四国カルスト【天空の草原】

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愛媛県と高知県の県境にある「四国カルスト」は、秋吉台(山口県)・平尾台(福岡県)と並ぶ日本三大カルスト。四国の中心に広がるカルスト地形は、名高い清流、四万十川の源流域にあたる。まさに、四国の懐奥深くに広がる、大自然が楽しめる場所である。他のカルストとは違い、標高1300mを超える山の上に広がる四国カルストは天空の草原で、感動的な絶景が幾重にも重なる場所です。

まるでラピュタのような風景「姫鶴平」

地芳峠

出発は、松山自動車道・松山インター。松山インターから、国道33号線を高知方面に走る。途中、柳谷大橋から、国道440号線に入り、国道440号の愛媛県と高知県の県境である「地芳峠(じよしとうげ)」に到着する。松山からの所要時間は約2時間だ。ここから稜線に登る道が、四国カルストへ続いている。
四国カルストへ向かう道は勾配がきつく、ブラインドカーブが連続する細い道。しかし、登るにつれ、明らかに周囲の景色の様子が変わっていくのを感じる。もう少しで、雲上の別天地だ。
坂を登り切ると、急に景色が開ける。ついに四国カルストに到着だ。

四国カルスト姫鶴平

ここは標高約1300mの姫鶴平。まずは雲上の世界をドライブする前に、ここ姫鶴平の風景を満喫しよう。
『姫鶴荘』の前に駐車場があるが、ここはすぐにいっぱいになる。姫鶴荘前の道を下り切った100m程先に広い駐車場がある。ここは比較的空いているので、こちらに車を入れるのがおすすめだ。
駐車場の前から見る四国カルストを横断する道路はまさに絶景。巨大な風車が佇み、一面の牧草地で草を牛が食んでいる。日本離れした、牧歌的な風景を貫く道のドライブはとても快適そうだ。

四国カルスト

雲の上の大地は、まるでに空に浮かんでいるよう。空の上の平原ではでは風車がゆっくりとまわり、牛が思い思いにくつろぐ。まるで別の時代、別の世界の風景のようだ。

四国カルスト姫鶴平

巨大な風車が空からの恵みをいっぱい受け取っている。とにかく空が近い。見上げると、もう目の前が高い高い大空、雲の上。

姫鶴平

姫鶴荘から見る四国カルスト。放牧地をすり抜ける道が稜線を縫い、はるか向こうへと続いている。とても気持ち良さそうな道だが、道幅は狭い。所々1車線の離合できない場所もあるので、のんびり景色を見ながら車を運転はできない。対向車に意識しなければならないのは残念。シーズン中は渋滞覚悟の場所だ。
ちなみに『姫鶴荘』では食事やおみやげの販売、バーベキュー施設がある。キャンプ場やコテージを併設しており、本館に宿泊も可能(簡易な設備ではある)

四国カルストと中津明神山

姫鶴平の駐車場の奥には広場があり、そこには展望台がある。展望台からは四国カルストを走る道や、大野ヶ原をはじめとする山々を遠望できる。
山の稜線上にはカルスト地形独特の真っ白な石灰岩が多数見られる。一面は放牧地になっていて、とても解放的だ。向こうには、「中津明神山(1541m)」がそびえている。帰りには、あの山の麓の渓谷に湧く温泉を楽しむ予定だ。

四国カルストの牧場

広い草原には何本もの電柱が立てられ、電線が走る。そして、その下で牛たちがのんびりとくつろいでいる。まるで北海道にいるような牧歌的な雰囲気には旅情をかきたてられる。

四国カルストの牛

正午が近づくと、草を食んでいた牛達が隊列をなして牛舎の方に歩み始めた。「牛歩」という言葉があるが、とんでもない。とても歩みは速い。食事の時間だろうか。黙々と列を作って牛が誰に引率されること無く歩いていく様は、とても面白い光景だ。
さあ、今度は車窓からこの風景を楽しもう。五段高原へ向けて、車を走り始めさせる。四国カルスト最初のビューポイント、姫鶴平の風景を楽しんだら、車を東へ向けて出発させる。ここから見る、一面に広がる雲上の草原を走り抜ける道の姿に、快適なドライブを期待する。しかし残念ながら、ドライバーは快適ばかりではない。ここから四国カルストの東端である「天狗高原」へ向かう道は、とにかく狭い。路肩を踏み外せば転落するような危険箇所は無いが、離合ができない箇所が多くある。しかもここは観光地。対向車の数も半端ではない。道が狭い箇所では運転に集中したい。
所々、路肩が広くなっているところがあるので、そこで車を停めてまわりの風景はゆっくりと眺めたい。

四国カルストを一望する絶景「五段城」

姫鶴平の牛

姫鶴平からは道はゆるやかに登っていく。やがて路肩が長い区間で広くなっているところがある。ここが四国カルストを縦走する道路の最高地である五段高原。ここからの景色は、四国カルストの中でも屈指のスケールを誇っている。
路肩に車を停めると、すぐ横の道路脇間近まで牛は寄って来ていた。はるか山の上の草原で草を食む牛の姿を見ていると、遠い異国の地に来たような気になる。

五段高原

五段高原から姫鶴平を見返す。草原の中を走る道を伝い、風車の元からここまで走ってきた。自然風景に人造物が思わぬ美しさを与える風景がある。赤い屋根の牛舎と白亜の風車。それはスイスなどのアルプスの風景そのものに思える。

