日本水仙花開道【だるま夕日とスイセン畑】

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愛媛県伊予市双海町。海に沈む夕日が美しい町で、夕やけドライブの名所で、JT四国の観光列車が走る町だ。そんな双海町の冬の名所のひとつが「日本水仙花開道」だ。
冬には双海町では神秘的な「だるま夕日」を見られるので、スイセン観賞の後にサンセットを楽しめる夕方の時間に訪問した。
下灘運動公園の駐車場に車を入れる。当然、用事がなければ勝手に車を入れてはいけないが、この時期は水仙畑の見学に解放されている。車を停めてからは歩きだ。水仙畑までは約10分。ガイドブックなどで大々的に紹介されていないのは、畑が個人の所有物であるからだろうか。
駐車場からは、斜面に広がる畑は見えるが、どうやって行くのかはわからない。水仙畑への道しるべもない。水仙を手にした観光客が山の方から下りてくる。どうしてもわからなければ、その観光客に道を聞くのも手だ。
横断歩道を渡り、水仙畑に向かおうとするとと、おじいさんが歩み寄ってきた。
「水仙畑に行きなさるのか?道はあっちじゃ」
道案内役か、それとも地元の人が偶然親切に教えてくれたのか。笑顔でお礼を言って、水仙畑への道へ進んだ。水仙畑へのすぐ近くのガソリンスタンドの横の道を山の方に進み、JRの線路を手前に右手に曲がり、ひなびた道を歩く。昭和の匂いを否応なしに感じる少し薄暗いノスタルジックな道を1分ほど行く。すると、土手を登る道に活けられた水仙と小さな看板。ここが水仙畑の入口だ。
土手を登るとJRの線路に出る。踏み切りが無いので、十分に注意して線路を横切る。そして、細い路地を登っていく。青い海と、港町の景色がどんどんと足元になっていく。

港町の上に広がる展望が素晴らしいスイセン畑

日本水仙花開道への道

今年の冬は暖かい。まだ1月も半ばだというのに、周囲には菜の花が咲き始めている。驚きを通り越し、不安を感じる景色だ。菜の花には悪いが、寒の戻りを願いたくなる。
しかし、このJR(予讃線)の土手は、暖かくなると、一面の菜の花が咲きほこる。海と、菜の花と、線路。春の旅情あふれる風景が今から楽しみになる。

日本水仙花開道

何度か九十九折を曲がると、山の上から爽やかな匂いが漂ってくる。ついに水仙畑に到着だ。
山一面に水仙が咲きほこる、美しい景色が広がる。まるで、夢の中に出てきそうな景色。花の美しさと、その甘い香りに誘われて、山を登る足取りも軽くなる。

僅かな時間ながらも夕日が美しいスイセン畑

夕方の日本水仙花開道

残念ながら、夕日と水仙畑を撮ろうと企てたのが裏目に出た。水仙畑のある双海町は北西向きの海岸線を持っており、美しい夕日が見れることで有名な町だ。しかし、水仙畑の斜面は東北向き。夕方の太陽を水仙畑は背負ってしまい、夕方には光が入らなくなる。
しまった、急いで撮らないと・・・
そう思ってシャッターを切り出すが、無常にも水仙畑に降り注ぐ光は失われる。

日本水仙花開道と夕方の伊予灘

・・・ああ、朝に来ればよかった。
しかし悔やんでも仕方ない。撮りたかった景色を無理矢理、力技で無理矢理表現してみた。こうやって、目に見える景色とは違う景色を作り出せるのが、カメラの魅力だ。

夕方の日本水仙花開道

カメラでは伝えられない、香り。とても気持ちが安らぐ、優しく、そしてどこか懐かしい水仙の香り。所々にある、丸太を組んだ簡易なベンチに腰を下ろし、畑一帯を優しく包む香りを思いっきり楽しんだ。遠い海から運ばれてくる風が、少しずつその優しさを失い、寒さを伝え始めだす。そろそろ帰ろうか・・・
どうやら僕がそう思うのは、普通の人よりも遅いらしい。畑の中にある小屋。ここでは畑の主人が水仙を売っている。1本20円。
しかし、どうやら今日は売れ行きは良かったようで、もう小屋は閉め、店主は帰路に着いた後だった。水仙も手に入れそびれた・・・
国道近くまで戻る。すると、先ほどのおじいさんがまだそこに立っていた。
「おもしろかったかのう?」
人懐っこく笑うその表情。
「楽しかったです。」
自然にこちらも笑顔で返した。
なんだか、家から近くの場所なのに、遠い場所に来た気持ちになった。こうやって、知らない場所で、知らない人と話す。それが旅の魅力だった。
こんな旅が好きで、以前はひとりで知らない場所をいろいろと訪ねた。そんな、忘れていた旅の魅力が、駐車場の車へと足を向かわせなかった。

夕方の双海の漁港

スイセン畑での光は失われても、国道まで戻れば、再び海から夕日が照らしてくれる。「夕日が立ち止まる町」という双海町のキャッチフレーズは伊達ではない。向かった先は漁港。夕日と、係留された漁船。その、夕日色に染められた景色は、とても遠くの景色に思えた。どこか懐かしいような、それでいて全く知らないような景色は、船と一緒に僕の心もここに繋ぎ止めた。その後は「ゆうやけこやけライン」と名付けられた国道378号線を松山に向けて走る。夕日に色づいた景色の中を走るドライブ。最後は道の駅「ふたみシーサイド公園」で海に沈む夕日を眺める。1日の最後を飾るにはもってこいだった。

夕日を眺めた後は道後温泉で宿泊しよう

日本最古の温泉とされる道後温泉までふたみシーサイド公園からは車で1時間弱。道後温泉には数多くの宿があり、どの宿にも趣向をこらした温泉を楽しめ、さらには湯篭をもって浴衣姿で道後温泉本館や椿の湯といった外湯巡りも楽しめます。道後温泉から伊予鉄道の駅に続く商店街「道後ハイカラ通り」にはたくさんの店が並んでおり、各ホテルの軒先には無料の足湯があり、道後温泉は散策するにはもってこい。海にも近く美味しい魚を食べられる店も多数。遅めの夕食を食べられる宿、夕食なしのプランの宿ならもってこい。また松山市内にも温泉つきのシティホテルがいくつかあるのでそちらに宿泊するのも気持ちが良いです。

日本水仙花開道

場所: 伊予市双海町串194
電話: 089-994-5852(伊予市観光協会)
営業時間: 9:00~17:00
開園日: 12月下旬~2月中旬
休業日: 無休
交通: 松山自動車道伊予ICから約30分、徒歩15分
料金: 無料
駐車場: 30台 (無料・しもなだ運動公園を利用)

【投稿時最終訪問 2013年2月】

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