吉野川善入寺島【日本最大の中州島と潜水橋】
「善入寺島」(ぜんにゅうじとう)は四国一の大河、徳島県の吉野川にある日本最大の川中島。無人島ながらも5本の潜水橋が島に架り、お遍路さんが歩く遍路道にもなっています。車や自転車でもアクセスでき、島内なは北海道を思わせるような広大な畑やカナダやアラスカを思わせるような大河の原風景が広がり、季節によって様々な花畑が訪れる人の目を楽しませてくれます。
吉野川北岸から潜水橋を渡って善入寺島へ
今回は吉野川の北岸から潜水橋を通って善入寺島へ渡ります。
吉野川北岸の西寄りにある善入寺島へ架かる香美橋(かがみばし)。昭和27年に造られた、橋長147mの潜水橋です。
吉野川の潜水橋や高知・四万十川の沈下橋は橋と川の距離がとても近いことが特徴。川が増水した際、すぐに川の中に潜って流木等に破壊されないために橋脚が低くなっています。また欄干を設置しないことで潜水橋の水の圧力を弱めたり、漂流物が引っかからないようにしてきます。橋の上と川の間の柵がないので、より吉野川をダイレクトに感じらます。
善入寺島に広がる北海道のような一面の畑
善入寺島は日本最大の川中島で、長さ6km、幅1.2kmもの広さがあります。これだけ大きな島を浮かべる吉野川はさすが日本第二位の川幅を誇る大河だと感じさせられます。今は無人島ですが、かつては3000人を超える人々が暮らしていました。島の中を網の目のように道路が走り、一面の畑が広がっています。
一面に広大な畑が広がる善入寺島はまるで北海道かと思えるような風景。夏には所々に広大なひまわり畑などの花畑が現れ、訪れる人の目を楽しませてくれます。島の西部の細い場所を横断しただけでもこれだけの広がりを感じられます。
潜水橋で渡る吉野川はまるで外国の荒野のよう
善入寺島の南側から吉野川南岸に渡る学島橋(がくしまばし)。昭和33年に建造された橋長362mの潜水橋です。
潜水橋で渡る吉野川の流れは広大で、付近には何もないように見えます。まるでカナダやアラスカを流れる川の悠久な雰囲気を感じます。
ちなみに学島橋のすぐ北側に、学北橋(がくきたばし)があります。橋長わずか36mの潜水橋ですが、土砂に埋もれていて道と同化していて、全くわかりませんでした。
郊外とはいえ、人の住むエリアとは思えないほど付近には人工物がない吉野川の風景。唯一の人工物が目の前に架かるこの潜水橋です。
とにかく広い吉野川の河原。中洲である善入寺島にも広大な河原が広がります。善入寺島の西橋には、島を橋脚にして対岸まで多くの車が一気に渡れる阿波麻植大橋が架かっています。今いる学島橋が島の西部にもかかわらず、遠くに見える阿波麻植大橋も同じ島の西部。善入寺島の大きさを実感します。
学島橋を渡り、善入寺島を振り返ります。島の中には建物は無く、まるで海外のアウトバックを旅しているかのような景色が広がっています。
学島橋橋から見る吉野川の流れ。エメラルドグリーンの澄んだ流れは沈下橋のある風景で有名な四万十川に劣らない透明度。いや、下手をすれば西日本最高峰の石鎚山と次鋒の剣山を擁する四国の尾根から水を集め、広大な河原で汚れを落とした吉野川のほうが清冽な水に思えます。
カナダやアラスカの広大な大地を思わせるような吉野川の流れ。流域には多くの人が暮らしていますが、その広い吉野川のど真ん中に身を置くと、誰もおらず何もな広大で雄大ない風景に360°包まれます。人の暮らしの中に居ながらとても遠くの異国に来たかのような場所でした。