コウノトリの郷公園【コウノトリが住む里山と博物館】

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兵庫県豊岡市は日本で最後の野生コウノトリの生息地であり、現在はコウノトリの復活を目指した人工繁殖が行われています。その中核となる施設が「コウノトリの郷公園」です。
県立のコウノトリの研究・繁殖機関ながら、一般客が飼育されているコウノトリを観察したり、研究の展示を見学したりできる施設です。また、コウノトリが繁殖するために保全されている日本本来の里山の風景がとても美しい場所でもあります。

野生のコウノトリも見られる美しい里山

コウノトリの郷公園

コウノトリの郷の中心施設である「コウノトリ文化館」は、コウノトリに関するとても充実した展示と、室内から飼育されているコウノトリを観察することができます。
また、駐車場脇にある「コウノトリ本舗」では、コウノトリをモチーフにしたお土産や、コウノトリを保護する里山で、極力無農薬で作られたお米や、清酒、お菓子などが販売されており、喫茶コーナーもあります。
「コウノトリの郷直売所」では、地元でとれた新鮮で安心な野菜をとても安く購入することができます。

コウノトリの郷公園

コウノトリの郷付近は盆地になっており、一面の水田が広がります。道路脇にはズラリと柵が張り巡らされており、人間は中に入ることができなくなっています。コウノトリが安心して営巣できる環境を整え、この場所に定着してもらえるようにしています。

コウノトリの郷公園の野生のコウノトリ

コウノトリは本来は渡り鳥で、ロシアや中国、韓国や台湾などの間を移動して暮らします。日本では留鳥として全国に生息していました。しかし生息地となる田んぼの減少や農薬の使用、乱獲でその数を一気に減らしました。豊岡盆地にはコウノトリに適した自然環境が残り、乱獲も少なかったため、国内最後の生息地として残りました。しかし残念ながら1971年に日本国内の野生のコウノトリは絶滅しました。
現在では、コウノトリの郷で飼育繁殖したコウノトリが再び日本の空に戻り始めています。

営巣するコウノトリ

コウノトリの郷公園の前に広がる水田の中には何本かの営巣用の人工巣塔が建っています。野生のコウノトリも飛来しており、距離は離れていますが望遠鏡や望遠レンズで観察することができます。よく見ると、つがいのいる巣の中に雛鳥が孵っています。
コウノトリの繁殖時期は早春~初夏。このときはゴールデンウィークでした。巣は木の枝や藁など大きな木の上にを組み合わせたつくられ、直径は1.5~2mにもなる巨大なものです。コウノトリ文化館の横には実物大のコウノトリの巣が展示されているので、その大きさを実際に知ることができます。小学生二人、余裕で中に入ることができる大きさです。

間近で見られる放し飼いのコウノトリ

コウノトリの郷公園

コウノトリ文化館の横にある西公開飼育ケージ。屋根の無いケージで、飼育中のコウノトリを間近で見ることができます。屋根がないので、野外で暮らすコウノトリもやってくることもあるそうです。また、コウノトリかと思って観察していると、日本中どこにでもいるアオサギだったということもしばしば。
屋根がないのにここからコウノトリがいなくならないのは、縄張り意識が強かったり、よっぽど居心地が良かったりするのかもしれません。

コウノトリの郷公園のコウノトリ

現在コウノトリの郷にいるコウノトリは、1985年にロシアから譲り受けたは6羽から人工繁殖したもので、2015年には95羽までその飼育数を増やしました。
2005年にはコウノトリ野生復帰計画の最初の5羽が野外放鳥されました。2015年には野外のコウノトリも72羽の生息が確認されており、豊岡を離れて全国各地への飛来も確認されています。

コウノトリ

コウノトリ科は成鳥になると体長約1.1メートル、体重4.5kg~5.5kg、両翼を広げると2mにもなる大型の鳥で、見た目はツルに似ています。水田や湿地、川などに住み、魚や昆虫、ヘビやカエルなどをエサにしています。日本では一時絶滅した野生のコウノトリは現在、ロシアのアムール川中流域や中国の黒龍江省のなどに3~4000羽が生息するのみで、国際的にも絶滅危惧種に指定されています。

コウノトリ文化館の充実した展示

コウノトリ文化館

コウノトリ文化館のウッディなエントランスホール。コウノトリのはく製や野生復帰の取り組みについて解説されたパネルが展示されており、コウノトリについて知ることができます。

コウノトリ文化館多目的ホール

多目的ホールの壁は一面全てを開くことができ、さらにはテラスで軒先に出ることができます。ここからベンチに座りながら、またウッドデッキに出てさらに間近から公開飼育ゲージの中にいるコウノトリを眺めることができます。双眼鏡や望遠鏡も備え付けられていて、コウノトリの姿をはっきりと見ることができます。

コウノトリ文化館シアタールーム

シアタールームでは、コウノトリの野生復帰の取り組みについての映像を見ることができます。

コウノトリ文化館

「展示企画コーナー」や「展示コーナー」など、コウノトリをはじめ、豊岡の自然や山陰海岸ジオパークなど、付近の自然文化について紹介します。
また、放鳥して野生復帰したコウノトリがどこで確認されたかというリアルタイムな情報も掲示されています。これは個体が識別できる足環をもとにその発見情報が精査されており、野生のコウノトリがどのように移動しているかの研究成果にもなっています。日本各地はもちろん、遠く韓国まで飛んで行った個体もいるようです。

コウノトリ文化館のはく製

コウノトリの剥製やコウノトリの卵などがずらりと展示されています。その数や情報量は膨大で、まさにコウノトリの博物館です。

コウノトリ文化館収蔵室

2階にある収蔵室では、コウノトリ以外の鳥類やクマなどの哺乳類のはく製を展示しています。
充実した展示に、豊かな里山で暮らすありのままのコウノトリを見ることができるコウノトリの郷公園。かつての日本の風景がそこにはありました。赤ちゃんを運んでくるという言い伝えがあるコウノトリ。これだけたくさん見られると幸せになるかもしれませんね。

■コウノトリの郷から車で20分の「城崎温泉」

コウノトリの郷公園

住所: 兵庫県豊岡市祥雲寺字二ヶ谷128
電話: 0796-23-5666
営業時間: 9:00~17:00
休業日: 月曜日(祝日はその翌日)、12月28日~1月4日
料金: 無料
交通: 北近畿豊岡自動車道・但馬空港ICより約15分
駐車場: 72台(無料)

【投稿時最終訪問 2018年5月】

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