大山スノーシュー【リフト利用・ダウンヒルコース】

日本百名山のひとつ、鳥取県・大山。日本海から一気に立ち上がる独立峰ため、冬は厳しい山陰の雪風に見舞われる。そのため、標高1700mほどの山ながら、広大なブナ林や森林限界など、アルペンムードに満ちた魅力的な山容が楽しめる。
大山の冬は深い雪と広大な森でスノーシューを楽しむ絶好の遊び場。大山でスノーシューをするためにいつもお世話になるのが「大山森の国」というアスレチック場。冬期は雪のためにアスレチックはできないが、その分アウトドアスキルたっぷりのスタッフたちが、スキー教室や雪遊び、スノーシューのインストラクターやガイドをつとめてくれる。雪深いフィールドまでの送迎と、オヤヂたちのワガママな要求に高度に答えてくれる確かなガイド。昨年から始まったスノーシューの新コースで、わがままアレンジを加えてスノーシューが開始された。

スキー場のリフトで登る楽々スノーシューコース 

だいせんホワイトリゾート

森の国のガイドによるスノーシューはよく楽しんでいる。毎年、雪の中でも大汗をかいて山を登るが、今回の新コースはなんと、スキー場。「だいせんホワイトリゾート」のリフトを使って、標高を稼いでしまうという何とも楽なプラン。僕たちはスノシューで山を登りに来たのではなく、「下り」に来たので当然リフトでも構わない。正月明けの不摂生には、やはりこのリフトの魅力がたまらない。今回は会社の上司・同僚との参加だ。

だいせんホワイトリゾートスキー場

リフトにてスキー場のほぼ最上部まで一気にアクセス。眼下に広がる大山の裾野と、その向こうは寒々しい日本海。山陰の冬はほとんど晴れない。これでも随分とまだ天気はマシな方だ。スキーがあればここから一気に滑りたくなる誘惑に誘われてしまう。

大山スキー場

滑走の誘惑を振り切り、スキー場のゲレンデを外れ、森の中に入っていく。圧雪されたゲレンデの上は普通に靴でも歩けるが、パウダースノーの森の中は一歩足を踏み入れればズボリと雪の中に埋まり、それ以上歩けない。そういう雪でもスノーシューは雪の中に完全に埋もれず、先へと進んでいくことができる。

深い雪のブナの森をスノーシューでダウンヒル

大山スノーシュー

誰も入らない静かな森の中にスノーシューでどんどん入っていく。夏場は下草、冬場は深い雪。全てのものを拒む原生林だが、スノーシューの助けがあれば冬場は普段入れない森の中に入っていける。しかも縦横無尽。自分が好きなように好きな場所に歩いて行ける。

大山スノーシュー

森の中を少し横方向に移動したら、ここからダウンヒルの開始。前夜に降り積もったばかりのふかふかの新雪。この中を自分が好きなように森の中を下っていく。

雪の大山のブナ原生林

雪がすべての音を吸い取る静かな森の中。・・・ではなくて、すぐ横にあるスキー場からの音楽が森の中に流れている。何度も何度もかかる、大ヒット中の「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」その音楽が絶妙にこの景色にマッチしており、劇中の深い雪の森をリアルに思い出させる。

大山で一番大きなブナの木

スキー場のすぐ横に広がるブナとミズナラで構成される原生林。ガイドが指し示すブナの巨木。このブナの木が現在、大山にある最大の木になるらしい。昨年、大山一のブナの巨木が倒れたため、二番手のこの木がトップの座に就いたそうだ。

大山スノーシュー

葉を落とした大山一のブナの巨木の横にはスキーヤーがのるリフトが見える。こんなにスキー場に近い場所にこれだけの巨木があるのは不思議な感じがする。当然、夏場などは葉に隠され、下草が行く手を遮り、この場所には近づけなくなる。

森を下ると谷の上部に出た。ここがスノーシュー遊びの醍醐味。ふかふかの雪の急斜面を一気に駆け下りるのだ。スノーシューという道具が無ければ近づく事も抜け出す事も難しい場所。ここを滑り落ちるように一気に駆け下りる。そのスリルと爽快感は病み付きで、何度やっても楽しい。今回、スノーシュー初体験となるメンバーの2名も一瞬でその快感の虜となる。

