皿ヶ嶺【愛媛県の初心者向け雪山】

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愛媛県東温市の「皿ヶ嶺」は標高1270mの山ながら、安全な登山道があり、車で標高950nまでアクセスできる。そのため、4WDやスタッドレスタイヤの車があれば、温暖な愛媛でも比較的気軽に雪山を楽しむことができる。
3月上旬、季節外れの寒波で再び雪に覆われながら駆け足で春めいてきた。最後の雪景色を求めて皿ヶ嶺に向かった。

雪の林道で上林森林公園へアプローチ

雪の上林林道

松山市内から1時間ほどで標高約900mの登山口につけるのが皿ヶ嶺の魅力。だが、標高が高くなるにつれて林道に雪が。そしてついには真っ白な雪道になる。かなり雪は深いが、アイスバーンがむき出しになっているところはないので進めそうだ。装備のない車は雪道を前に引き返すが、何度かスリップしそうになりがらも前に進む。
駐車場のある上林森林公園に到着。この駐車場も一面の雪でアスファルトが見えない。歩き始めからアイゼン装着である。スタートから地面が雪で覆われていて全く見えない。今回は土を踏まなくてよい、絶好のコンディションである。

雪の皿ヶ嶺登山道

登山道には雪がたっぷり残っていてとても気持ちいい。さすがに先日の雪は粉雪では残っていないが、雪もよく固まっていて逆に歩きやすい。
気温は予報どおり暖かく、とても気持ちのいいスノーハイク。ぽかぽかと暖かく、どこからともなく小鳥のさえずりが聞こえてくる。寒さが緩み霧氷が残っていないのは残念だが、頭上からほどけた雪が舞い落ちてこないのでカメラを安心して構えられる。春はこんな雪深い山の上にも訪れようとしていた。

皿ヶ嶺の霧氷

冬の忘れ物、霧氷がまだ少しだけ残っていた。真っ白になった枝が青空には気持がよい。
春の陽気は冬を遠ざけるように、白い氷を次々に薙ぎ払い地面へと払い落していく。これがもう、今シーズン最後の霧氷になるだろう。

銀世界と化した美しい湿原「竜神平」

雪の皿ヶ嶺竜神平

坂を登り、稜線を少し行くと開けた場所に出た。高層湿原の「竜神平」だ。ここにも今年は一面に雪が残っている。こんなに雪が多いのは初めて見た。
この竜神平は山の上で開けている場所なのでとても日光がよく当たる。そのため雪が降っても真っ先に融けてしまうのだが今年の大雪はまだ融けきっていない。一面の銀世界はとても明るく、サングラスを持ってこなかったことを後悔するくらいの眩しさだ。

竜神平のかまくら

竜神小屋の前に雪がうず高く積み上げている。何かと思ったらカマクラだった。カマクラを作れるくらいの雪の量がこの竜神平にあったなんて珍しい。残念ながらこの陽気でどんどん融け始めていて、横には崩壊したカマクラも1つ。雪多き今年の皿ヶ嶺も、もう一気に春に向かっている。

雪の皿ヶ嶺竜神平

竜神平の広がりの向こうには、まだ真っ白な西日本最高峰、石鎚山が姿を見せてくれている。頂を白く染めた山々を遠くに眺めながら、白銀の世界を歩くのはとても気持ちが良い。

雪のブナの原生林のスノーバイク

雪の皿ヶ嶺ブナの原生林

あまりもの気持ちよさに竜神平に長居してしまった。頂上を目指すのはやめ、稜線のハイキングへと予定変更。
稜線まで竜神平からは原生林の中を歩く。この森の中もいっぱいの雪が敷き詰められている。足跡が付いていないと、迷ってしまいそうだ。

雪の皿ヶ嶺のベンチ

稜線に出たら、僕の大好きな森のベンチへ。ブナの原生林の中のベンチは僕のお気に入りの場所。ここでティーブレイクを楽しもうと思ったら
・・・埋もれている?!
ベンチの上まで雪が積もっているなんて、かなりの雪の量だ。今日は暖かいので、ここでゆっくりしようと思ったのだが残念。しかし、ベンチの上にちょこっと座り、チョコを少し食べて少しだけくつろぐ。

雪の皿ヶ嶺ブナの原生林

雪の稜線にはブナの原生林が広がっている。とてもこの中を歩くのは気持がいい。稜線の向こうはズバッと切り落ちているので、まるで雲の上を散歩しているようの感じる。雪に覆われると、普段は入れない森の奥まで入っていけるので、山の中を自由自在に散策できる。

雪の皿ヶ嶺ブナの原生林

切り落ちたガケのぎりぎりまで歩み寄る。すごい高度感だ。足の下にはのどかな里山風景が広がっている。里山にはもう雪はなく、菜の花が咲き乱れている。春はどんどん足もとから駆け上ってきている。

駆け下りられる楽しい大雪の下山

雪の皿ヶ嶺登山道

稜線の散歩を楽しんだら、山を下っていく。皿ヶ嶺の東温市からの登山道は北斜面にあるので、道には雪がいっぱい残っている。雪道は足元をさほど気にせずに進めるので気持ちいい。
雪がクッションになるので、飛び跳ねるように気持ちよく走りながら下ることができる。急な斜面でも下っていけるのがこの時期の雪山の魅力。いつもは立ち入れそうにない、深い木立の間をすべり降りるように登山道をショートカットして、一直線に登山口を目指す。

雪の上林森林公園

あっという間に登山口である上林森林公園に戻ってきた。この公園内も雪がいっぱい。園内の道路にもすべて雪が覆いかぶさっている。雪の積もった道を歩いて駐車場まで戻る間もとても楽しい。その道路の急坂の部分には誰かが作ったジャンプ台。スノボやそりで楽しく遊んだあとが残されていた。
ここは地形からか、下界の音が届かずとても静か。自分の心臓の鼓動や耳鳴りが聞こえそうなくらい、無音の世界。特に冬は、この自然のすべてが凍てついていて、まったくの無音。ゆっくりと流れる時間の音さえも聞き取れそうな静寂もやがて鳥のさえずりでにぎやかになるだろう。駐車場の雪はまだ残っているが、帰路に着くころには所々にアスファルトの路面が現れ始めていた。

皿ヶ嶺近くの人気の温泉には宿泊も可能

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