うずしおクルーズ・咸臨丸 【鳴門の渦潮・観潮船】

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日本一潮の流れが速いとされる「鳴門の渦潮」。徳島県鳴門市と淡路島の間には大鳴門橋がかかる鳴門海峡があり、まるで川のように海が流れ、有名な鳴門の渦潮を発生させている。鳴門の渦潮はいつでも見れるわけではなく干潮と満潮の前後1~2時間しかそのチャンスがない。しかも毎日時間が違う。満潮と干潮は6時間ごとに起きるので、昼間なら渦潮が見れるチャンスは1回もしくは2回しかない。さらに、潮流が最も速くなる大潮の干潮になら大迫力の渦潮を眺められる。渦潮は徳島県鳴門はもちろん、淡路島からも観潮船が出向しているので四国に渡らなくても大迫力の風景を間近で楽しめる。

有名な船のレプリカ船で渦潮へ出航!

うずしおクルーズ咸臨丸

今回乗船した観潮船の「咸臨丸」。幕末に活躍した有名な「咸臨丸」を模した船。定員500名を誇る大きな船で、この船で鳴門海峡の激しい流れに挑むことになる。
この観潮船を運行するのは淡路島の「うずしおクルーズ」。福良港に大きな観光船乗り場があり、そこから船に乗船する。駐車場完備、コンビニや土産屋もあり、車で訪れるにもとても便利だ。

うずしおクルーズ咸臨丸

たくさんの乗客を乗せて、船は出港した。見上げたマストが、気持ちいい船旅を演出してくれる。本物の咸臨丸に乗った勝海舟は太平洋の大波に挑んだが、レプリカの咸臨丸は瀬戸内海の大渦に挑むのだ。

うずしおクルーズ日本丸

うずしおクルーズのもう一隻の船「日本丸」と途中すれ違う。日本を代表する帆船のレプリカ船だ。こちらは定員700人で、乗船している「咸臨丸」より少し大きい。主に休日の臨時便として使われているので、日本丸の方が乗船する客の密度は格段に薄かった。

うずしおクルーズ

マストのワイヤーが集中する船首の先に、目指す鳴門海峡が見えてきた。すでに「大鳴門橋」の下の海が川のように流れているのが、遠くからでもしっかりと確認できる。渦潮の出現に大きな期待。ゆっくりと巨大鳴門大橋の姿が近づいてくるにつれて、海鳴りの音も恐ろしいほどに大きくなってくる。

川のように轟音を立てて流れる鳴門海峡の海

鳴門海峡

ついに鳴門海峡に到着。
ここは川か?
そう思うくらい、海は南へ、瀬戸内海から太平洋へと激しく流れている。普段は波もほとんど立たない穏やかな瀬戸内海。しかし、月の引力の導きにより、信じられないような凶暴な姿を見せる。鳴門以外にも、明石や来島などの数多くの瀬戸内海の海峡ではこのような海の流れを見れる。が、やはりここ鳴門の流れはケタはずれに速くて大きい。

鳴門の渦潮

船のエンジン音が海峡に大きく響き渡る。鳴門海峡の南側から進入した咸臨丸は、流れの上流へと向って、「海を遡り」はじめた。
鳴門の潮流は最速で10.6ノット(時速20km)
咸臨丸の航行速力は10.8ノット。ここからは船と海のガチンコ勝負。
非力な船ならば、流れの激しい時間はこの海を遡れなくなる。逆に、足の重たい船も時間を選べば、上流から下流にすごい速度で進めるようになる。

鳴門の渦潮

ついに激しい潮の流れの中に突入。大きなエンジンと潮の流れの音が、乗せる乗客の絶叫や感嘆の声も織り込んで海峡にけたたましく響く。激しい潮の流れは船体を容赦なく打ちつけ、鈍い金属音を立てる。
そして、エンジンを停めると、500人を乗せる巨大な船体もゆっくりと横向きに押し流されていく。ありえないその海の恐ろしいまでの表情に、迫力と同時に恐怖すら感じる。しかし、この渦潮に挑むために用意されたこの咸臨丸はとても頑丈で、激しい潮にもまれても全くびくともしなかった。

鳴門の潮流

目を疑う光景。ここは海。海のはず。しかしまるで川のように海は流れている。海の中に段差が現れ、激流の川のように、一つ間違えれば小さな滝のように海が流れ落ちている。

大鳴門峡

咸臨丸はゆっくりと大鳴門橋をくぐっていく。大鳴門橋は、一番上が高速道路になっていて、その下には新幹線も走れるようにスペースを設けて設計されている。現在は淡路島には線路が引かれていないので、その空いているスペースは橋の保守や観光施設に利用されている。
ロの字型に窓がある空間は「潮の道」という観光施設の展望台。徳島県の鳴門側から約450m、橋の上を空中散歩でき、展望室の足元には45m下の激しく流れる海面を見下ろすガラス床がある。良く見ると、展望室からこちらの船にお客さんが手を振っている。幕末の帆船を模したデザインのこの船は、確かに遠目から見ればとても目立つ。以前に鳴門側から乗った観潮船から見たこの船はとても絵になった。今日は潮の道にいる観光客も、大迫力の渦潮には大満足だろう。

