潮明寺【大木の中の弘法大師像と土佐泊】

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渦潮で有名な徳島県鳴門市。もちろん最も人気の観光名所は鳴門海峡ですが、そこから少し、車で10分ほどのところにある隠れた名所が「潮明寺」(ちょうめいじ)です。土佐日記を記したことで知られる平安時代の歌人、紀貫之が立ち寄ったことでも知られる土佐泊という場所にあるお寺で、アジサイで有名です。しかし近年、アジサイ以外にも境内にあるイチョウの巨木の中に弘法大師の姿が拝めると参拝に訪れる方が増えています。

徳島のアジサイの名所でもある古刹

潮明寺山門

潮明寺がある土佐泊は高知県ではなく、渦潮で有名な徳島県鳴門市の大毛島にあります。島とは言え、本州にも四国にも橋でつながっており全く島とは思えない場所です。それでも四国側、鳴門市本土からは「岡崎渡船」が運営する渡し船が寺の近くまで出ています。無料で乗ることが出来き5分ほどの船旅ですが、かつての船旅の旅情を味わうことが出来ます。船を降りて歩いて10分弱です。

潮明寺

潮明寺は大きなお寺ではなく、観光客もほとんど訪れません。地元のお寺といった雰囲気ですが、阿波水軍の菩提寺として建立された歴史のあるお寺です。四国のお遍路さんの宗派であり、弘法大師を教祖とする真言宗の寺院で、新四国曼荼羅霊場4番札所となっています。御本尊には1615年につくられたとされる十一面観音が安置されいます。また徳島のアジサイの名所となっており、6月には境内には色鮮やかなアジサイが咲き誇ります。

大木の中にある神々しい弘法大師像

潮明寺イチョウの中の弘法大師像

潮明寺を有名にしたのは、境内にある樹齢400年といわれる大きな銀杏の木です。この木の幹には昭和35年に弘法大師の像が刻まれましたが、木の成長とともに木の内部に取り込まれました。その姿がとても神々しく、話題になっています。

イチョウの中の弘法大師像

木の中にあるように見える弘法大師像。木の成長を考えなければ、どのようにしてここに安置されたのかとても不思議で、神仏の御業と思えてしまいます。60年という長い年月を経て今のような奇跡的な姿になったのですが、まだ木の成長は続いており、あと50年もすれば完全に木の中に弘法大師像は飲み込まれてしまうそうです。

紀貫之が歌にも詠んだ土佐泊

潮明寺紀貫之の歌碑

潮明寺がある土佐泊は平安時代には京都と土佐を結ぶ海上交通の要所となっていました。この先にある急潮流の鳴門海峡を抜けるための潮待ちの港として多くの船や人が滞在しており、土佐に向かう船が立ち寄る事から土佐泊という名前になったそうです。
古今和歌集の選者のひとりである紀貫之は、土佐の国司を務めて京都に帰任する際の日記「土佐日記」にて、この土佐泊に立ち寄り「年ごろを すみしところに何しおへば 来よる波をもあはれとぞ見る」という歌を残しています。潮明寺には江戸時代の1867年に造られたという歴史ある紀貫之の歌碑があります。平安時代の歌を思い造られた江戸時代の歌碑はとても歴史ロマンを感じます。

■鳴門のリゾートホテル

潮明寺

住所: 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字高砂22
電話: 088-687-0836
料金: 無料
期間: 通年
交通: 神戸淡路鳴門自動車道・鳴門北ICより約5分
   岡崎渡船・土佐泊より徒歩約6分
駐車場: あり(境内内に駐車可能・無料)
   
【投稿時最終訪問 2020年5月】

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