紫電改展示館 【南レク公園・日本に残る唯一の紫電改】

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愛媛県南部には南レクという名を冠した公園が所々にある。そのひとつ、南レク城辺公園の山の上から海を見下ろせるところに、「紫電改展示館」がある。ここから見下ろせる海の中に沈んでいた、太平洋戦争末期の名機、紫電改を引き上げて展示している資料館だ。

日本に唯一残る紫電改の実機

何故、こんなところに戦闘機が展示されているかというと、城辺町の海底からこの戦闘機が引き上げられたことに由来する。
戦闘機の名前は『紫電改』
ゼロ戦に代わる新鋭機として終戦間近に開発され、旧海軍のもっとも優れた戦闘機だったと言われている。しかし、現在ではその機体はほとんど存在せず、現存するのは世界中で4機のみ。ここには日本で唯一現存する1機が展示されている。
紫電改は当時最も優れた局地戦闘機「紫電二十一型」で、その全容は以下の通り。
■全長9.34m 主翼11.99m
■高さ3.9m 重量4.86t
■時速620km エンジン2000馬力
■20mm機銃4門装備

この展示されている『紫電改』は旧第343海軍航空隊に配属され、昭和20年7月に豊後水道上空で交戦し、未帰還だった6機のうちの1機であると言われている。
昭和53年11月、愛媛県南宇和郡城辺町久良湾の海底40mに原型のまま沈んでいるのが地元ダイバーによって発見され、翌年7月14日実に34年ぶりに引き揚げられた。
これは引き上げられた時の写真。機体にはフジツボがびっしりはりついていた。
約60機の呉・広島へ爆撃に向かう敵機を21機の紫電改で迎撃。10分足らずの間に16機を撃墜する戦果をあげた。しかし、この交戦で6機の未帰還機があり、そのうちの1機がこの『紫電改』であると思われる。ここでは未帰還6機に搭乗していた青年の遺影を祀り、恒久平和を祈念している。

現在世界に存在する『紫電改』は以下のたった4機しかない。
○アメリカ、オハイオ州空軍博物館 製造番号5312
○アメリカ、フロリダ州ペンサコラ 製造番号5128 (復元作業中)
○アメリカ、アリゾナ州メサ    製造番号5341
○日本、愛媛県愛南町       製造番号不明

紫電改の武装や装置に感じる戦争のリアルさ

紫電改に装備された20㎜機銃。
これが戦闘目的に作られた航空機であることを感じさせる威圧感を放っていた。

展示されている20㎜機銃の実弾と取付金具の一部。実弾を積んでいたことの証明。戦争という悲惨さと無惨さを感じる生き証人だ。
このほかにも、紫電改の装備品が多数展示されている。バッテリー、消火ボンベ、発電機、計器など。これらが70年も前のものとは思えないほど、精密で今と遜色ないような部品に見える。
よく、科学の発展は戦争がもたらすという意味合いのことばをきくことがある。確かにその通りだと思った。当時の科学技術の粋が、ここに詰め込まれていると思った。
70年も前に、こんなに立派な航空機があったのにはびっくりした。ただ、戦争は科学技術の発展以上に、終わりのない悲しみと苦しみを生み出す。そのようにして、科学が発展しても、何も生み出さない。戦争は二度としてはいけない。
いつの日か、地球上の兵器がすべて、このような展示館に過去の物として、並べられる日がくればいいと思う。

紫電改展示館近くの海鮮が美味しい宿

紫電改展示館

場所:愛媛県南宇和郡愛南町久良1060
電話:0895-72-3212 (南レク南宇和管理事務所)
交通:宇和島市から国道56号線を南下約1時間(電車は通ってません)
西海道路(平成18年4月から無料開放)を山頂へ
料金:無料
時間:9:00~17:00
休館日:12/29~1/1
駐車場:約20台

【投稿時最終訪問】2006年3月

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