松阪商人の館(旧小津清左衛門家)

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松阪牛で有名な三重県松阪市。江戸時代は大坂商人、近江商人とならぶ日本三大商人のひとつ、伊勢商人を輩出した町。伊勢神宮に参拝する旅人相手の商売で多くの富を築き、さらには松坂もめんの販売で江戸を席巻し、大富豪となりました。そんな松阪には江戸時代に建てられた豪商や武家屋敷がいくつも残っており、見学できる施設も多くあります。その中でも松阪を代表する豪邸を資料館として公開しているのが「松阪商人の館」です。

見応えある江戸時代の豪商の屋敷

松阪商人の館

屋敷は江戸に支店を構えた松阪を代表する豪商で、三井、長谷川、長井家と並んだ屈指の大豪商だった小津家の屋敷。付近には旧長谷川邸などの大きな松阪商人の屋敷が建ち並ぶ、歴史的な町並みが今も残っています。「旧小津清左衛門家」(松阪商人の館)として当時の大豪商の屋敷を見学できます。

松阪商人の館勘定場

入口を入ると、そこは広い土間空間。土間に面して土間に面して勘定場(左)やお家の間(中央)、台所(右)と和室が並んでいます。江戸時代中期の1700年前後に建築された主屋を中心に、向座敷・料理場、内蔵、前蔵などの建物が現存しています。

松阪商人の館台所

台所には階段状の棚があり、これで2階に登ることができます。ただし2階は非公開です。見た目は台所というよりも、昔の番台が置いてあるスペースのようにも思えます。

松阪商人の館お家の間

お家の間は奥にも2間続きになっています。大家族で使用人もいたのでしょうか。とても広い空間で、純和風の趣がとても心地よく感じます。

松阪商人の館の土間

広い土間にはたくさんの大きなかまどが並んでいます。家主の家族はもちろん、使用人や来客などの多くの人の食事がここで作られていたのでしょう。

松阪商人の館土間天井

土間の天井はとても高く、太い梁が渡されています。いくつもの竈門を並べた土間からの煙を逃したり、火の粉を避けたりしたのでしょう。煙の通り道だったと思われる天窓もあります。

落ち着いた佇まいが贅沢な住空間

松阪商人の館

ふすまや障子で仕切られて一続きになった和の空間はとても開放的で広々としています。

松阪商人の館和室

奥行きがあり落ち着いた和の佇まい。多くの富を築いた豪商の屋敷ですが、雅さや派手さはありませんが、その分質実剛健な造りです。

松阪商人の館庭

縁側に出るとそこは美しい庭。壁や他の建物に囲まれて別の世界のようです。家にいながらにしてこのような景色を楽しめた当時の松阪商人の経済力は相当なものだったと感じます。

松阪商人の館茶室

茶の間。美しい庭を眺めながらも、他の部屋とは襖などでつながっていない、少し閉ざされた空間。お茶を集中してくる楽しめるかのような、余計なものを排した侘び寂びの心がそこにあるようです。

松阪商人の館見世の間

見世の間には、通りに面した格子窓があります。おそらくここから通行人に見えるように商品をディスプレイしてアピールしていたのでしょう。

松阪商人の館表座敷

表座敷には立派な床の間があり、その横には棚と別室にくぐり抜けるような扉が。どのようにして利用されていたかはわかりませんが、まるで忍者屋敷のからくりの様で面白く感じました。

松阪商人の館内蔵

建物から厳重な扉を隔ててつながる内蔵。内部は展示室となっており、小津清左衛門や松阪商人の貴重な資料が展示されています。撮影は禁止です。

水回りが集約された機能的な中庭

松阪商人の館前蔵

土間から出るとそこは中庭。ここは鑑賞する美しい庭ではなく、生活のための空間です。奥にある建物は「前蔵」です。今は何も保管されていませんが、かつては千両箱ならぬ万両箱が地面に埋められおり、莫大な財を貯めこんでいた金庫的な場所だったと思われます。
また右側は厠棟となっており、使用人や来客用が使用していたトイレだそうです。

松阪商人の館湯殿

湯殿と呼ばれるお風呂があります。ここで薪をくべながら入浴する江戸時代ならではの方式。薪を焚き、火吹き棒を吹きながら湯加減どうですかと聞いていたのかもしれません。

松阪商人の館中庭と井戸

風呂、トイレ、井戸が中庭に面して設けられており、水回りが集約されています。しかし、ボットントイレの横に井戸を作っても大丈夫なのかとちょっと心配になったりします。

いくつもの庭が織り成す日本の美

松阪商人の館日本庭園

増築によって複雑に入り組んだ家屋が抱え込むように、美しい中庭が何か所もあります。

松阪商人の館縁側

縁側に面した中庭はまるで京町屋のよう。時代劇で着流しの町人が歩く往来のようで、とても和の趣があります。

松阪商人の館和室

落ち着いた佇まいで純和風な空間。江戸時代や明治時代の純和風の豪邸に住んでみたいと思う人も多いでしょう。そんな夢をかなえるのがここから徒歩10分のところにある「御城番屋敷」です。松阪城のすぐ袂に立ち並ぶ武家長屋で、美しい石畳の道に面した前庭・後庭つきの江戸時代の建物。それらが賃貸物件として貸し出されています。広さ91平米、家賃10万円、駐車場5000円。お風呂や洗面所、トイレやキッチンなどの水回りは全て新しい設備にリフォームされています。1区画は観光施設として見学もできますので、内覧してみるの面白いですよ。

松阪商人の館

住所: 三重県松阪市本町2195
電話: 0598-21-4331 
営業時間: 9:00~17:00 (入館16:30まで)
休業日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
料金: 160円(小~大学生80円、幼児60円)
交通: JR・近鉄松坂駅より徒歩10分
   伊勢自動車道・松阪ICより約10分
駐車場: なし

【投稿時最終訪問 2017年10月】

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