佐田岬 【四国最西端・豊予要塞跡】

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佐田岬(さだみさき)半島。四国本島から50km近くも西に細長く延びる日本一細長い半島である。本州最南端・九州の「佐多岬(さたみさき)」と混同しそうな地名である。この半島の先端にはその名の通り「佐田岬」があり、ここが四国の最西端である。
佐田岬への道は八幡浜市から国道197号線・通称「佐田岬メロディライン」を西に約40km。左と右、両方に海を見下ろし、風車が何十基も立ち並ぶ風景の中を走る全線2車線の快走路。その終着点三崎町から細い県道を走ると、佐田岬に到着する。
佐田岬周辺の道は細く、大型バスなどの通行はできない。普通乗用車同士でも離合に注意しながら進む。
着いたのは小さな駐車場。こにはトイレと自動販売機といった簡単な施設のみある。

四国最西端へ向かう海沿いの遊歩道

佐田岬遊歩道

佐田岬灯台への唯一の陸上アクセスである遊歩道を歩く。温暖な海岸沿いに見られる独特の植生の森を歩く。遠くに聞こえる潮騒がとても気持ちいい。
駐車場から佐田岬灯台までの距離は約1.8km。歩きやすい道ではあるが、いったん海まで降り、また灯台まで登り返す。なかなか高低差のある道である。ヒールなどではかなりきつい。
夏場などに行くと相当暑く、灯台には売店がないので必ず飲み物は持っていくようにしよう。遊歩道の入口と、海へ降りるまでの森の中には、なぜか何台も自動販売機が並んでいる。

佐田岬キャンプ場

遊歩道の途中、遊歩道を下りきったところに「佐田岬灯台キャンプ場」がある。
シャワー・トイレ完備で、小さなバンガローが立ち並ぶ。オープン時期は7、8月のみで、夏場は売店も出て、海水浴客で賑わうそうだ。キャンプ場の左手には、戦跡(司令部跡だったそうだ)を利用した売店施設がある。なお、このキャンプ場は車で入ることはできないので荷物の搬送は人力だ。
この場所は一番海に近く、風が潮騒とその香りを色濃く運んできてくれる。険しい岩肌がそびえる海岸にもすぐに降りることができる。夏場はシュノーケルなどすれば気持ちさそうだ。
さあ、ここからは登りだ。山の頂上に向かえば展望台、その山を巻く道を進めば灯台にたどり着ける。
※佐田岬灯台キャンプ場は現在閉鎖されています

佐田岬の海

南側の海を見下ろす。この佐田岬半島を隔てて北は瀬戸内海、南は宇和海となる。瀬戸内海より宇和海のほうが海は南国の様相を呈し、水は青く透明になる。
さて、余談ですが、この写真の中に「幸せなクマ」がいます。近くの道の駅のパネルに紹介されていたのですが、どこにいるかわかりますか?
答えはこの記事の一番最後にあります。

佐田岬灯台への道

灯台へと続く道。訪れたのは2月だが、それでも緑がまぶしく、まさに常夏の様相。ここはとても温かい場所である。
道沿いには先ほどのキャンプ場の戦跡もそうだが、所々古い施設の跡が残っている。ここ佐田岬には旧陸軍の「豊予要塞」があった。遊歩道を1歩はずれ、森の中をさまよえば、今も眠る弾薬庫や地下施設に出会える。ただし、相当危険な場所が多いようなので、注意が必要。

四国最西端の佐田岬灯台からの眺めは絶景!

佐田岬灯台

さて、佐田岬灯台に到着した。青空に映える白亜の灯台。遊歩道から階段を登れば、その下にたどり着ける。

佐田岬

灯台から海を見下ろす。海が澄んでいてとてもきれい。前日に大雨が降ったので、普段はもっときれいだ。
写真右の陸地は大島という島で、コンクリート製のいけすで陸つながりになっている。ここには三崎漁協の施設。三崎漁協といえば、「岬アジ」「岬サバ」のブランドで有名だ。全国的には「関サバ」「関アジ」のほうが有名だが、実は全く同じものなのである。この海で泳ぐサバ、アジを九州(佐賀関)で水揚げすれば「関」、四国(佐多岬)で水揚げされれば「岬」の名を冠される。「岬」のほうが知名度が低いので、相場は安いようだが、おいしさは全く同じなのだ。

佐田岬から望む九州

ここ「佐田岬灯台」の売りは、天気が良ければ九州が見れるということ。この日はとても天気がよく、九州・佐賀関がとても近くに見えた。聳え立つ煙突は、佐賀関の日鉱金属のものだろう。
ここ佐田岬と佐賀関の間の海が狭まったところが豊後水道。激しい潮の流れに揉まれ、魚がおいしく育つ。ここは絶好の漁場なのである。

佐田岬にひっそり残る豊予要塞の戦跡

豊予要塞跡

大島の岩の上には、石碑が建つ。この要塞の工事中に兵士が何人か事故死しているらしい。その慰霊碑だろうか?この灯台の足元の崖にも、今もトーチカがぽっかりと海に向かって穴をあけている。
大島の向こうの青い海には轟音と共に潮が流れている。絶好の漁場と呼ばれる豊後水道の、形なき姿さえもここでははっきりと見える。

豊予要塞跡

コンクリートの生簀へと降りていく階段。その階段付近には、何か建物があったような基礎がいっぱい並んでいる。ここが戦時、軍事施設があったことを強く思わせる。
さて、灯台付近を散策したら、今度は椿山頂上の展望台に向かう。ここからは歩いて10分ほどで到着する。

豊予要塞跡

展望台を目指していると、山の山腹で戦跡に出会う。山肌をくりぬかれてコンクリートで固められた横穴。ここには移動式のサーチライトが格納されていたそうだ。
この戦跡の周りには、山肌をぐるっと1周する道が作られている。戦時はここにレールがひかれ、サーチライトを載せて360度、光を照射できたとか。
この戦跡の横にある階段をもう少し登れば、頂上。白い藤棚があり、そこから眺める青い海は、エーゲ海を思わせる雰囲気。

佐田岬灯台と九州

展望台から眺める佐田岬半島と、九州・佐賀関。とても気持ちのいい風景。一番西の端とはいえ、四国はこんなにも九州にの近かったのかと驚かされる。
冬とは思えないとても温かな日差しと、冬の澄んだ空気が見せる遠くの景色。最高の風景が、眩しい陽光に青くそれめられて目の前に広がっていた。

幸せのクマ
幸せのクマ

さて、先ほどの「幸せのクマ」の正解です。左が道の駅のパネルで見たものです。確かに気持ちよさそうに岩の上で寝そべって日光浴しているように見えます。
しかし、私的には、温泉に入っているように見えるクマのほうが気持ちよさそうなんですが・・・(笑)

佐田岬に行くなら絶対泊まりたい魚が美味しすぎる宿

佐田岬

場所:愛媛県西宇和郡伊方町三崎
交通:松山自動車道大洲ICから国道197号を伊方方面へ車で約70km、徒歩20分
駐車場:仮設のみ・有料(2008年2月現在崩落した観光用駐車場の修復作業中)
付帯施設:トイレ・自販機
料金:無料

【投稿時最終訪問 2008年2月】

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