かんぽの宿伊野【仁淀川を見下ろす人気のホテル】
旅をする時の強い味方、公共の宿。その一つに、「かんぽの宿」がある。
郵政民営化までは簡易保険加入者の利用を前提とした施設だったが、運営主体が日本郵政株式会社になり、普通に利用できる施設となった。美味しい料理の提供・温泉がどの施設にも共通していて、料金も比較的リーズナブル。「元」公共の宿といえるが、今でも旅の強い味方だ。
そんなかんぽの宿の中でも人気が高い施設が高知県にある「かんぽの宿伊野」だ。
高台に建つ立派な作りの目立つホテル
高台の上に鎮座する建物は、付近からはまるでランドマークのように目につく。かんぽの宿は民営化されてから、施設面でも多くの宿がリニューアルや改装が進んでいる。この伊野も最近リニューアルされ、とても立派な建物に変わった。
客室。広くて清潔できれい。ひととおりの設備はすべて揃っていて不自由しない。窓からは仁淀川が流れる風景が一望でき、開放感もある。とてもくつろげる客室で、快適な滞在を楽しめる。
客室入口。踏み込み部分はとても広い。小さな子供連れでもベビーカーを持ち込んだり、おむつを替えたりするのにも便利。小さな空の冷蔵庫もある。
全室リバービューで仁淀川の美しい風景を満喫
客室からは仁淀川の美しい流れが望める。四国を代表する川といえば、吉野川、四万十川があげられるが、この仁淀川は四国第3の河川。水質は実は「最後の清流」と呼ばれる四万十川よりも美しく、日本の河川でも常に上位に君臨する。
仁淀川は西日本最高峰の石鎚山にその源を発し、一気に太平洋に流れてくる。大きく蛇行して、人々の生活の中を緩やかに流れる四万十川と違い、大きな岩が転がる深い山の中を仁淀川は流れる。そのために河口付近のこの場所にあっても、川底が透けて見えるほど、その流れは美しい。
近くにかかる仁淀川橋。国道33号線が仁淀川を渡るのに昭和5年に通された橋。実際に走ってみるとや道幅が狭く、古い感じがある。しかし橋梁の形や、そのつくりに歴史が感じられ、車窓から飛び込んでくる仁淀川の美しい流れと相まって、車を走らせてみるととても楽しい。国道194号線との合流地点でもあり、重要な交通の要所にもなっている。
川の美しさと人々の生活の営みが見事に溶け込んだ風景は、見ていてとても落ち着き、旅情を掻き立てる。
目の前には、伊淀川を渡るJRの鉄橋もある。伊野駅に吸い込まれる電車を客室から望むことができる。
残念ながら本数は多くないが、人気の「アンパンマン列車」も通ったりする。この線路を電車が渡る姿は、鉄道ファンだけでなく、子供も楽しめる。
広々とした温泉で心地よいリラックス
客室で少しくつろいだら、さっそく温泉へ。この温泉棟はリニューアルする前からの施設のようで、少し古さを感じる。それでも浴室内は広々としていて、大きな窓で開放感もあり、快適。内湯の湯船も広々としている。
泉質は無色透明だが、海の近くということもあってか、口に含むとほのかに塩分を感じる。
露天風呂。目の前には清流仁淀川が流れるが、竹林が自然の目隠しになっていてその全景は拝めない。それでも空と山、仁淀川が作り出した自然を眺めながら入る露天風呂は開放感抜群。低い石垣でしか囲まれていないので、周りの風景との一体化を楽しめる。
寝湯。よくある設備だが、とても広く作られているので、小さな子供が入るのには実に都合が良かった。
他にジャグジーや歩行湯、打たせ湯があるが、使っている湯が温泉ではないのが残念。特に打たせ湯、普通に水が落ちてきたのには冷たくてびっくりした。
コース料理のような大満足のかんぽの宿の夕食
温泉で旅の疲れを癒し、いい汗をかいた後は、お楽しみの夕食。「龍馬」と題されたメニューの食事は、土佐名物のカツオのたたきはもちろん、坂本龍馬が暗殺される直前に食べようとしていた軍鶏鍋などがメニュー。かんぽの宿の夕食は懐石風になっていて、少しずつ料理が運ばれてくるスタイル。
食事が進むにつれ、新しい料理がどんどん運ばれてくる。アユの塩焼きにフレンチのようなアナゴの揚げ物、茶わん蒸しなど。お酒も食もとても進む。豪勢でおいしく、ボリューム的にも満足のいく、素晴らしい夕食だった。
ワンランク上の朝食ブッフェを仁淀川を眺めながら
気持ちの良い布団で心地よい眠りから覚めると、朝食。あれだけ食べたのに、美味しい料理には胃袋も活性化するのだろうか。お腹が随分減っている。朝ごはんも楽しみだ。
朝ごはんは仁淀川を見下ろせるレストランでのビュッフェ形式。残念ながら天気は悪いが、それでも雲のかかる幻想的な仁淀川の朝の風景がそこにあった。
朝からガッツリ。朝食にも関わらず、品ぞろえがとても豊富。特に、高知の野菜をたっぷりと使ったカレーは絶品で、朝から活力満点。分厚いベーコンステーキや、なぜか相当おいしかった串カツも外せない。
ブッフェ天国!朝食バイキングの宿では、昼食分まで食べて昼ごはん代と行動の時間を浮かすのが我が家の旅の秘訣。それでなくてもこれだけの品ぞろえを見ると全部食べたくなる。2食目は和が中心のメニューに舌鼓を打つ。
食事のグレードも量も満足。温泉も気持ちよく、客室や館内施設は広くてきれいで快適。宿から望む仁淀川の風景もとても美しく、いうことなし。
少しだけの追加金額で楽しめる贅沢な和洋室
「かんぽの宿伊野」には1名プラス1000円で、和洋室という特別室を利用できる。元々リーズナブルな宿なので、ゆっくりとした滞在を楽しみたいなら是非グレードアップしたい。ベッド2台と6畳の和室がある。部屋の広さは通常の和室の1.5倍ほど。洋室部分でも十分な広さがあるが、ここに足を延ばしてくつろげる和室があるので、相当にくつろげる。
和室。和室内にテレビや金庫がある。ここにも布団を敷けるので、4人宿泊でも気持ち良く滞在できる。
入口は広いスペースになっていて、クローゼット、下駄箱、空の冷蔵庫が置いている。ベビーカー持ち込みや、タオルを干すスペースも十分にある。トイレについてはごく普通のユニットバス。清潔なので、まだ温泉に行けない赤ちゃん連れにはありがたいところ。
和洋室からの仁淀川の眺めもバッチリ!
