大神山神社奥宮と金門

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日本百名山のひとつで伯耆富士とも呼ばれる鳥取県の「大山」。その大山をご神体とする深い森の中に奥宮を持つのが「大神山神社」です。大山の山麓、標高900mの山中にたたずむ大神山神社の歴史は古く、かつては何千人という僧兵を擁した修験場でもありました。深い森の中、厳かな雰囲気の参道は神々しい雰囲気だけでなく、美しい自然を眺めながら参拝ができます。

神秘的な雰囲気の長い自然石の参道

大神山神社参道

明治時代に分離した大山寺の山門と並ぶ大神山神社の鳥居をくぐると、延々と石畳の参道が続いています。本殿までのその長さはなんと700m。自然石を使った参道としては、日本一の長さを誇ります。
美しく敷き詰められた石畳、覆いかぶさるように立ち並ぶ巨木。参道は完全に俗世から隔離されており、神々が宿る場所にふさわしい厳かな雰囲気です。参道途中には「延命長寿の御神水」という湧水があります。とても美味しい湧水で、寿命が延びるというご利益。忘れずにありがたく頂きましょう。

大神山神社参道

日本一の長さだけあって、立派な石畳はどこまでも続き、終わりがないようにすら思えます。
深い森に囲まれ、緑の光が石畳に木々の影を落とし、苔を彩る。一歩一歩進むごとに厳かな気分に心が包まれていきます。

境内の入口に鎮座する神秘的な神門

大神山神社奥宮

参道を進み、もうすぐ大神山神社の本殿。そう教えてくれるのが、最後の階段の前に鎮座する、立派な神門です。

大神山神社神門

しかしこの神門、とても不思議です。神社というよりも、お寺のようです。実はこの神門、明治時代の神仏分離令で大神山神社から別れた「大山寺」からそのまま移築されたものです。そのため、閂をつける側が境内の外側になっており、「後ろ向き門」と呼ばれています。(写真は本殿側から振り返って撮影したものです)

神仏混合様式の巨大な奥宮本殿

大神山神社本殿

山門の奥に大山神神社奥宮が鎮座しています。
大神山神社の奥宮本殿は国の重要文化財に指定されており、権現造りとしては日本最大級の建物。重厚な造りは、長い歴史を感じさせてくれます。付近には大山の原生林が広がっており、とても静か。深い森の中に両翼50mを超える巨大な神殿が鎮座する場所は荘厳さが凛として漂っています。

大神山神社

大神山神社は明治時代まで神仏混合であったので、社殿の内部は、神仏混合様式の美しく壮大な装飾・造りが施された天井と壁になっています。神社のようでお寺のようでもある、大自然の中の信仰がさらに神秘的に感じます。
奥宮の右横からは、ご神体である大山へと登る登山道が、深いブナの森の中に通されています。冬季には深い雪に覆われる大山での祭事を行うため、この山麓の地に奥宮が創建されたそうです。

大山の絶好のビューポイント「金門」

大神山神社金門

奥宮を参拝したら帰り道で是非立ち寄りたいのが「金門」です、参道から少しだけ脇道に入った場所にあります。深い森の中、突然視界が開けると、ご神体の大山の姿が目の前に飛び込んでくる場所が金門です。
目の前に広がる河原は「賽の河原」と呼ばれ、いくつもの小石塔と地蔵が立ち並んでいます。賽の河原は、親を亡くした子どもが親の供養のために石を積み上げるが、完成間近に決まって鬼に壊されてしまう場所。そんな仏教の世界が神社の神域にあると、美しい風景も相まって恐れよりも神々しさを感じてしまいます。
賽の河原の向こうには、荒々しい岸壁を見せる大山の勇姿。この金門は、大神山神社のなかで随一の大山展望スポット・写真撮影スポットです。大神山神社の神域から大山全体の姿を一望できる場所はここしかありません。

金門

大山北側から流れ出る水を一手に集める元谷。その元谷を流れる佐陀川を、まるで門のように川岸から巨石がせりだして流れを変えているのが金門です。それはまさに扉のように川の流れを閉ざしている場所。元々そこにあったのか、川の流れが巨岩を穿ったのか、それとも神仏の御技なのか。広い河原はこの門をくぐり、滝のように流れ落ちていきます。それはまるで、ご神体である大山から流れ出す力を、奥宮のすぐそばで受け止めているかのようです。

金門からの大山

河原から上がり、石を積んで少し展望台のようになっているところから望む大山。ここからの風景は遮るものがなく、とても美しいのです。何度かお世話になった「森の国大山フィールドアスレチック」のガイドも、この金門から望む大山が最も美しい風景のひとつと教えてくれました。まさにその通りだと思う、とても素晴らしい風景です。

大神山神社からの大山

賽の河原から望む大山北壁。大山は標高1700mちょっとの山ですが、この風景はまるで北アルプスのカールのよう。大山は火山地形のうえ、日本海から直接強烈な冬の北風を浴びるため、今も崩れ続けています。その為、崩れ落ちた部分が、太古の氷河に削られたモレーンのようになり、アルピニズムを感じる風景と化しているのでしょう。
余談ですが、大山は「伯耆富士」と呼ばれています。しかし、このアルペン的な風景からは全く「富士」を感じさせるものはありません。
実は大山は東西に長細い三角形の柱のような山容をしており、西側の真正面からは富士山のように見えますが、北側・南側から見た風景はアルプスを思わせる険しい風景となるのです。
この賽の河原は北側から大山を眺めていることになります。西側の牧場が広がる大山山麓から大山を見上げると、それは穏やかでなだらかな富士の形に見え、全く別の山のよう。見る角度によって、全く違う表情をするのも、大山の魅力なのです。

大神山神社の参道は石畳の上長時間の登り道を歩きます。スニーカーなどの歩きやすい靴で、時間に余裕をもって参拝しましょう。

■大神山神社参道近くの宿

■大山山麓の高原の温泉リゾート

■大神山神社から車で30分の海から湧く温泉

大神山神社 奥宮

住所: 鳥取県西伯郡大山町大山1
電話: 0859-52-2507
参拝料: 無料(昇殿参拝は初穂料中学生以上300円)
休み: 年中無休
営業時間: 境内自由(昇殿参拝は9:00~16:00)
期間: 通年(ただし冬は豪雪に覆われる)
交通: 米子自動車道・米子IC/溝口ICより約20分
   駐車場より参道入口まで徒歩約10分
   参道入口から奥宮まで徒歩約15分
駐車場: 夏季無料(約1000台)
    冬季有料(スキー場用となり、1台1000円)

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