冬の北海道大学散策【3月】

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「北海道大学」は、明治9年に設立された札幌農学校が前身の国立大学。「少年よ大志を抱け」の名言で有名なクラークが初代教頭を務めていました。歴史ある建物と豊な自然が残る大学キャンパスは、一般にも広く開放されており、ゆっくり散策をすることができます。札幌駅から徒歩約7分のアクセスの良さもあり、多くの観光客も訪れるスポットです。東京ドーム約38個分もの広さを誇る広大なキャンパスの中にはハルニレやイチョウなどの木立の中に長い歴史を感じさせるレトロな校舎が建ち、北の大地の開拓風景が点在しており、訪れる人を魅了しています。雪深い冬の散策は観光客には厳しいですが、寒さと積雪の和らぐ3月には冬の北海道大学の美しさを感じながらゆっくりと散策ができます。

札幌駅徒歩すぐの観光名所は大学キャンパス

北海道大学正門

JR札幌駅北口から歩いて10分もかからず、北海道大学の正門に到着します。中に勝手に入っても大丈夫かと心配になりますが、とてもオープンな雰囲気で、地元のランニングをする方も普通に中に入って行きます。

北海道大学エルムの森

正門左手には「エルムの森」というインフォメーションセンターがあり、観光客のための散策地図も無料配布されています。大学構内を本当に散策してもいいんだと、ほっとする建物です。散策の前に是非立ち寄りましょう。

エルムの森内部

エルムの森の中はウッディな空間。キャンパス案内の他、カフェレストランやオリジナルショップがあり、大学関係者以外も一般に利用することができます。暖かで心地よい空間なので、ついついゆっくりしたくなります。

小川が流れる美しい北海道大学のキャンパス

中央ローン

正門からまっすぐ進むと、木立の中に緩やかに小川が流れる場所があります。「中央ローン」と呼ばれる場所で、緑の季節には芝生と木々の木陰が美しい森になります。冬には一面の雪に覆われ、その雪の間を流れていく川が長い冬の終わりを告げているようです

北海道大学中央ローン

建物の間をすり抜けるように、森の小川が流れている景色は独特で不思議な風景。まるで何かの物語に出てきそうな場所に思えます。ここが市の中心部にある大学のキャンパスの中とはとても思えません。緑の季節なら、この木陰でゆっくりすることがとても気持ち良さそうです。

古河講堂

中央ローンを抜けると、白さが眩しい美しい洋館があります。これは明治42年に建てられた「古河講堂」です。アメリカン・ヴィクトリアン様式建築の貴重な建物で国の登録有形文化財に指定されています。大学の研究施設として使用されているので中に入ることはできませんが、歴史を感じるその姿には目を釘付けにされます。美しい自然と重厚な歴史の中で学べる北海道大学の学生さんは羨ましく思えます。

北海道大学クラーク像

古河講堂のすぐ前、中央ローンを背にしての前にクラーク博士の胸像があります。観光スポットとして有名な羊ヶ丘展望台のクラーク像とは別のものです。雄大な風景の前でポーズをとる羊ヶ丘のものと違い大人しい印象ですが、かつてクラーク博士が教鞭をとった大学に設置されており、記念撮影をする人が絶えない場所です。

森とレトロな校舎が織りなす美しい北海道の開拓風景

エルムの森と北海道大学農学部

クラーク像と農学部校舎の間には「エルムの森」とよばれる広い森があります。数十本のエルム(ハルニレ)がそびえており、開校当時から校舎を見守る樹齢100年を超える巨木もあります。

北海道大学ラウンドアバウト

キャンパスを南北に走るメイン通りにとの交差はラウンドアバウト(環状交差点)になっています。北の大地のレトロな建物に囲まれた風景はまるで外国のように思えます。

北海道大学農学部

正門からまっすぐ進んだ道の突き当たり、木立を覆い囲むようにして建つ重厚な建物があります。これは農学部の校舎です。北海道大学のはじまりの学部だけあって、とても風格があります。

