3月の美瑛は雪の絶景
色とりどりの花や緑が丘を彩る人気の北海道の風景「美瑛」。しかし、冬はあまり観光スポットとして名があがることはありません。冬の美瑛は美しくない?いえいえ、そんなことはありません。冬の美瑛も実は美しい丘の風景が楽しめます。純白の丘の風景はとにかく美しく、もはやファンタジーの世界なのです。とはいえ、レンタカーが主な移動手段となる美瑛の丘巡りは冬場は慣れないと大変。しかし、3月になると、道路の積雪はかなり少なくなります。旭川からアクセスすれば、比較的雪道の運転をせず、白銀の美瑛を楽しめるチャンスの時期なのです。
【訪問日2018年3月10日 雪の量は例年より多め】
美しい雪の美瑛をドライブ
旭川から国道237号線を走り、聖和付近より美瑛の丘へ向かいます。国道237号線、JR線より西側の美瑛の丘には有名な木が多くあり、人気の観光エリアです。国道を外れても除雪はされており、路面の雪はほとんどありません。一面のどこまでも続く真っ白な銀世界。美しい雪の美瑛の風景を楽しみながらドライブが楽しめます。一部、山影などに積雪やアイスバーンが残っている場所があるので、スピードには注意しましょう。
丘をいくつも越えていくと、現れる白樺並木。息をのむむように美しい風景。夏の緑の中の白樺並木も美しいですが、青と白のみで構成される冬の美しさはとても幻想的です。
セブンスターの木
先ほどの白樺並木のすぐそばには、美瑛の丘巡りの人気スポットのひとつ「セブンスターの木」。昭和51年にタバコのセブンスターのパッケージに掲載された事で人気になりました。夏は一面の緑をバックに、生い茂る青葉を揺らすかしわの大木も、冬はややさみしい感じですが、一面の銀世界を背負って、厳しい冬を耐えるその姿は感動的です。
セブンスターの木の反対側には一面の銀の丘。北海道の大地を渡る風の音が聞こえてきそうなくらい、静寂な雪の世界。生き物の音はなく、すべての音を雪が吸い取る。すべてが凍てつき、白い雪の中に閉じ来られた美瑛の丘は、夏の躍動とは違い、静かな幻想的な風景です。
白樺並木を少し下ったところから見上げる丘の上に立ち並ぶ白樺並木。先ほどの奥行ある世界から、平面的な美しさに風景は変わります。同じスポットでも、見る角度で全然違うように見えるところが、美瑛の丘の面白さでもあります。
美瑛の魅力は絵になる風景を自分で探してみることです。有名なスポットでなくても、美しい風景は目移りするほどたくさんあります。ただし、何もない雪原も農家の方にとっては大切な畑です。絶対に道路から離れないようにして、美瑛の丘を楽しんでください。
除雪がすすんでいる美瑛の丘でも、除雪のない、もしくは頻度の少ない道に入れば、この通り怒濤の雪道。3月頃には根雪で全面アイスバーンになっています。駐車スペースがこういう状況になっている事が多いのでゆっくり運転しましょう。車から降りたあとにすごく滑るので気をつけてください。なお、ここはセブンスターの木の駐車スペースになっており、縦列駐車で乗用車は10台くらいは停められます。
真っ白なキャンパスに引かれた1本の曲線のように、雪をかき分けて続く道路。本当なら雪に埋もれて歩くことすらままならない丘の中を除雪された道路が導いてくれます。この銀世界の中にはまだ何本も道が埋もれていますが、生活に必要な道路、観光用の道路は除雪されていて、冬の美瑛の生命線として保たれています。
マイルドセブンの丘
続いて訪れた場所は「マイルドセブンの丘」。昭和53年に流されたマイルドセブンのCMで使われた場所です。広大な丘の上に、カラマツが横一列に並ぶとても美しい風景。夏は緑色の一面の畑ですが、冬は眩しく輝く真っ白な銀世界。夏に比べると神秘的な美しさを感じることができます。
※マイルドセブンの丘の木々は2018年に多くが伐採されました。風景が変わっていることをご承知おきください。
白と青のみが作り出す冬の美瑛の風景はとにかく美しく幻想的。晴れていて太陽が出ていても、手袋がなければ手はしびれるくらいの刺すような寒さ。突き刺さる寒さに輝く雪。そして何もない風景。極地とは違うけれども、日本にもこんな場所があったのか。ただ寒さを感じながらも、言葉を失いながら、絶景に吸い込まれていきそうになります。
マイルドセブンの丘に続く道路は除雪されず、雪に埋もれています。道路の存在を示すポールにそって踏み跡があるので、雪をよじ登り歩いていきましょう。遠くに見えた丘を近くから見ることができます。もちろんポールの外側は農家の大事な畑なので立ち入らないようにしてください。なお、マイルドセブンの丘の駐車スペースはわずかに広く除雪された路肩のみ。乗用車が5、6台ほどしか停められません。
