上高地清水川【湧水が流れる川の水中】
険しい北アルプスの山々から雪解け水を集め、エメラルドグリーンの流れとなった梓川が流れる上高地。夏にも雪を残す雄大な穂高連峰を背景に流れる梓川は神秘的で訪れる人の目を奪う。山から流れ出た数多の小さな沢も上高地で梓川に流れ込んでいるが、その中でも特に澄んでいて美しい宝石のような流れが「清水川」だ。
透明で美しい宝石のような清水川
上高地に来ると、必ず目を奪われるのは梓川。青く透き通った水が流れるこの川は、人の心を奪うには十分すぎる美しさだ。上高地で一番人が集まる場所、「河童橋」を通り抜け、ホテルが立ち並ぶ場所を過ぎると、小さな橋を渡る。この先は小梨平なのだが、その橋を流れる小川の美しい水に多くの人がその歩みを止めている。
「清水川」は小さな流れだが、その透明度は梓川以上。水中にゆらめく水草の緑が、まるで宝石のように見える。清水川は、険しい山から湧き出した地下水がそのまま川となり流れている。明神へと続く登山道としばらく並行して流れ、小梨平の外れで道を横切り、梓川に流れ込む。長い時間をかけて地下で濾過された水はとても清らか。どこまでも透明。上高地の各施設の飲料水として使われている。
清水川の中は、外とは違う全く別の世界。手を入れると、「冷たい」ではなく「痛い」。それだけ水温が低いのだ。あまりもの透明度が見せる広い水中の広がりは、逆にその先を容易に想像させない。
清流にゆれるのはバイカモという水草。水面が鏡のようになり、水中という閉塞された場所ならではの幻想的な景色を織り成している。ゆらゆらと木漏れ日に煌めくバイカモが鮮やかな緑を輝かせ、水中の中をエメラルド色に輝かせる。
朝の清水川は幻想的な森の風景
原生林の中の清水川を流れる湧水の温度は日中を通して一定。朝方は空気との気温差で、水面からもやが立つことがある。観光客がまだ訪れない早朝。小鳥のさえずりと小川のせせらぎが、上高地の静寂をさらに深める。そして、川面から立ち上がるもやが、この小川をこの世に存在しうるものではないかのように思わせる。