大和ミュージアム (呉市海事歴史科学館)

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広島県呉市。背後にそびえる山と数多の島に囲まれた地形で、昔から守りの堅い港で軍港として栄えた。太平洋戦争中は帝国海軍の拠点として、戦艦大和が建造されたことでも有名。今も海上自衛隊の基地があり、護衛艦や潜水艦を普通に見ることができる。
そんな呉を代表する観光施設は、ご存じ「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」
JR呉駅すぐの所に、この2つの施設が並んでいる。やはり、呉を訪れたならば、どちらも見学したいところだ。
「てつのくじら館」に続いて、「大和ミュージアム」に訪れた。

超リアルな戦艦ヤマトの巨大模型がすごい!

エントランスを抜け、館内に入場すると、最大の目玉であり、大和ミュージアムの顔がお出迎え。1/10スケールの戦艦大和だ。その迫力とリアリティには、圧倒される。
さっそく近づこうとするが、行く手を阻む人が・・・
よくある「記念写真撮影」だ。この大和をバックに撮った写真、気に入ったら帰りに買ってくださいという。現在はデジタルカメラの技術の進歩もあり、撮影の当日に、写真を手に入れる事が出来る。それに、フィルムが不要なので、いくらでも撮って不要ならデータを抹消すればよい。そんなわけで、ガンガン猛烈に写真撮影をする人を捕まえていた。
しかし、そんなデジタルカメラとネットの進歩で、この大和ミュージアムの記念写真はさらに1歩進んだサービスをしていた。なんと、写真の購入をしなくても、800×533のおおよそ400万画素のデータをタダでもらえるという。データは大和ミュージアムのホームページからダウンロードできる。無料でもらえる名刺サイズのカード(ここにも小さく撮った写真が印刷されている)に記載があるアクセスコードを入力すると自分の写真が表示される仕組みだ。ダウンロードは撮影翌日から30日間のみ。通常のL判の印刷には十分耐えられるサイズなので、旅の思い出の1枚にはなる。大きな写真を買うか買わないかは別として、良い無料サービスも受けられるので、記念にぜひ1枚、いいカメラでスタッフに撮ってもらいたい。

当時の資料や写真を元に、ディテールまで忠実に復元さた大和のリアリティは凄まじい。主砲は言うことなかれ、側面にずらりと配された高角砲や機銃まで、イラストや写真ではあまり目につかない細かいところまでじっくりと観察できる。カタパルトやその付近の装備を操るワイヤー、巨大な艦橋やファンネルなども忠実に再現されている。
そして見ただけではわからないが、大和の装甲は相当に分厚い。大和の主砲である46cm砲の直撃にも耐えられるような防御能力があり、舷側410mm、甲板200mm~230mm、主砲防盾650mm、艦橋500mmの装甲を誇った。また、艦内には冷暖房が完備され、食事も他の戦艦に比べてよいものが提供されていたという。
全長263m、全幅38.9m。環境の高さは水面上約45m。80基近い砲門や機銃を装備し、3000人の乗員を有した超巨大戦艦。当時の世界最高水準の軍艦だが、今でもこれだけ、まるで巨大なビルのような船は造るのは相当な技術と人員がいるたろう。こんな船が70年以上も前に存在していたというだけでも驚きだ。

大和広場は階段があり、大和の下側、間近まで歩み寄れる。写真やイラストではほとんど見ることが出来ない、大和の喫水部分の姿も見ることが出来る。
巨大なスクリューが4基並ぶその姿。最大速度27.5ノット(時速約50km)を生み出すパワーの源だ。しかし、こんなビルのような船が時速50kmで真横を通過されたら、どんなに怖いだろうか。今でも驚きのスペックを70年以上前にやってのけているのだから、本当にびっくりだ。
よく、科学技術の発展は戦争によってもたらされるという趣旨の言葉を聞く。あまり認めたくはないが、70年前の最先端の軍事技術を目の当たりにして、その言葉の意味を否応なしに感じてしまう。

展示される実際に使われた兵器たち

大和広場の横には「呉の歴史」という展示室がある。戦時中の呉の様子や、呉で造船された軍艦。大和の資料や当時の潜水艦の模型など。ここにも大変興味深い、貴重な資料と展示を見ることができる。
大和広場のもうひとつとなりには大型資料展示室がある。ここには大戦末期に使用されていた実物の戦闘機や潜水艦が展示されいる。
まず目を引くのが人間魚雷「回天」。市川海老蔵主演の映画「出口のない海」でその存在が広く知られることになった兵器だ。特攻隊といえば「神風」が有名だが、空から艦隊に体当たりするだけでなく、海の中から魚雷として体当たりするのがこの「回天」た。大型魚雷を人が内部から操縦できるように改造した「人間魚雷」。大量の爆薬を積んでいて、一撃で軍艦を沈められる威力を有した。
神風もそうだが、こんな狭い所に乗り込んで暗く冷たい海の中を特攻する若者の心境。平和な世の中に暮らす僕には、全く想像すらできない。とても悲しい兵器だ。

そのほかにも特殊潜航艇「海龍」や零式艦上戦闘機、主砲や機関銃の実弾や零戦のエンジンの実物が展示されている。展示室の途中からスロープで上階に向かうようになる。そのスロープからは戦闘機のコックピットを見下ろせる。
旧日本軍の戦闘機の実機は、一度愛媛県の「紫電改展示館」で見た事がある。しかし、このようにコックピット内部を真上から見れるのは、まずあり得ないアングル。アナログな計器がずらりと並び、操縦桿がその存在感を誇示している。そして、翼の上に「足踏」や「ノルナ」と書かれている所に、すごいリアルさがある。
3階に行くと、大和を上部から見下ろす事ができる。かつて大和を攻撃した戦闘機からは、このようなアングルで見えたのかとも思える。3階には「船をつくる技術」という展示室があり、船が浮かぶ仕組みを使った巨大な遊具や操船シュミレーターなど、子供が喜びそうな施設だ。また、大和の建造の様子を再現した映像の上映や、宇宙戦艦ヤマトの特設コーナーがあったりする。

最後に大和を真正面から。大和の顔とも言える菊の御紋。深い海の中に眠る大和の雄姿が、今ここに再現されている。
とても充実した内容に満足できた。これで500円の入館料は格安だ。屋外には沈没した戦艦陸奥の主砲、スクリュー、主舵が展示されている(引き上げられた実物)
また、大和の甲板を実物大で再現した大和波止場などがある。残念ながらこの日は大雨のため、外には出れなかったが、また機会があれば立ち寄ってみたいと思う。
さて、この日はベビーカーで赤ちゃん連れの入場だった。比較的新しい施設だけあって、スロープが完備され、バリアフリーも充実。ベビーカーでの移動は全く苦にならなかった。
また、トイレにもオムツ替え台完備。授乳室は無いが、スタッフにその旨を伝えれば、救護室を授乳室として貸してくれる。ただしお湯などは無いので、持参が必要。

大和ミュージアム (呉市海事歴史科学館)

住所: 広島県呉市宝町5-20
電話: 0823-25-3017
休館: 火曜日(祝日の場合は翌日)
   4月29日~5月5日、7月21日~8月31日、12月29日~1月3日は無休
時間: 9:00~18:00(入館は17:30迄)
      7月1日~8月31日は9:00~19:00(入館は18:30迄)
料金: 大人500円 高校生300円 小・中学生200円
交通: JR呉駅から徒歩5分
   呉中央桟橋から徒歩1分
駐車場: 285台(1時間100円)

【投稿日最終訪問 2010年5月】

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