足摺岬 【足摺岬灯台・白山洞門・金剛福寺・天狗の鼻】
四国最南端の地で、黒潮が作り出した壮大な風景が広がる「足摺岬」。今回は足摺岬の自然をゆっくりと楽しむコースを紹介したい。
足摺岬のメインといえばやはり「足摺岬灯台」付近だが、この付近には駐車場がとても少ない。連休などには警察車両の路上駐車の取り締まりが入ることもあるほど車が混み合う。少し離れているが、ここは市営の駐車場に車を止めて、ゆっくりと歩いて周囲を散策しよう。
市営の駐車場は足摺スカイラインが終了してすぐ、「足摺岬センター」のバス停のすぐそばにある。足摺岬に向かって走れば進行方向左側。結構広く、大きな看板も出しているのですぐわかるだろう。駐車料金は無料。
岩肌に巨大な穴がぽっかり開いた白山洞門
海沿いに足摺岬灯台を目指して歩き始める。その海の美しさに、知らず知らずのうちに目が釘づけになるのは確実だ。やがて、岩にぽっかりと空いた大きな穴が現れる。ここが「白山洞門」。
日本最大級の大きさの洞門は高さ16m、幅17m、奥行15m。道沿いからでもその大きさはよくわかる。しかし、この大きさを間近に確かめたい方には、もう少し先に進んだところに洞門に降りる遊歩道が設けられている。崖の下まで降りるので少し大変。しっかりとした靴を履いていて、時間に余裕がある方のなら、ぜひ訪れてみたい。
白山洞門は黒潮の荒波が長い年月をかけて岩肌を削りあけた巨大なトンネル。美しく透き通った海が、この岩のトンネルを越えて、足元まで押し寄せてくる。
すごい迫力だ。洞門の中に響く波の音は、びっくりするくらい大きい。自然の畏怖を感じる場所だ。
足摺岬の海岸一帯には海食洞がいっぱいある。海岸沿いを探検してみると、とても面白い。しかし、遊歩道以外の海岸に立ち入るときは自己責任で。それに足摺岬に押し寄せる黒潮はとても荒々しい。穏やかに見えても、突然大きな波を立てて襲い掛かるときがある。
写真の真ん中の海食洞の入口まで、かつて僕は探検に行ったことがある。が、突然荒波に襲われて、危うく海の藻屑になってしまいそうになった。間一髪難を逃れたが、まだ寒い春先にびしょ濡れになって宿に帰った時は、宿の主人にたいそうびっくりされた。
さて、白山同門が見える場所を過ぎると、遊歩道はとてもいい雰囲気になる。足摺岬の先端は黒潮が初めて日本本土にぶつかる場所であるためか。その植生は明らかに周辺のものと違い、亜熱帯性である。南国の島の森に迷い込んだような道を行くと、本当に遠い場所に来たものだと感じてしまう。
駐車場から寄り道しなければ10分ちょっとで足摺岬灯台の入口に到着する。灯台までは徒歩5分ほどで到着するが、まずはちょっと寄り道。「足摺岬灯台」のベストビューポイントでる「天狗の鼻」だ。
天狗の鼻への遊歩道は展望台手前の道を左手に進む。青く輝く南国の海を緑の亜熱帯性の植物のトンネル越しに眺めながら歩く。それは驚くほど気持ちいい。ちなみに、この遊歩道付近は椿がとても多い。足摺岬のシンボルの花となっていて、1月中旬から2月末の花期に訪れると、それはとても素晴らしいそうだ。
青い海と断崖絶壁の足摺岬を望む天狗の鼻
やがて気持のよい緑のトンネルは断崖絶壁の上へと抜ける。ここが「天狗の鼻」だ。小さな東屋もある。柵から海を覗きこんでみると、その海の青さには驚く。昨日は大荒れの天気だったので、普段は海の色がもっときれいなはずなのに。その美しさは、青さは格別。そしてその青さは荒々しい波となって、聳え立つ断崖絶壁を今も削り続けている。その崖の上に立つ白亜の灯台が「足摺岬灯台」高さ18mもある灯台がとても小さくなるほど、海に切り落ちた絶壁のスケールは大きい。自然の美しさと力強さを見せつけられるこの場所は、確かにとても美しい光景。何回も何回も、シャッターを切ってしまう。