間近で生まれる鳴門の渦潮と流れ落ちる海

鳴門の観潮船

激しい潮の流れをものともせず突っ込んでいくのは「アクアエディ」。徳島県の鳴門側から出港している観潮船のひとつだ。なんと、水中展望室から海の中の渦潮を観察することができる。どうりで、デッキにお客さんが誰も乗っていない訳だ。

鳴門の渦潮

渦潮が発生するのを今や遅しと待っていると・・・来た~っ。
乗客の大歓声とともに目の前に渦潮が出現した。海が渦を巻き、こちらに迫ってくるのは大迫力。最大で直径30mにも到達するという鳴門の渦潮は世界一の大きさ。大きなこの咸臨丸をも飲み込まんばかりの激しさに船上にいてもたじろいでしまう。

鳴門のうず潮

ひるんでなんていられない。よっしゃ~、渦潮の写真撮るぞ~・・・と思った瞬間、渦潮はすぅっと消えてなくなった。
渦潮は洗たく機のように、ぐるぐるとそこでずっと回っているのではない。流れる潮流が複雑な海の中の地形にかき混ぜられ、時々渦を発生させるのだ。だから、渦は発生してもゆっくりと流れてすぐに消える。それに、大潮の激しい流れの時でも、風がいい角度で吹かないと、きれいな渦にならないそうだ。
まさに自然の気まぐれが作り出したアート。絵葉書やポスターのような傑作はいつでも生み出される訳ではないということだ。

鳴門の渦潮

この日は風がどうも悪いようだ。潮の流れは今まで訪れた中では文句なしに一番激しい。しかし、できる渦は迫力があるとはいえ、直径30mに到達する最大級の大渦とはどうも言えない。それでも目の前で次々と生まれては消えていく、文字通り泡沫の大渦に、誰もが魅了されていた。

鳴門のうずしお

大鳴門橋の下をまるで川のように流れる潮流。ゴゴゴゴー!と大きな海の流れる音が、頭上45mにそびえる巨大な大鳴門橋の下でエコーのように響き渡る。渦潮もすごいが、渦潮を生み出すこの海の流れ自体、人智を超えたスケール。まるで天と地がひっくりかえらないまでも、斜めを向いてしまったかと思えるくらい、信じられないくらいの自然現象が目の前で展開される。

鳴門の潮流

瀬戸内海から太平洋へと「流れ落ちて」いく海水。ここは川ではなく、海。確かに海が流れている。

鳴門の急流

激流の鳴門海峡。橋脚の下を激しく大量の水が流れる風景は、大迫力。もし、これがどこかの川だとしても、すごい水量と激しさで名を馳せるだろう。潮流の落差は最大で2mになることもあるらしい。有りえない激しい海の流れには、目を釘づけにされる。

大鳴門橋とうずしお

激しい海の流れ、そして時折できる渦潮を30分近くは船上から楽しむ時間がある。しかし、その地球の神秘を感じる時間は、激しい潮流に流されるかの如く、あっという間に過ぎ去った。
今度は潮流の流れに乗った咸臨丸は、あっという間にこの激しく白波を荒立てる海域を離脱した。ゆっくりと船は福良港へと戻る。先ほどまでの荒々しい海は嘘のように穏やいでいる。1時間ちょっとの船旅だったが、とても素晴らしいクルーズだった。

渦潮の後は船内と待合室にも立ち寄りたい

咸臨丸資料室

咸臨丸の船内(アンダーデッキ)には資料室もある。渦潮を見た後、帰港する間にちょっと立ち寄ってみたい。船内は冷暖房完備で快適な空間だった。

うずの湯

「うずの湯」という無料の足湯が乗船ターミナルのすぐ横にある。その名の通り、渦潮をイメージし、お湯が渦を巻いている円形の足湯が特徴。近くの潮崎温泉の湯を引いており、神経痛・関節痛・筋肉痛などに効果があるそうだ。タオルも有料で用意されているので、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。また、船乗り場の付近には地元特産品を取り扱うお店や飲食店も何軒かあり、楽しめる。

南淡路島の人気の宿

鳴門海峡に面した南あわじ市には温泉が湧き、美味しい海の幸が頂ける暖かい気候の場所。リゾートホテルでの滞在や海鮮がたっぷり食べられる人気の旅館などが多い人気の宿泊エリアです。リゾートホテルとしては「ダイワロイヤルホテル」、料理旅館としては「いび」がオススメです。

うずしおクルーズ

住所: 兵庫県南あわじ市福良港うずしおドームなないろ館
電話: 0799-52-0054
休み: 無休
営業時間: 9:30~16:10(1日6便定期便)、8:50~15:30(1日6便臨時便、予約制)
交通: JR神戸線舞子駅から淡路交通バス福良行きで1時間14分、終点下車すぐ
   神戸鳴門自動車道・淡路島南ICより車で約10分
料金: 大人2000円・子供1000円
駐車場: 約100台・無料

【投稿時最終訪問 2014年6月】

徳島県鳴門の観潮船

鳴門海峡を見下ろす美味しいレストランの道の駅

うずしおと鳴門大橋の記念館

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