四国カルストドライブ

四国カルストを縦断する道。おそらく四国の中でも最高に気持ちいい道のひとつである。ただ、残念な事に道幅は狭く、対向車に注意が必要だ(ここは広い方)
多くの車がこの景色のドライブを楽しんでいた。特にライダー(バイクツーリングを楽しむ人)が多くこの道を走って行く。この道を走るためにいろんな場所からバイクを走らせてきたようだ。いかに、この道が気持ちのいい道かという証明をするように、バイクは気持ちよく、山の向こうへと走って行く。バイクなら車と違い、離合の心配が少ないから、快適だ。

四国カルストの道

運転中、ふと目に付いた脇道。車を停めた場所から散策がてら戻ってきてみた。まるで空に続くような道。この道を行くとどこに行くのか、思わず歩いて行きたくなる。

五段城

脇道から見た牧場。どこまでも緑が広がる。カルスト地形に広がる草原はとても気持ちがいい。このカルストは、向こうに見える山、大野ヶ原まで続いている。広大な草原が稜線にはるか彼方まで連なる風景には、カメラのシャッターを何度も切りたくなる。

五段高原

五段高原の散策を終えて帰ってくると、先ほどの牛に再び出会った。お腹いっぱいになったのだろうか。牛は草を食むのをやめ、のんびりとくつろいでいる。こちらがカメラを向けても知らんぷり。こんなのんびりとした時間が似合う、四国カルストの風景だった。
さて、次は四国カルストの東端、天狗高原に向かう。稜線のカルストを貫く道のドライブを楽しみながら走っていると、目の前にトンネル(天狗トンネル)が現れる。トンネルはカーブしていて、幅も狭いので、対向車に注意しながら進入。ここを抜けると、四国カルストの東端の「天狗高原」に到着する。

道を進むと、国民宿舎「天狗荘」があり、その奥に広い駐車場がある。ここに車を停めさせてもらう。
駐車場にはドライブで訪れた人や、中型バスで乗りつけた、天狗高原への登山客が大勢いる。(高知県側、国道197号線の梼原からの天狗荘へ向かう道は全線2車線で快適)
駐車場の奥は、キャンプ場になっており、シンプルな作りながらリーズナブルなバンガローもある。この駐車場からは、周辺の山々の風景を一望できる。

カルスト地形をハイキング「天狗高原」

四万十川源流の森

四国カルストの東側に広がる深い森。とても緑が眩しく、自然が色濃く残っている。美しい緑広がる山の向こう側の谷に、最後の清流と呼ばれる「四万十川」の源流がある。この山域は、四万十川の源流域なのだ。

カルスト学習館

天狗荘の横にひときわ目に付く建物がある。ここは「カルスト学習館」
その石積と木で作られた外観は、まるでアルプスを思わせるような雰囲気。遠いヨーロッパの地にいるかのような錯覚すら覚える。

四国カルスト学習館

カルスト学習館の内部。ウッディな建物の中には、四国カルストの紹介やカルストの生き物や植物などが展示されている。展示も良くできていて、四国カルストの事についてよくわかる。何よりも、無料なのが嬉しい。カルストを散策する前には、是非立寄っておきたいところ。
ここの管理人さんは、四国カルストの自然の写真をいっぱい撮られている。今までに撮った写真の中には、とても素晴らしく目を奪われるものも多い。とても気さくな方なので、話かけると四国カルストの事や、写真の撮影の情報などいろいろと教え頂ける。

四国カルスト天狗荘

国民宿舎「天狗荘」
標高1000mを越える、雲の上の快適な宿。近年全面改装されていて、客室も小さいながらもきれいである。建物の中に、高知県と愛媛県の県境があったりする驚きもある。何よりも、この宿から見る夕暮れや夜明けが素晴らしい。
温泉ではないが、自慢の展望風呂も雲の上の世界を一望しながら湯に浸かれる最高の贅沢。ただし、国民宿舎と併設のキャンプ場・コテージ使用者以外の外来は受け付けていない。

なお2021年、改築して天空のリゾートとしてオープンする。

天狗荘の横に車を置いたら、是非天狗高原のハイキングを楽しみたい。車で走ってきた道を少し戻ると、トンネルの出口付近に広い草原が広がる。ここは冬場はスキー場として使われており、絶好の遊び広場だ。ここから斜面を登る道がある。
道を登っていくと、カルストの中を散策できる。さえぎるものが無いカルスト地形からは、周囲の景色が手に取るように一望できる。麓の梼原の集落や、遠くの西日本最高峰の石鎚山まで。カルスト地形と360度のパノラマの組み合わせは最高に気持ちが良い。

もちろん、遊歩道からはカルスト独特の地形を間近に楽しむことができる。白い石灰岩が乱立する「カンフェルト」、すり鉢状をした地面の窪み「ドリーネ」などの地形が目を楽しませてくれる。
遊歩道の最高所には東屋がある。天狗荘からのハイキングは登りがあるので、もっと手軽に最高所付近を楽しみたい方は車で来た道を少し戻ろう。トンネルを抜けて少し行ったところ左側に、車を停められる広いスペースがある。ここから遊歩道を歩けば、約5分で最高所の東屋に立てる。東屋から西側にはドリーネ、東側にはカンフェルトの地形が見られ、ここを基点に特徴的なカルスト地形を掻い摘んで見ることも可能だ。

四国カルスト観光に便利なオススメホテル

四国カルスト 姫鶴平

場所: 愛媛県上浮穴郡久万高原町西谷8117
電話: 0892-55-0057 (姫鶴荘)
営業時間: 11:00~15:00 (姫鶴荘売店)
休業日: 12~3月(姫鶴荘)
交通: 松山自動車道 松山ICより車で100分
料金: 無料 (キャンプ場利用はデイキャンプ1組500円)

【投稿時最終訪問 2012年9月】

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