かんぽの宿伊野の気持ちの良い所のひとつが、この風景。西日本最高峰・石鎚山を源流とし、四国一の水質を誇る清流「仁淀川」を眺められる。全室リバーサイドで、しかもベランダつきなので、とにかく気持ち良い。しかもこの日は最上階だったので、仁淀川の流れる美しい風景が一望できる。
四国には最後の清流「四万十川」があるが、実は仁淀川は四万十川よりも水質が良い。源流の標高が低くいくつもの町を流れる四万十川に比べ、西日本最高所から一気に山の中を流れ落ちてくる仁淀川はとにかく水がきれいだ。透明な水は深い川底までクリアに見せてくれる。かんぽの宿の近くにキャンプもできる河川敷があるので、夏は川で遊び、かんぽの宿の温泉で暖まれば気持ちよさそうだ。
かんぽの宿の近くにはJR土讃線の歴史を感じる鉄橋がかかっている。ここにはアンパンマン列車も通る。鉄道ファンならベランダに三脚立てて、ビール片手に列車の通過を狙う。そんな心地よい滞在もできる宿だ。
廊下側からはJR波川駅が見える。旅情風景あふれる、田舎のいい感じの駅だ。
鰹のたたきを是非追加したい美味しい夕食
かんぽの宿の夕食。かんぽの宿の食事はとても手が込んでいる。コース料理のように、一品ずつ運ばれてくる。しかもどれも美味しい。小さな子供を連れていたら、極力座敷を用意してくれる心遣いもうれしい。
単品オーダーした「カツオの塩たたき」やはり高知といえば、カツオのたたきだ。さすがに単品だけあって、とにかく分厚い。すごい肉厚で、こんなたたき滅多に見られない。口の中に入れると、藁で焼いた香ばしさがいっぱいに広がる。そして、その次は歯を跳ね返しそうな肉の弾力があったかと思うと、次の瞬間に溶けるように口の中でほどける。これは最高に美味しい逸品。今までに食べたカツオのたたきの中でも群を抜いて美味しかった。
朝の仁淀川を眺めながらの気持ちが良い朝食
朝、ベランダに出るととても気持ちがいい。まだ静かな眠りから覚めたばかりの町。走る車もなく、音もない風が鳥のさえずりだけと川のせせらぎだけを運んでくる。
夜にもベランダに出てみたが、都会では見られない満天の星。仁淀川のせせらぎをBGMに見上げる星空も素敵だった。
朝日に照らされるの仁淀川の流れ。眩しい光を反射して、透明な流れがさらに美しく見える。朝早くから、船で漁をする人もいる。川で漁をする人の姿、それも四国の美しい風景だ。
かんぽの宿の朝食は、共通してブッフェ。しかも、ただのブッフェではなく、品数もそのクオリティもとても良い。仁淀川の清流を眺めながらのブッフェはとても気持ちが良い。かんぽの宿伊野の朝食バイキングで一番おいしかったのが、地元野菜をふんだんに使ったカレー。野菜の甘みがしっかりと溶け込んだカレーで、意外に美味しかった串カツと組み合わせると最高の朝食。もはや朝食といえないほど、ガッツリと食べられる所がうれしい。もちろん、カツオのたたきなどの和食も充実。
朝からしっかり栄養補給できれば、旅を続ける気力も漲る。食に湯に景色に。全てが満たされる、とても素敵な宿だった。
かんぽの宿伊野
住所: 高知県吾川郡いの町波川1569
電話: 088-892-1580
営業時間: イン15:00、アウト10:00
休業日: 無休(年に1回2日間休館あり)
交通: 高知自動車道伊野ICまたは土佐ICより車で約15分
JR土讃線伊野駅から車で約5分
駐車場: 150台
【投稿時最終訪問 2012年6月】