九重“夢”大吊橋と震動の滝【日本で一番高い吊り橋から見る絶景】
平成18年10月30日に完成した、「九重“夢”大吊橋」。「日本一の人道吊り橋」が売りのこの橋は、長さ390m、高さ173m。日本一の高さを誇る吊橋だ。
完成当初は駐車場に入るのに「何時間待ち」という、某テーマパーク並みの渋滞が発生したらしい。1年間の入場者目標を、なんとわずかオープン1ヶ月で達成したという。地元もここまで有名になるとは思っていなかったのだろう。周辺の道路も大急ぎで拡張工事が行われた。
もともと過疎地の地域振興策として考えられた施設だそうだ。「日本一」の物珍しさもあるだろうが、その橋の上から眺められる、日本の滝百選「震動の滝」の眺めが絶景すぎると人気が高い。
渡れない人続出!高所すぎる吊り橋!
九重“夢”大吊橋の駐車場に到着すると、続々と普通乗用車の他に、多くの観光バスがやってくる。どうやらここは、九州の観光ツアーのスポットに組み入れられているようだ。駐車場の前には、ばっかりと地面が大きく割れ、そこに細い釣り橋が架かっている。入場券を購入し、ゲートをくぐり、この橋に挑むことになる。
足元には、はるか173m下にある谷底。しかし橋の幅は1.5mもあり、最高で800人は橋上に乗れるという造り。全く揺れることはなく、恐怖感は思ったより少ない。
足元の中央には、排水溝のメッシュの鉄板が敷き詰められている。しかしメッシュの目は細かく、真下の風景はかなりさえぎられる。足元の恐怖感の演出のためではなく、雨などをすぐに橋上から逃すためのつくりだと思われる。そのため、足元から谷底が見えても、さほど恐怖は感じない。
※ただし、この恐怖には個人差があります
※筆者は高い所大好き人間です
吊り橋の上は震動の滝の絶好のビューポイント
吊り橋を進むと、深い谷底にに吸い込まれていく一筋の白い帯が見える。これが震動の滝の「雌滝」。震動の滝は落差83mの雄滝と落差98mの雌滝の2つの滝がある。今まで雌滝はほとんどその姿を見ることができなかったそうだ。滝の真正面の空中に歩みだせる、この吊り橋があってこその滝の全景を見れる。
こちらが雄滝。雌滝が岩肌を滑るように落ちているのに対し、雄滝は真っ逆さまに落ちている。
この吊り橋のある標高は777m(なんとも覚えやすい)高原の吊り橋は、すぐ背後に霧氷を纏う久住山を背負う風景は雄大そのものだ。
欄干から「落ちない程度に」身を乗り出すと、鳴子川の深い谷底が目の前に広がる。これが173mの上空。丈夫な吊り橋でなかったら、怖くて動けなくなるだろう。
谷のど真ん中に身を置くという事はこういう事なのだろうか。そう実感させられるのは、高さだけではなく風の強さ。今日は朝からきつい風が吹いていた。深く切れ込んだ谷は、通り抜ける風をレンズのように一点に集め、強く冷たい凶暴な暴風へとそれを変貌させる。周囲から山が集めた風が、吊り橋の上で宙に身を置く人間に容赦なく襲い掛かる。谷底へと吹き飛ばされそうになる強風は、人々の恐怖をあおり、そして体温を奪う。恐怖と寒さに動かなくなる体に鞭を入れ、この場を逃れようとぎこちなく前に進む人の姿。傍から見ると滑稽ではあるが、ここに身を置く人間には拷問にそれは感じられる。
ちなみにこの吊り橋では「傘」をさすことは禁止と大きく注意書きされている。その理由が痛いほど実感できる。こんな所で傘なんて差したら、本当に空中へとテイクオフしてしまう。そして、この谷底にいくつもの墜落した傘を見るのも嫌であろう。
震動の滝の雄滝と雌滝を一望する。吊り橋があってこその眺めだ。「震動の滝」の名前の由来は、滝の音が周辺の山野を震動させることから。確かに、谷底から風に乗って、水の大きな音が響き渡る。
吊り橋の向こう側に到着すればトイレがあるので、一息つける。また、こちらのゲートから「退場」することも出来るので、どうしても戻れない人でも有料のシャトルバスで元の場所に「強制送還」してくれるので、ひとまずは安心だ。
どきどきの空中散歩と豪快な滝をを宙から眺められる、見所のある場所だった。ただし、橋のある場所の標高や風の強さ、そして橋の構造から、薄着でハイヒールなどで渡る場所でない。1枚羽織るものと歩きやすい靴、そして飛ばされない帽子を選ぶことをおすすめする。
■夢大橋近く、飯田高原の温泉宿
■ 九重の宿・ホテル一覧九重“夢”大吊橋
場所:大分県玖珠郡九重町
電話:0973-73-3800
交通:大分自動車道九重I.Cより九重町役場前を経由して四季彩ロード終点より10分程度
熊本方面からは、やまなみハイウェイを経由、長者原交差点を左折し10分程度
料金:大人500円 小学生200円
営業時間:8:30~17:00( 4/1~ 5/31、10/1~11/30)
8:30~18:00( 6/1~ 9/30)
9:00~16:00(12/1~3/31)
駐車場:206台(対岸にも60台駐車可能)
【投稿時最終訪問 2007年3月】