白滝るり姫祭り【真っ赤な紅葉の森と滝のライトアップ】

愛媛の紅葉の名所、大洲市の「白滝」紅葉に彩られた山から落差80mをこえる2本の滝が山里へと落ちていく。毎年11月23日には「るり姫祭り」が行われ、美しい紅葉と滝の風景を姫の姿をした子供が行列する。白滝には何度か紅葉の時期に行っているが、娘も4歳になり、滝の上まで登れるようになったので久々に白滝に訪れた。るり姫まつりの当日、11月23日の勤労感謝の日だ。

るり姫まつりの時には無料臨時駐車場がオープン

白滝無料駐車場

滝の登り口に有料駐車場があるが、そこまでの道は狭く、祭りの日は相当に混雑している。県道24号線沿い、JR伊予白滝駅の南側の空き地が臨時駐車場として開放されており、無料だ。白滝の入口までは徒歩5分ほど。こちらに停めた方が早いし安い。訪れたのは「るり姫まつり」が終了した午後になってからだが、それでもまだ相当の人出があった。

白滝公園まではローカル線が走る風景が気持ちいい

予讃線白滝駅

JR予讃線の伊予白滝駅。愛媛県最大の河川「肱川」が削り取った深い山間の里を走るローカル線。この先は瀬戸内海へと出て、海沿いを走る。菜の花に包まれた線路、日本一海に近い駅でロケ御用達の「下灘駅」を走る、四国でも有数の列車の旅を満喫できる区間だ。この踏切を渡り、山の手へ向かって歩く。

白滝公園

目の前に「白滝」という、ちょっとハリウッドを意識したような看板が見える。この山の中腹に白滝の展望スポットがあり、階段で登っていく。紅葉の鮮やかな赤色が織り込まれた山肌はとても美しく、秋の美を感じさせてくれる。

白滝から流れ出す川辺は日本の美空間

白滝公園の紅葉

山の中からいくつもの滝を集めて流れる清流。水の流れが運んでくる山の空気はとても冷たく、滝の入口に立つだけでひんやりとした冷気を感じる。そんな美しい川を真っ赤なモミジが彩る。秋の暖色の美しさと、冬を思わせる冷たさが交錯し、季節を感じさせてくれる場所だ。白滝入口には、水車小屋があり、巨大な水車で挽いたうどんを販売している。紅葉の谷にひっそりと佇む水車小屋。それは古き良き日本の風景を思わせる情景。

紅葉の間を流れ落ちる白滝を眺めながら山を登ろう

大洲白滝

少し階段を登ると、そこには「落合の滝」がある。白滝のメインの滝になる「雄滝」と「雌滝」が合流する箇所にある滝だ。雌滝側の落差は20m、雄滝側の落差は25m。写真は雌滝側の滝。雌滝と雄滝の落ち口は並んでおり、雌滝の落差は85m、雄滝の落差は80m。今回は滝の落ち口まで登るので、都合ここから105mの高低差を登っていく。

大洲白滝

落合滝を登りきると、落差85mの雌滝の姿が見える。るり姫まつりがある11月23日の正午にはここから花みこしが投下される。この白滝にはるり姫伝説がある。この地方を治めていた城主の奥方である、るり姫。長宗我部氏に攻め入られた際、娘や侍女らと供に得意の吹き矢や手裏剣で善戦するも落城。追われて逃げ込んだこの白滝で、2歳の世継ぎの息子を抱いてこの滝に身を投げた悲しい伝説。滝の上まで続く遊歩道には、このるり姫の伝説がまるで紙芝居のように所々に掲げられている。滝を登るにつれて、その悲しい伝説を知っていく事になる。

紅葉の白滝公園

滝の遊歩道を登るにつれ、森の色が燃えるような赤色になっていく。滝の下部は深い谷になっており、光が入らずにとても冷ややかな空気が漂っていた。しかし、標高を上げるにつれ、光が森を照らし、鮮やかな秋の色を見せてくれる。

紅葉の白滝

遊歩道から望む雌滝の全景。上部は落差25m、下部は高さ60mの2段の滝になっている。滝音が轟音となって谷間へと落ちていき、心地よく山間に響き渡っていく。

白滝の上は茶屋もある絶景展望スポット

白滝公園もみじ茶屋

滝の上に到着。滝の上部は広場になっていて、休憩所や水洗トイレ、「もみじ亭」といった小さな食堂まである。白山権現という神社やるり姫の観音像が付近にある。さらにこの上部にも来光の滝や貫洞の滝、都の滝があり、遊歩道は続いていく。

白滝公園

出発した白滝の町並みははるか眼下。山間の穏やかな里と、険しく立ち上がる山々の風景がとても美しい。おおよそ100mの標高差を登ってきた4歳の娘。山ガールへと成長中。

白滝の上は美しい紅葉の森が広がる別世界

白滝公園の紅葉

展望台付近の紅葉はとても美しい。真っ赤に燃える森と、幾重にも重なる山々の風景は、日本の秋の美しさ。この白滝は山の西側斜面にある。るり姫まつりの後に訪れるメリットは、混雑回避だけでなく燃えるような美しい紅葉が楽しめること。午後になってから西向きのモミジの森に光が入り、紅葉の森はさらに美しくなる。白滝の紅葉を楽しむなら、午後の時間にも滞在していたい。