マイルドセブンの丘の付近は、美しい丘が連続して続いています。丘を越えたら、またそこに丘。どこまで行っても丘。景色が一面の真っ白に包まれる冬場は特に距離感がなくなり、さらに広大な風景に感じます。
穢れ無き白い雪に覆われたファーム。春の訪れを何もせずじっと待っている。その動かない風景が、とても感動的です。
右を見ても、左を見ても同じような風景。その同じような風景すべてがあり得ない美しい風景。車を走らせていても、すごいと思う風景が何度も何度も車窓から飛び込んできて、感動します。ついつい車を停めて、路肩からその風景を楽しんでしまいます。
ケンとメリーの木
次に訪れたのは「ケンとメリーの木」。日産のCM「ケンとメリーのスカイライン」に使われた木です。一面の丘や十勝山系をバックに孤立するポプラの大木。その存在感は葉を落とした冬でも相当なものです。
車のCMに使われた通り、ケンとメリーの木の横を気持ちよい1本道が走り抜けていきます。ここを車で走っても気持ちよさそうです。しかしここは冬でも観光客が多いので、車は駐車スペースにとめて、歩いてゆっくり美しい雪の丘と大木の堂々とした姿を楽しみたいですね。
ケンとメリーの木は車だけではなく、飛行機ともコラボします。美瑛は旭川空港に近く、ケンとメリーの木の後ろを飛行機が高度を下げながら飛んでいく姿がよく見れます。少し待っていればすぐに飛行機が飛んできますので、シャッターチャンスを狙ってみましょう。
真っ白な雪原の中に、所々に民家があります。久々に美瑛に来ましたが、最近では立派で大きな新築の家が増えました。こんな雪の中、広くて気持ちの良い最新の家で暮らすというのも、雪かきの大変さはありますがとても楽しいのでしょうね。立派な新しい家を見ていると、うらやましくも思えてきます。
雪の美瑛パッチワークの丘ドライブ
道を走ると、点在する牧場がまるでスキー場みたいに見えます。シュプールの描かれていない雪の斜面には、風紋や雪玉が転がったあとが、美しい模様を描いていました。
畑や放牧地の中を走り抜けてるドライブ。あまりにも気持ちがいいので、寒いことを覚悟で窓を開けて走ります。顔にあたる風が冷たすぎますが、でもとっても気持ちいいのです。5分間程度なら・・・
広い牧場も雪に閉ざされています。どこまでも広がる牧場、もしくは畑。畑も牧場も空き地も、雪が積もればひとつの雪原になるので、美瑛の丘がさらに広くどこまでも続いていくように見えるのでしょう。夏の美瑛の丘がパッチワークなら、冬は真っ白なキャンパスです。
真っ白な雪の丘を貫いて向かうのは、「親子の木」僕が一番美瑛で好きな木です。
親子の木
最後に訪れた「親子の木」丘の上で、2本の大きな親の木が1本の小さな子供の木と手をつないでいるように見えることから「親子の木」と名付けられました。実は3年前に、この風景が天災で失われたのですが、地元の方の尽力で以前の風景に復活していました。我が家にはこの親子の木のシルエットを玄関に飾っているので、とても安心しました。冬の何もない真っ白な丘の上に立ち、寒さに凍える子供の木を親がかばっているようにも見える風景。なんだか涙が出てきそうです。
親子の木には見学のための駐車スペースは除雪されておらず、近づくための道も閉ざされたままです。逆にそれが良かったです。他の木と違い、親子の木は遠くから見るのが美しいのです。真っ白で極寒の雪景色の中にあるちょっとだけ温かみを感じる風景。ほんの少ししか見れなかったけど、とても温かい気持ちになりました。
次はJR線をはさんで美瑛の東側、人気の丘が続くエリアに向かいます。
ここで3月の美瑛のレンタカードライブの注意点です。色々と見所のある冬の美瑛ですが、日が傾く頃には運転を終わるようにしましょう。日中に融けた雪が日没頃には再度凍結し、ツルツルのアイスバーンになり非常に危険です。また、峠越えは日中でもアイスバーンが多く危険。札幌から富良野へのアプローチで便利な三笠からの国道452号線は、この時期でもガチガチに凍結しているので、使うのは控えましょう。
美瑛の宿泊情報
美瑛と隣接する富良野にはプチホテル・ペンションをはじめリゾートホテルが多くあります。 美しい丘をはじめとする北海道らしい風景の中にあり、美瑛や富良野の特産物を使った美味しい食事が自慢のホテルも多数。
このエリアには見どころが多いので、ぜひ宿泊してゆっくり美しい風景を満喫したいですね。