ヴェルニー記念館【横須賀製鉄所のスチームハンマー】

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東京の防衛都市として栄え、現在でも自衛隊や米軍基地がある神奈川県横浜市。ずらりと並ぶ艦隊を眺めながら美しいフランス式の庭園を散策できるJR横須賀駅前の「ヴェルニー公園」。ヴェルニーの名はかつてこの地に築かれた横須賀製鉄所を発展させたフランス人技師。その業績をたたえ、江戸時代から平成時代まで様々な船の金属部品を作り続けた巨大なスチームハンマーを保存・展示する施設が「ヴェルニー記念館」です。

自衛隊艦船がならぶ横須賀らしい公園

ヴェルニー公園

JR横須賀駅前にある海沿いの美しい公園が「ヴェルニー公園」です。江戸時代末期に日本に招聘されたフランス人技師ヴェルニーが携わった旧横須賀製鉄所や、自衛艦やアメリカ軍基地を望む海の公園です。フランス式花壇や噴水、洋風の東屋や広大なバラの花壇があり、海沿いにはウッドボードが整備されていて、散策するのにとても気持ちが良い場所です。

ヴェルニー公園からの自衛隊艦船

公園の前の港は海上自衛隊横須賀基地となっており、アメリカ軍基地も隣接しています。ずらりと停泊している空母や艦艇、潜水艦を眺めることができます。武装された艦船がずらりと並ぶさまは、圧巻です。

ヴェルニー公園陸奥主砲

ヴェルニー公園内には、昭和18年に爆発・沈没した戦艦陸奥の第四主砲砲身が展示されています。沈没した海から引き揚げられた本物の砲身で、巨大で精工なつくりをした見事なものです。海に居並ぶ海上自衛隊の艦挺と一緒に写真に写すと迫力があります。陸奥はこの地にあった旧横須賀海軍工廠で建造されており、この砲身は里帰りをした格好です。

日本の近代化の歩みを感じる記念館

ヴェルニー記念館

ヴェルニー公園の西端、JR横須賀駅の目の前にある石壁造りの洋館のような建物が「ヴェルニー記念館」です。江戸時代に末期に日本に招かれた外国人技師で、横須賀製鉄所の建設と運営に尽力したフランス人のフランスソワ・レオンス・ヴェルニーの功績を伝える施設です。急傾斜の屋根と石壁はヴェルニーの出身地、フランスのブルターニュ地方の住宅様式を取り入れられています。入口を入ると、ヴェルニーについてのパネルが展示されています。

ヴェルニー記念館スチームハンマー

館内のメインの展示は、2台のスチームハンマー。江戸時代末期にオランダで製作され、横須賀製鉄所に輸入されたものです。国の重要文化財に指定されています。スチームハンマーは、スクリューなどの船の金属部品を製造した巨大工具で、明治維新から日本海軍の利用を経て約130年間も稼働していました。日本の近代化を支えてきた貴重な立役者が今はその歴史を後世に伝えています。

ヴェルニー記念館

スチームハンマーの原理や模型も館内に展示されています。小さな力で重いものを持ち上げたり、運動エネルギーによって電気を発生させるなどの実験が楽しめます。また日曜日と祝日にの11時と14時からは、スチームハンマーの内部が見えるカット模型が稼働してその仕組みを見ることができます。

ヴェルニー記念館スチームハンマー

2台あるスチームハンマーで小さいほうは0.5トンスチームハンマー。1865年にオランダで製造されたもので重要文化財にも指定されている貴重なものです。江戸時代末期に日本に導入され、昭和46年まで稼働して様々なものを造り出していたそうです。蒸気機関で重たい金属のハンマーを上下させて、鍛造・圧延を行う金属加工機械です。2階にはデッキがあり、巨大なスチームハンマーを上から見下ろせるようになっています。貴重な機会を上から直接見られる機会もななかなありません。階段を登って視てきましょう。

ヴェルニー記念館スチームハンマー

巨大なものは3トンスチームハンマー。なんと江戸時代から平成8年まで、時代を幾度も越えて使用されてきました。展示スペースにはスチームハンマーの現役当時の写真や工具などを見ることもできます。江戸時代末期から明治時代にかけて、日本が一気に近代化を進めた熱気と軌跡を感じられる場所です。駅前という好立地でありながら無料で見られる資料館。横須賀に立ち寄った時にはぜひ見学したい施設です。

ヴェルニー記念館

場所: 神奈川県横須賀市東逸見町1-1
電話: 046-824-1800
営業時間: 9:00~17:00
休業日: 月曜日(祝日、振替休日の場合は翌日)・年末年始
交通: JR横須賀駅から徒歩1分
料金: 無料
駐車場: なし

【投稿時最終訪問 2018年12月】

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