白滝公園の紅葉

展望台からもう少しだけ登れば、この紅葉の森の中に入れる。この紅葉の森は滝の上部にあり、夕日が真横から紅葉を照らしてくる希少な場所だ。夕方4時頃には、紅葉の森に真横から太陽光が突き刺さる。その時の美しさは言葉で言い表せないほど。

白滝公園の紅葉

真横から太陽光に照らされる紅葉の森。太陽の光は紅葉を輝かせる。紅葉の色を写した太陽光は森の中を燃えるように真っ赤に染める。キラキラと輝く赤色に包まれた森は、幻想的な世界。この季節、この時間だけ。1年の中で本当に限られた時間だけ現れる、まるで童話の世界に迷い込んだかと思えるほど美しい森の姿だ。

白滝公園の紅葉

赤、黄色、緑。森のあらゆる色が同じ高さから水平に飛び込んでくる日の光に鮮やかに輝きだす。それは万華鏡。それは光のパッチワーク。風に木々が揺らめくたびに、空間を秋色の光が飛び交い心をざわめかせる。

白滝落ち口

るり姫親子観音像まで来ると、そこは雌滝の落ち口。ここから85mの落差へ舞うべく、水は宙へ飛び出していく。

白滝公園の紅葉

紅葉の森の中を行く4歳の娘。格好だけはすっかり山ガールだ。手にレジ袋を持ちながら進む姿はさながら清掃登山。しかしその実体は、落ち葉やドングリを片っ端から集めている。ドングリ拾い放題が楽しくて仕方がないようで、ゆっくりではあるが、どんどん山に登って行ってくれる。

白滝公園の紅葉

紅葉の森の中に到着。空気まで秋色に染め上げられたようなとても美しい世界。ここは今まで我が家の記念写真の定番スポットになっている。今年は初めて娘といっしょに家族写真を撮影。美しいメルヘンのような世界に来たのに、娘はまだどんぐり広いや飾られている地蔵の置物に興味津々。

白滝の最高の美!夕陽に照らされて真っ赤に輝く紅葉の森

白滝公園の紅葉

その日のクライマックスが訪れた。夕日は真横、さもするとやや下方から紅葉の森を照らし始める。葉の一枚一枚まで遮る物無く飛び込んできた光で美しく輝く。森の奥まで、まるで紅葉自体が発光しているかのように、美しく真っ赤に森が輝いている。

白滝公園の紅葉

頭上には真っ赤なモミジが覆いかぶさっている。上からではなく、斜め下から照らされたモミジはまぶしいくらいに色鮮やか。地面以外の360度、輝く赤い葉に覆われた世界。その美しさは、心を落ち着けたり、ざわめかせたり。秋の美しさが凝縮された空間は時が立つのを忘れさせてくれる。

白滝公園の紅葉

美しいものは儚くてそして短命。その時間は刻々と過ぎていく。太陽はやがて山の向こうへと消えていく。それと同時に、先ほどまでざわめき立つように赤く燃えていた森の光はどんどんと失われていく。光り輝く美しい色とりどりの世界は、日没と同時に終わった。森の中には滝の音だけが響き渡り、夜への静寂が冷ややかな空気に乗って訪れようとしていた。さあ、ここからは急がなくては。太陽が沈むと付近は真っ暗になる。遊歩道には所々街燈が灯るが、小さな子供を連れて下りるには少々心もとない明かりだ。

最後はライトアップされた幻想的な白滝

白滝ライトアップ

雌滝の下まで降りてきた。太陽は山の向こうに沈み、谷間には光は届かず暗闇に包まれようとしている。そんな中、滝のライトアップが始まった。まだ光が残る雌滝の上部だが、下部からはメタリックな緑色の光で染め上げ始められている。この夜のライトアップも白滝の見どころだ。

白滝ライトアップ

ライトアップされる雄滝。妖しく緑色に照らされ、爆音を立てる滝は不思議な光景だ。日が沈んでからも訪れる人も少なくはない。ライトアップされた白滝、夜もまた幻想的な美しさで訪れる人を魅了しようとしているようだ。

白滝公園の後にぜひドライブしたい「夕やけこやけライン」

白滝公園をまだ明るい内に出発したならぜひドライブしたいのが「夕やけこやけライン」です。白滝の前を流れる大きな「肱川」を瀬戸内海まで下り、松山方面へ向かう国道378号線が夕やけこやけラインと呼ばれており、海に沈む夕日を眺めながら走れる最高のドライブルートなのです。夕焼けドライブの後は松山の道後温泉でゆっくりするのもお勧めの旅のルートです。

【道後温泉の宿一覧】

白滝公園

【投稿時最終訪問 2012年11月】

住所: 愛媛県大洲市白滝甲124-2
電話: 0893-52-1111 (大洲市観光協会長浜支部)
料金: 無料
休み: 無休
営業時間: なし
交通: 松山自動車道・大洲ICより約15分
   JR予讃線白滝駅より徒歩5分
駐車場: 約100台(300円・祭り期間中は徒歩10分の所に無料駐車場あり)

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