佐田沈下橋 【四万十川最下流・最長の沈下橋】

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最後の清流と呼ばれる高知県・四万十川。全長196kmの長い川ながらも、海にかなり近い下流付近でも開けた町が無く、日本の原風景と感じる川の暮らしが今も流域にある。
その原風景のひとつが、流域に20本以上残る沈下橋だ。四万十川の沈下橋を訪ねながら川を下ると、四万十川最下流の最後の沈下橋が「佐田沈下橋」だ。
四万十を下ると最後にたどり着く橋になるが、四万十観光の拠点の旧中村市(現四万十市中村)から見れば最初に出会う沈下橋になる。そのため、この沈下橋は最もメジャーで、最も人が集まる沈下橋だ。

四万十川で一番長い沈下橋は川遊びもできるスポット

佐田沈下橋

佐田沈下橋に到着。今までの沈下橋とは違い、とっても多くの人が訪れている。さすがに最下流の沈下橋だけあって、その橋の長さは今までの沈下橋とは比べのにならない。
実際に橋の全長は291mで、四万十川の沈下橋では最も長い。ちょうど偶然に観光客の姿が切れた一瞬をカシャリ。はるか彼方まで続く細くて欄干の無い沈下橋を渡るのは少しスリリングに感じる。

佐田沈下橋とカヌー

この沈下橋には多くの人が集まる。カヌーを楽しむ人も多い。それに人だけではない、大きなゴールデンレトリバーも。
主人の合図とともに、待っていたかのように川に飛び込み、見事な犬かきを披露。周囲の人の目を釘づけにした、今日一番の人気者だ。

長い沈下橋を渡るのは思った以上にスリリング

佐田沈下橋

さあ、長い佐田沈下橋を渡ろう。
とても長く、とても細い橋。沈下橋は川の氾濫時、川に流されないように水の中に沈むように設計されている。そして、水に沈んだ時の抵抗を極力少なくするために、欄干は設けられていない。
欄干の無い橋は川の流れをダイレクトに感じられて、とても水に近い。自然を間近に感じられるのも、沈下橋の特徴だ。
この沈下橋は長いからか、ところどころに車同士が離合ができるように幅が広げられている。実際、時々車同士がここで離合していた。見ていてもヒヤヒヤする。

佐田沈下橋と四万十川

沈下橋から上流を眺める。四万十川最後の沈下橋がある場所にも関わらず、付近にはほとんど建物がない。色濃く自然が残る美しい風景だ。ここだけではなく、こんな風景が、四万十川はずっと続いている。
この付近は川の水深が浅いため、四万十川の風物詩といえる「屋形船」は入ってこれないようだ。ここから少し上流に行ったところに、屋形船の乗船場がある。

佐田沈下橋から望む四万十川

今度は沈下橋から下流を望む。四万十川はこの先10kmも行かないうちに中村の市街地にたどり着く。確かにもう少し下ると民家は多くなるが、この美しい風景はずっと続く。そして、中村の市街地に入る直前に、四万十川は一気に表情を変え、少し町っぽくなる。それでも、のどかで自然豊かな表情は色濃く残したままだ。
これが四万十川が「最後の清流」と呼ばれる理由だろう。川の源流から河口手前まで、穏やかで素朴な日本の原風景と呼ばれる美しい里山と、手つかずの自然の風景が続く。人と共存する豊かな自然が四万十川の流域に広がっているのだ。通常川沿いに大きな町が発展するが、四万十川流域には人が集まる街は河口と中流に1箇所ずつしかないのだ。

四万十川ゴリ漁

そして、もう一つ「最後の清流」と呼ばれる理由がこれだろう。今も川の所々で漁が行われていて、今もこの川で生計を立てる人も少なくないそうだ。
川の一部に石を積み上げて、そこに入ってきたゴリというとても小さな魚をとる。黙々と漁を続ける漁師の姿に、昔からそこで生きる人の暮らしと職人の気質を垣間見た気がした。
昔から変わらない生活と風景が今もずっとこの流れの中に生き続ける。これが「最後の清流」と言われる四万十川の美しさの本質なのだろう。僕は昔かなんら変わらないであろう川音を聞きながら、そう確かに思った。

佐田沈下橋地図

さて、最後に佐田沈下橋付近の道路状況の案内。
沈下橋まで県道340号線は、細くブラインドカープが続く場所もある。レンタサイクルでこの橋を目指す人もいるので、運転には十分注意したい。
橋の入口は看板が出ているのですぐにわかる。南側の道は細いので、北側から入る道を利用したい。道を進み、沈下橋を通り過ぎて少し行ったところに佐田岬展望台があり、10台程停められる駐車場がある。きれいなトイレと東屋もあり、自動販売機も備え付けられているのがうれしい。四万十側の沈下橋の中では最も観光化されているが、それでも周囲は素朴な雰囲気だ。
連休などは車がいっぱいで、県道から沈下橋への道の路肩には駐車する車でいっぱいになる。しかし、意外に駐車場の存在を知られておらず、駐車場はガラガラだったりする。路肩駐車が多いと、Uターンはしにくいが、駐車場か沈下橋への分岐路でUターン可能だ。

四万十川の宿泊案内

最後の清流と呼ばれる四万十川の美しい所は流域には大きな町がないこと。昔の日本を思わせる小さな集落が連続する四万十川の流域には、ロハスを意識した小規模な宿があり、ホテルは河口の中村に集中します。流域での宿泊でオススメな宿は、四万十川を見下ろすスタイリッシュなホテル「四万十星羅」や露天風呂が気持ちよいと人気の「松葉川温泉」です。

佐田沈下橋

住所: 高知県四万十市今成向イ
営業時間: 見学自由
交通: 土佐くろしお鉄道中村線中村駅から車で15分
駐車場: 有り(約10台・無料、県道から沈下橋に向かう道の路肩にも駐車可能)

【投稿時最終訪問 2008年5月】

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