大山スノーシュー

大の大人が大歓声を上げながら走り下りた雪の斜面。ふかふかの雪は天然のクッションで、多少飛び降りても転んでも平気。普通の斜面ではこんな急坂を走り下りる事はできない。いつしかスキー場から流れる音楽も消え、付近は静寂に。かわりに大の大人の奇声だけが森の中に響いていた。

大山雪の森

ここからは谷をつたって山を下りていく。谷の底には一筋のシュプール。バックカントリーを楽しむスノーボーダーがつけた足跡のようだ。

雪の斜面をスノーシューで駆け下りる雪遊び

大山スノーシュー

谷底を歩いていくだけでは楽しくない。谷の斜面を水平に歩き、所々で谷に向かって斜面を一気に下り下りる。何度も何度も遊びながら、先に進んでいく。

大山スノーシュー

遊び足りないのか、上司がさらに上へと谷を登り始めた。そうなると、着いていかないといけないのがサラリーマン(笑)スノーシューを着けているとはいえ、新雪の急斜面のラッセルはかなり大変。こっそりとラッセルを頑張る上司の後ろをついて登る。

大山スノーシュー

斜面の一番上から一気に走り下りる。とにかくこの爽快感が気持ちいい。スノーシューをこんな使い方をする人は少ないだろう。通常は参加者全員でゆっくり雪景色を楽しみながら下っていくスノーシューツアーだが、僕たちだけは別ガイドで特注仕様の遊び方になっている。

豪雪に覆われた林道をスノーシュー 

大山の雪

谷を下っていくと、真っ白なモノクロの世界に鮮やかなオレンジ色が見える。何かと思えばカープミラー。高い場所にあるはずのミラー部分が雪に埋もれている。どれだけ雪が深いか感じさせてくれる風景。写真の奥の方に林道が伸びている。

豪雪

純白の雪の湯船に浸かるカーブミラー。横の雪が削れた部分はおそらく谷にかかる橋になっているのだろう。

本来ならミラーの下に体一つは埋もれてしまうはず。かなり路面から高い位置に体が浮いている。雪の下に埋もれた世界の広がりを感じる。

雪の林道

雪に埋もれた林道。道としての機能を封じられ、静かな森の中の景色に同化し、冬の長い眠りについている。普通ならまず見られない景色を楽しめるのも、スノーシューハイキングの醍醐味。

雪の大山の森

雲に覆われる山陰の冬空に青空が時々顔をのぞかせる。真っ白な雪と青い空のコントラストはとても美しい。水墨画のようなモノクロの世界に鮮やかな色があふれ出す。

大山スノーシュー

冬の森を行く一向。ブナやミズナラの原生林の中、時々姿を見せる杉の巨木。冬の原生林のアクセントとなっている。アウトドアメーカーのカタログのようだと一同。

雪のキャンプ場でアウトドアクッキング

雪のキャンプ場

ゲレンデの下部まで下りきった。今からランチの時間。ゲレンデの中にはキャンプ場がある。冬場は雪にうずもれるが、炊事棟で冬のアウトドアランチを楽しむ。

スノーキャンプ

雪の中、調理開始。ガイドのザックの中から、鍋とコンロ、そして冷凍された食材が次々と出てくる。これをテーブルの上でクッキング。毎年、雪の上で震えながらの調理だが、今年は屋根がある場所でテーブルの上での調理。これは極楽だ。

スノーランチ

森の国のスノーシューランチの定番、雑炊とポトフ。森の国のレストランで使う業務用の具材を煮込んだだけなのだが、これが美味しい。寒い中、思いっきり遊んだアウトドアでの暖かい食事は、驚くほど美味しい。

スノーランチ

アツアツの食事を楽しんだ後は、バーナーで焼きマシュマロ。マシュマロを暖かい紅茶の中に溶かして飲むのも美味しい。

大山の雪

パウダースノーに埋もれた森。時折分厚い雲に青い穴が開き、銀世界を眩しく輝かせる。残念ながら、大山の雄姿だけは分厚い雲の中からは結局一度も出てこなかった。

スノーシューダウンヒルはコースを少し変えて2度楽しめる

雪の森

スノーランチが終われば午後から2回戦。再び同じリフトでゲレンデ最上部まで登り、森の中に入っていく。今度は少し奥の方から先ほどの谷の対岸へ回り込むように森を下っていく。
雪に埋もれた尾根が神秘的なほど美しい。写真右側が先ほど下った谷。左側が、大山でもっとも巨大な谷「元谷」へと続く佐陀川が流る谷。左側斜面は一気に大山で最も深い谷底まで切れ落ちている。どこにでも入っていけるスノーシューだが、さすが元谷へと下る急斜面は危険で近づく事はできない。

