあり、日はもう差し込んでいなかった。日が深い谷底を流れる面河川の美しい色を照らしだす場所を求めて上流へさかのぼってみる。
紅葉橋を過ぎてすぐ、第一キャンプ場の横の河原がよく開けていて、光が差し込んでいた。スポットライトのような秋の光に照らされた水が、美しい色を影の中からさらけ出した。

面河渓

岩肌を流れゆく澄んだ水が作る流れ。気持ち良い煌きと水音を立てながら、ゆっくりと時に激しく流れていく。
とても開放的で日当たりのよい河原は、標高の高い源流にほど近い場所の川であることを忘れさせる。そう、まるで、南国の川に来たような気持ち良い開放感だ。

面河渓の清流

岩が大きく割け、まるで水路のように、そこに水がゆっくりと流れている。その緑の色は、源流の石鎚山からの恵みを溶かしたような色。しかしそれでいてとても澄んでいる。ゆらゆらと揺らめく川底を眺めているだけでも、清々しい気分にされる。

面河渓の水の中

エメラルドグリーン、どこまでも澄んだ流れの中の世界。水はとても冷たく、まるで冷蔵庫の中でキンキンに冷やされたミネラルウォーター。
夏場ならそのまま喉を潤せそうな水がここにはたっぷりと湛えられ、そして流れていく。揺らめく光の中、時折ヤマメかアマゴと思わせる魚影が通り過ぎていく。

紅葉の面河渓

どこまでも透明な水面が作りだした水鏡。深い谷へ差し込む一条の光が、色づく木々の光を鏡のような水面に浮かび上がらせる。とても静かたが、わずかな音が反響して不思議な音を作り出す空間。とても穏やかだが、光が方々に飛び交い、多くの鮮やかな鏡像が現れた空間。澄んだ水が織りなす流れの音と、谷へ舞い降りてくる風の音がこの空間に集約されていく。
気持ちよく、落ち着く、美しい場所がここにあった。この色づきは、秋が深まるにつれて日々美しく彩られていくだろう。紅葉の石鎚山フィナーレにはもってこいの静かな場所だった。

石鎚山土小屋からの登山に便利な宿

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