松山~広島高速船【呉・瀬戸内海クルージング】

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四国は本州と3本の橋で結ばれている。本州への移動は高速バスなどで便利になったが、四国の最大県の県庁所在地・松山から中四国最大都市・広島への移動で最も早いのが高速船だ。
風光明媚な瀬戸内海の多島美や呉の自衛隊艦船を眺めながらの船旅はとても楽しく、素早いアクセスと同時に旅情をたっぷりと感じることができる。

松山観光港から広島に向けて四国を出発

松山観光港

出発するのは愛媛県松山市の「松山観光港」
広島だけでなく、大阪・九州を結ぶフェリーも発着する、名の通り松山の海の玄関口だ。立派な旅客ターミナルがあり、海上交通の盛んな瀬戸内海らしい港である。ここは中国地方の代表都市・広島と、四国の代表都市・松山を結ぶホットラインでもある。
何度かここから広島に向かったことがあるが、私用では安い「フェリー」で。今回は社用だったので、快適な「高速船」に乗船し、広島へと出張に向かった。

瀬戸内海航行

乗船した高速船は定刻通り出港。どんどん四国の陸地が遠くに離れていく。
瀬戸内海は本州と四国に挟まれた狭い海。さらにその中にはいくつもの大小様々な島が点在している。その為、潮の流れはとても速いが波はとても穏やか。今までの旅で何度か高速船に乗ったことがあるが、その速度ゆえにとにかく良く揺れた。しかし、波の穏やかな瀬戸内海の高速船の揺れはほとんど皆無。まるで高速バスに乗っているような感じで、とても心地良い。あまりもの気持ちよさに、ついつい眠りに落ちてしまった。

音戸の瀬戸

気がつくと船はもう「音戸の瀬戸」に差し掛かっていた。
この音戸の瀬戸とは、本州と倉橋島の間の海。川のように見えるが、れっきとした海で、瀬戸内海にはこのような島と島、島と陸地が川のように狭まった場所が無数にある。瀬戸を通過する際は危険防止のため船は徐行になる。右にも左にも、海のすぐそばまで民家が狭まる中、ゆっくりと高速船が通過していくのは瀬戸内海ならではの光景だ。

艦隊や潜水艦が居並ぶ呉の風景

呉の護衛艦

「音戸の瀬戸」を通過して間もなくすると「呉港」へと差し掛かる。呉市は陸地は高い山に囲まれ、海は江田島と倉橋島に囲まれた天然の要塞。そのため、大戦中はここは海軍の重要な拠点であり、あの戦艦「大和」もこの呉港で建造された。
現在も海上自衛隊の基地があり、多くの自衛隊の艦船が一堂に居並ぶ圧巻の風景を目の当たりにできる。艦船には武装や格納庫も見られ、明らかに普通の船とは違うことがわかる。時々潜水艦も停泊していて、ここは一見の価値がある。松山から広島に向かうのなら、進行方向向かって右側の座席窓側を確保しておきたい。
自衛艦以外にも巨大なタンカーや造船中の船など多く見ることができ、ここは船好きでなくても、興味深い場所だと思う。

呉港

海沿いには、大規模工場が立ち並ぶ。巨大なタンカーが何隻も接岸し、工場へ材料を下ろしたり、荷物を積み込んだりしている。これだけ多くのタンカーが接岸しているところは、なかなかお目にかかれない。
工場地帯を抜けると、船が多く停泊する港になる。しかし、同じようなグレー色の独特の形をした船ばかり。それらは海上自衛隊の艦船だ。

呉の護衛艦と潜水艦

よく見れば、潜水艦も係留されている。
呉には自衛隊の地方隊と、教育隊の本部が置かれている。軽く10隻を越える艦船が係留されている。

呉の護衛艦

係留されているのは、護衛艦らしい。その装備は攻撃的。速射砲、機関砲、ロケットに魚雷、誘導弾発射装置まで。哨戒ヘリを艦載している艦もあるらしい。

呉の艦隊

これだけ武装した船が何十隻も並んでいる景色は見た事がない。ガンダムなんかのアニメを見て育った僕には、かっこいいと思える景色だ。
が、これは平和そうに見える日本も、ある程度の武力を持っていないと平和を保てない事の証明。自衛隊は災害救助活動には大変頼りになるが、その活動に、機関砲やロケットランチャーはいらない。今の平和は、武力でお互いにけん制し合って保たれいているものなのなんだろう。
どちらにせよ、平和ボケしている日本の平和も、世界に真に願われて維持されている平和ではない。それだけは現実として、認識しないと・・・
しかし、武器というのはすごい技術だ。科学技術の進歩は武器づくりによってもたらされたという説も聞く。確かに、カーナビも、もともとは軍事技術を精度を落として民間技術に転用したものだ。人間の長い歴史、一度も人間は武器を捨てたことがない。確かに、人間が鋭い牙を持つ野獣に打ち勝ち、これだけの文明を気付いたのは武器の賜物だ。しかし、鋭すぎる牙は仲間も自分をも傷つけ、破滅をもたらす。人間は武器に変わる英知を手にすることができるのだろうか。

戦艦大和のふるさと

ふと、ドックを見ると、『大和のふるさと』と書かれている。
ここは『IHIマリンユナイテット』という造船会社。石川島播磨工業のグループ会社で、なんとこの呉造船所で戦艦大和を造船したという。
あの有名な大和はここで生まれたのか。停泊している、今の護衛艦よりももっと大きく、もっと多くの武器を積載していたのだろう。しかし、その大和も多くの命と共に海に沈んだ。少し悲しくなる。

てつのくじら館

やがて船は呉港に到着。ここでも下船ができる便もある。港のすぐ前には、「大和ミュージアム」と潜水艦が目立つ「てつのくじら館」がある。松山からの観光にはとても便利そうだ。
「てつのくじら館」の横にある潜水艦は退役した実際の潜水艦。巨大なビルと同じ大きさ。その大きさは想像以上で、びっくりさせられる。

海上保安大学校

港を出港してややすると、「海上保安大学校」が見えてきた。映画「海猿」の主人公たちが訓練を行った場所で、実際のロケ地でもある。
ところで、呉には『海上保安大学』もある。映画『海猿』のロケ地になっている。確かに、ここの建物で、主役の伊藤英明扮する仙崎大輔が訓練していたなぁ。

呉の軍事施設

この海域のあちらこちらの島に、ふさがれたトンネルの跡がある。昔の軍事施設の名残なのだろうか。

夕日が美しい広島宇品港

広島宇品港

そうこうしているうちに、目的地の広島港に到着した。広島港(宇品)から広島市中心街に出るには路面電車に乗る。結構長い乗車時間になるが、歴史ある路面電車の旅もなかなか楽しい。
写真は用事を済ませて帰宅する時のもの。 夕やけにウッドデッキの港はとても絵になる。泊まっている船舶が瀬戸内の旅情気分を高めてくれる。

松山広島高速船

これが松山~広島を運行する高速船。約1時間15分で松山と広島を結んでいる。県庁所在地間を船で結んでいるというのは瀬戸内海ならでは。
そして、車で向かうと3時間ほどかかるところが船ならたった1時間ちょっと。しかも、快適で揺れも少ない。瀬戸内海の海運の実力を思い知った素晴らしいクルーズだった。

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