大山スノーシュー

尾根を下っていくと、午前中に最初に「ダウンヒル」を楽しんだ急斜面が対岸に見えてきた。ここまでぐるりと尾根沿いを谷の反対側まで歩いたことになる。シュプールならぬ、スノーシュー跡が、白銀のキャンパスにくっきりと刻まれている。

大山スノーシュー

霧に包まれたかと思えば、一気に青空が現れ、光が降り注ぐ。山の天気は変わりやすいが、特に日本海側の独立峰である大山はその特徴が顕著だ。次々に変わる天気の中、青空が出る度に付近の森は美しくなり、一行は歓声を上げる。

大山スノーシュー

コースは再び深い森の中へ。大山寺の神域が近いのか、ブナやナラの原生林の中に杉の巨木も時折姿を現す。そんな森の中に見事に刻まれたシュプール。バックカントリーのスキーヤーがこの森を滑りぬけた痕跡だ。

バックカントリー

ほぼ崖の急斜面もバックカントリーのスキーヤーは見事に滑り降りている。乱れることなく白銀に刻まれたシュプールが、そう教えてくれる。こんな垂直に近い急斜面はバックカントリーでは腕の見せ場なのだろう。それは僕たち、スノーシューを楽しむ人間にとっても同じ。ここは度胸の見せ場なのだ。

大山スノーシュー
大山スノーシュー

急斜面を駆け下りるだけでは満足できない。2~3mの崖を発見すれば、そこから飛び降りる。新雪がクッションになり、高い場所から飛び降りてもへっちゃら。飛び降りる前に足元を固めて、より遠くに。空中に舞い、次の瞬間はすぽりと雪に埋もれる。もう本来のスノーシューの使い方を完全に無視した遊びに興じる。
この付近はかなり昔、大山寺が僧兵などを擁し、一大勢力を保っていた頃に宿坊などがあったとされている。そのため、森の中に建物があったであろう平地がいくつもあり、その境目は次の下の平地にむかって急な崖のように斜面が削られている。そこを狙って何度も何度も宙に舞う。

大山スノーシュー

雪の斜面を走り抜け、飛び降りる。粉雪をまき散らしながら進むその姿はもはやスノーシューの域を超えている。楽しい森の散策は、オヤジたちにかかれば無駄な動き多すぎの森のアトラクションと化す。

大山スノーシュー

狙う急斜面もどんどん長く、そして角度も急になっていく。安全な場所をガイドが探しあて、次々とオヤジたちが吸い込まれるように突っ込んでいく。

大山スノーシュー

スノーシューを履いているとはいえ、深い雪は全ての動きを止めようとする。何度も何度も崖を下れば、当然体力は削られる。最後には全員、何度も何度も転倒。
雪の上で1回転。ずっぼりと雪に埋もれて動けなくなった人の発掘作業。人の惨劇を見て大笑い。
日々、激務でその身を削られるサラリーマンたち。こうやって、その身に積もる鬱憤やストレスを真っ白な雪の中にまき散らす。楽しい楽しい、大人の雪遊びだった。

大山の観光と宿泊情報

大山の宿泊の選択肢はいろいろあります。
まず、大山山麓にはリゾートホテルやペンションが多くあります。 森の香りを感じる大自然の中でゆっくりと滞在できます。
また、車で20分走った場所にある「皆生温泉」は海沿いに旅館が建ち並ぶ山陰屈指の温泉地。 美味しい海鮮はもちろん、海を眺めながら入れる温泉が自慢の宿がずらりと並んでいます。フィールド近くの森の中か、海の近くの温泉か好きな場所に泊れるのも大山付近の魅力です。

■ 皆生温泉・大山のホテル・宿一覧

大山森の国

住所: 鳥取県西伯郡大山町赤松634
電話: 0859-53-8036
休業日: 水曜日(夏休み期間は無休、12月中期休業あり)
営業時間: 9:00~17:30
スノーシュー期間: 1月初旬~3月初旬
料金: ガイド料6500円(スノーシューレンタル、リフト代別)
交通: 米子自動車道・米子ICより車で約15分
駐車場: 500台(無料)

【投稿時最終訪問 2018年1月】

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