北海道大学旧札幌農学校図書館

明治35年に建てられた「北海道大学旧札幌農学校図書館」。当初は中央図書館として建てられ、昭和時代には農学部図書館として使われました。赤い屋根と白い壁が際立つレトロな建物で、国登録有形文化財にも指定されています。ハルニレの木立に囲まれた建物はとても絵になります。

北海道大学エルムの森

農学部校舎の前に広がるエルムの森には数十本のハルニレの木があり、散策路が通っています。樹齢100年を超える巨木もあり、歴史ある建物も点在する森の散策は、別の世界に迷い込んだような気にさせてくれます。

旧北海道帝国大学農学部昆虫標本室

ハルニレの木立の中に佇むように石造りの建物は、昭和2年建築の「旧北海道帝国大学農学部昆虫標本室」です。昭和時代の建築ですが、蔦の絡み付いた石壁が森の中でとても美しい姿を見せてくれます。葉を落とした冬にも、雪の中に建つ重厚な雰囲気は北海道のレトロさを感じられる素敵な風景です。

旧昆虫学及養蚕学教室

緑色の屋根の建物は、明治34年築の「旧昆虫学及養蚕学教室」です。国登録有形文化財に指定された大学構内最古の教室です。雪のエルムの森の中に佇むように明治時代の洋館が建ち並ぶ風景は、当時の北海道がそのまま目の前に現れたような、美しい世界です。

北海道大学メイン通り

農学部校舎付近を散策したら、メイン通りに戻り北上しましょう。左右に様々な学部の建物が並ぶキャンバスは他の大学と比べ物にならないとても広く、一直線に進む道の先が見えません。多くの自然もあり、散歩をしたりランニングする市民の方も多く見かけます。3月になれば路面に雪が積もることも少なくなるので、雪になれない観光客が冬の北海道大学を見学するには良い時期といえます。

北海道大学総合博物館

途中、重厚感あるレトロな建物があります。ここ「北海道大学総合博物館」は、昭和4年に建築された鉄筋コンクリート造りの建物の内部で、札幌農学校開学以来の学術標本や資料などを保存・公開されています。無料で一般にも開放されており、時間があれば是非立ち寄りたい施設です。

北海道大学冬のポプラ並木

北海道大学を代表する風景のひとつがポプラ並木です。総合博物館から西へ行くと、交差する細い道が67本のポプラが並ぶ全長250mの並木道になっています。樹齢100年を超える個体もある並木が、広大な空間の中に一直線に続く風景は圧巻。青々と葉々が茂る夏の景色や、色鮮やかな紅葉の時期が人気ですが、冬枯れの雪景色もとても美しく感じます。並木道は80mほど散策可能で、ポプラの間からのぞく農場の風景は北の大地を感じられます。

北海道大学冬の大野池

メイン通りに戻り、再び北に向かいキャンパスを歩くと、「大野池」があります。野鳥や蓮の花などが美しい池ですが、冬場は全面凍結して北海道の冬の厳しさを見せてくれています。大野池のすぐそばには「中央食堂」があります。学生食堂ですが、平日のランチタイム以外は観光客も利用することができます。安くて美味しいメニューが揃う中でも不動の人気を誇るのが「牛とろ丼」。生ハムと同じ製法でつくられた北海道産の牛トロをたっぷりと乗せた極上の丼です。

北海道大学冬のイチョウ並木

大野池を過ぎると、東側に向かう道が見事ななイチョウ並木になっています。長さ約380mの道路の両側に70本のイチョウが植えられており、黄葉の季節は絶景になります。葉を落とした冬にもそのズラリと並ぶ並木の美しさが際立っています。