今度は、来た道を戻り、今度は展望台に登ってみる。ここからも天狗の鼻とはまた違った角度で足摺岬灯台のある美しい風景を眺められる。
80mの高さもある断崖絶壁の下からも、大きな波の音が聞こえてくる。とても雄大な眺めには、目が釘づけにされる。
先ほど行ってきた「天狗の鼻」を振り返る。その足元も、海までずっぱりと切れ落ちた断崖絶壁。
何回「断崖絶壁」という言葉を使っただろう。それくらいに、この岬の周辺はびっくりするくらい断崖絶壁だらけなのだ。
天狗の鼻が落ちる海。その緑の美しさと透明な海の青さは、ここが四国にいることを忘れさせてくれる。
山には深い亜熱帯性の森が広がる。その森に埋もれるように頭を一つ出すのが、四国霊場の1つ、金剛福寺。
四国の他の霊場をこの場所に車では1つくらいは目にするかもしれない。金剛福寺は他の寺と違い、とても不思議な雰囲気がする。おおよそ寺が似つかわしくない、南国の植生が山一面を覆っている。
白亜の灯台が建つ四国最南端の足摺岬
「足摺岬灯台」は大正3年に完成、昭和35年の改修。歴史のある灯台はとても雰囲気がある。その光は38km先の海からでも確認できるという。
足摺岬灯台近くにある売店。南国の風景の中に、宗教色濃い和の香りが、とても独特で不思議な雰囲気を醸し出している。揺れるアイスクリンの幟もとてもいい感じ。
アイスクリンは高知名物のシャーベット状のソフトクリーム。この少し暑さを和らげてくれる木陰で、不思議な雰囲気を楽しみながらいただくのもいいかもしれない。
南国の雰囲気漂う最南端の霊場「金剛福寺」
足摺岬にある四国霊場のひとつ、「金剛福寺」には何とも言えない不思議な雰囲気が漂う。突然現れた南国と見間違うばかりの亜熱帯の植物たち。その亜熱帯の風景の中に、お遍路さんが熱心にお経を唱える、立派な寺が佇む。
亜熱帯の中の仏教と絶え間なく訪れる信者。その風景はこの広い日本でもそう見ることのできない、とても不思議な世界だった。
ちなみに、この金剛福寺は四国八十八か所の最南端。そして、1つ前の37番岩本寺からの距離は一番長い約90km。歩き遍路にとっては、この岩本寺までの行程が一番つらい道の一つなのだろう。そのつらい道を乗り越えてたどり着いたこの場所は、その苦行にこたえるべく美しく神秘的な表情を持っている。
金剛福寺の周りにはレストランやお土産屋が集中する。ここで名物のカツオのタタキに舌鼓を打つのもよし。お土産を買いこむのもよし。
また、足摺岬には温泉も湧いているので、旅の疲れを癒すこともできる。ゆっくりできるくつろぎの宿から、リーズナブルな宿まで揃っているので、この美しい自然を1泊して楽しむのも良い。
車道も亜熱帯性の植物に覆われていて、ドライブをしてもとても気持ちよくなる。本当にここは何度も来たくなる場所だった。黒潮が作り出す美しい自然と長い間多くの人が作り出し、そして受け継いできたお遍路の文化。それらが高度な次元で交錯する、とても美しい世界。それが訪れる人を虜にするのだろう。
足摺岬・土佐清水の宿泊情報
四国最南端、土佐清水・足摺は黒潮が流れる美しく青い海を眺めながらの滞在ができる宿がいっぱい。特に足摺岬付近には温泉を備えた温泉宿やリゾートホテルがいっぱい。土佐清水のサバをはじめとした海の幸もいっぱい。せっかくここまで来たのならば、黒潮を感じる四国最南端の気持ちよい滞在を楽しみたいですね。