本居宣長記念館【本居宣長旧宅鈴屋】

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松阪牛で有名な三重県松阪市。江戸時代は紀州藩領で伊勢商人が活躍した商売の町でした。そんな松阪が輩出した江戸時代の偉人が本居宣長。日本史の教科書にも出てくる国学者で、著書に古事記伝がある事でも知られている人物です。松阪のかつての中心、松阪城跡には「本居宣長記念館」があり、資料や足跡、そして生涯のほとんどを暮らして書斎を結んでいた旧家などが展示されています。

本居宣長について楽しく学べる記念館

本居宣長記念館

松阪城の一角にある大きな建物が「本居宣長記念館」です。松阪の商家に生まれ、松阪で医師を営みながら古文の研究や講義を行っていました。一時は領主である紀伊藩にも仕え、大勢の門下生を持っていた人物です。

本居宣長記念館ホール

1階に入ると壁一面の窓にウッディなテーブルと椅子が備え付けられた心地よいホールがあります。しかしここは休憩ではなく学びの場。◯、△、□の形をしたテーブルにはそれぞれジャンル別の本居宣長に関するクイズがあり、テーブルの上のパネルをめくると答えがわかるようになっています。歴史を学び始めた小学生も楽しめる工夫があります。このクイズを通して、本居宣長についての知識をより深めることができます。 

本居宣長記念館タッチパネル

ホールの窓際のテーブルには大型のタッチパネルが備え付けられています。本居宣長に関する資料がサムネイル形式で並んでおり、選ぶことでその資料を閲覧することができます。最新型の資料展示で、気軽に見たい資料を探して読むことができます。

本居宣長記念館資料室

展示室には、本居宣長直筆の書物など貴重な品が展示されています。国学者、医者のほかにも鈴のコレクターや地図好きだった本居宣長が集めたものは数たくさん。見ているとその人なりも垣間見ることができます。また、記念館には国の重要文化財である「古事記伝」の再稿本も収蔵されています。

本居宣長記念館講義室

2階には講義室があります。本居宣長関連の書籍が収蔵されており、学会や発表会、レクチャーなどの講座がここで開催されるそうです。

今も残る古事記伝が書かれた書斎

本居宣長旧宅

本居宣長記念館に隣接して、本居宣長旧宅があります。松阪市内にあった本居宣長が12歳から亡くなる72歳まで過ごした実際の家が松阪城内に移築されています。明治42年に移築された旧宅は今も大切に保存されており、当時と変わらない伊勢商人の暮らしを見ることができます。本居宣長記念館と共通券で内部を見学が可能です。

本居宣長旧宅鈴屋

旧宅の2階には、本居宣長が古事記伝などの編集を行った書斎になっています。内部公開はされていませんが、石垣に登ると書斎の内部を遠くから眺められるようになっています。ここで教科書にも出てくる有名な著書が記されていたと思うと、少し感慨深いものがあります。
なお、本居宣長旧宅の屋号は「鈴屋(すずのや)」といいます。これは本居宣長が鈴の音が好きで、収集した鈴を書斎にいくつもぶら下げて楽しんでいたことが由来だそうです。現代作家が執筆作業にBGMをかけるように、本居宣長は鈴の音をBGMに古事記伝を作り上げたのでしょう。

今も残る本居宣長が住んだ屋敷

本居宣長旧宅土間

家の中に入るとそこは土間。吹き抜けた空間にいくつものかまどが置いてあります。当時のことを知らなくても、大人数の食事を作っていた豊かな家の台所であることが想像できます。多くの門下生を相手に自宅で講義をしていた本居宣長でしたので、ここで共に食事をすることもあったのかもしれません。

本居宣長旧宅

いくつもの和室が繋がった、屋敷ともいえる当時の豪邸だった家屋内には靴を脱いで上がることができます。いくつもの和室が連なった屋敷内は華やかさはないものの立派で落ち着いた佇まい。天井には近代的な照明は取り付けられていません。電気照明がなかった当時の暮らしの明るさが体験できます。この日は曇りでしたが、庭から入り込む光が美しい和の空間を照らし出してくれています。のんびりとくつろぎたくなる場所です。

本居宣長旧宅

「店の間」「おいえの間」「中の間」「奥中の間」「仏間」「奥座敷」「台所」が一体となった旧宅はとても広く、壁一面の窓から光が射し込みとても過ごしやすいわの居住空間が広がっています。本居宣長が暮らしていた当時とほとんど変わらない江戸時代の商人屋敷がそのままに保存されてされています。本居宣長は「店の間」で医者としての診療を行い、夜は奥座敷にて門下生に古典講釈を行っていたそうです。中央の箪笥兼階段から、二階にある本居宣長の書斎に上がれるようになっています。

本居宣長旧宅書斎

2階に上がる階段。その上は入ることができませんが、本居宣長が古事記伝を記した場所である書斎になっています。大きく開かれた窓からは日の光が入り込み、作業に適した明るい部屋になっています。

本居宣長旧宅内庭

土間の奥の中庭には井戸と洗い場があります。一緒に移築された当時のものかはわかりませんが、江戸時代もここでされていたはずの水仕事の様子を思いを馳せるリアルな雰囲気です。

本居宣長旧宅の庭

縁側に出ると庭が広がっています。庭はかつてのものではありませんが、松阪城の石垣と自然を借景にしてとても趣深い景観になっています。

本居宣長の足跡が残る貴重な品や場所

本居宣長旧宅の鈴

本居宣長は土鈴のコレクターとしても有名で、かつては多くの鈴を家につるしていたそうです。その一部が今も保管されており、旧宅の中で展示されています。

本居宣長旧宅の乞食伝

本居宣長が編纂した『古事記伝』の写本が旧宅の中でも展示されています。全44巻の膨大な内容は、この本が展示されている家の中で作成されたものです。歴史ロマンに立ち会っているような感じがします。
松阪城に寄り添う鎮守の森には、本居宣長ノ宮という本居宣長を祀った神社があります。本居宣長記念館から松阪城を出るとすぐ目の前です。学業成就の御利益があるパワースポットです。ぜひ一緒に参拝しましょう。

本居宣長旧宅跡地

移築前の本居宣長旧宅は、歩いて約10分とすぐ近く、かつての城下町の趣を色濃く残すエリアにあります。柵がされているので敷地の中には入れませんが、旧宅の礎石、土蔵や別宅、庭木や井戸などが当時のまま残されています。旧宅である鈴屋を見学したあとに実際にあった場所を見ると、当時の本居宣長が生きていた時代の暮らしがとてもリアルに見えて来そうです。
また、旧宅跡地のすぐ近くに、松阪牛の老舗料亭「牛銀本店」があります。敷地内に気軽に松阪牛を味わえる「洋食屋牛銀」もありますので、歴史ロマンに触れた後に少し奮発して、美味しいお肉を頂くのも楽しみです。

本居宣長記念館

住所: 三重県松阪市殿町1536-7
電話: 0598-21-0312 
営業時間: 9:00~17:00 (入館16:30まで)
休業日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
料金: 400円(大学生300円、小人200円)
交通: JR・近鉄松坂駅より徒歩15分
   伊勢自動車道・松阪ICより約10分
駐車場: 15台(無料)

【投稿時最終訪問 2017年9月】

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