クラーク時代の施設がそのまま残る札幌農学校第二農場

札幌農学校第二農場管理棟

北海道大学キャンパスの北端にある「札幌農学校第二農場」は是非見学しておきたいスポット。開校当時の農場がそのままに残っており、北海道の開拓時代にタイムスリップしたかのような景色を見ることができます。
第2農場の入口にある管理棟も明治43年に建てられた歴史ある建物で、現在は警備員詰所として使用されています。見学者はここに立ち寄り記帳してから場内に入ります。

札幌農学校第二農場

北海道初の畜産経営の実践農場として明治9年に開設された札幌農学校第二農場には当時の建物がそのまま残っています。凍てついた池の向こうに広がる広大かつレトロな風景には思わず見いってしまいます。

冬の札幌農学校第二農場

札幌農学校第二農場には9棟の歴史的建造物が保存されており、そのうち「模範的家畜房」と「穀物庫」が内部公開されています。内部の造りや明治初期に使用されていた貴重な農機具を見ることができます。ただし公開期間は4月29日から11月3日なので、3月の冬の時期に訪れても内部を見学することはできません。それでも雪の農場の風景は他の場所では絶対に見ることができない美しいものです。

札幌農学校第二農場製乳場

場内で目を引くレンガ造りの建物は明治44年に建てられた「製乳場」。冷蔵庫やチーズなどの乳製品の加工室として利用されていました。

札幌農学校第二農場釜場

製乳場の奥にある石造りの建物は「釜場」。家畜飼料などを大釜で煮込んで加工を行っていました。木造の建物が多い中、石造りにされたは、火を使うための防火だったそうです。煙突を突き出した冬の森は北欧を思わせるような雰囲気も感じます。

札幌農学校第二農場牧牛舎

場内でも一際大きな建物が、明治42年に建てられた「牧牛舎」です。搾乳牛舎として当時の最新技術が導入されており、建物の裏側には立派なサイロもあります。

冬の札幌農学校第二農場

牧牛舎の横には、こちらもかなりの大きさの模範家畜房がならんでいます。歴史を感じる重厚な木造の建物が雪の中にずらりと並ぶ風景にはどこか感動すら覚えます。

冬の模範家畜房

模範家畜房は明治10年に建てられた、日本最古の洋式農業木造建築。1階が家畜舎、2階が干草置き場になっている大きな牛舎です。内部に屋根を支える柱がないことが特徴で、国の重要文化財に指定されています。

冬のコーンバーン

園内の一番奥にあるのは、明治10年にトウモロコシの貯蔵庫として建てられたコーンバーンと呼ばれる穀物庫。雪で見えにくいですが、高床式になっていて、入口へはスロープを登ります。隣の建物は収穫室と脱ぷ室で、渡り廊下のように見えるベルトコンベア施設で連結されています。連結された木造の建物はとても独特で、開拓時代の雰囲気を色濃く感じられます。しかし、この建物内には動力室があり、スチームエンジンで脱穀などの機械作業を当初から行っていたというので、驚きです。

雪の札幌農学校第二農場

雪深い北の大地に佇むレトロな建物。広い日本の中を探してもおそらくここでしか出会えないような素敵な風景が、大都会札幌の中心にありました。電車の待ち時間など駅のロッカーに荷物を預けてぜひ散策に出かけたい場所です。ただし、広大な敷地なのでスニーカーなどの靴の用意と電車の時間の注意は必要です。冬はスノーシューズなどがあればなおベストです。

北海道大学観光に便利な札幌駅付近のオススメホテル

北海道大学

場所: 北海道札幌市北区北8条西5丁目
電話:011-716-2111
各施設営業時間
エルムの森 8:30~17:00( 12月29日~1月3日休業)
総合博物館 10:00~17:00(月曜日休館、祝日の場合は翌平日)
札幌第2農場 10:00~17:00(毎月第4月曜日休業、内部公開は4月29日~11月3日)
料金: 入場無料
交通: 札幌駅より徒歩7分
駐車場: なし

【投稿時最終訪問 2018年3月】

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