内子座【裏方まで見学できる愛媛県最古の木造芝居小屋】
愛媛県の山間の町「内子」は、江戸時代から大正時代にかけて和紙と木蝋の生産で賑わった町。現在は特産物はなくなってしまったが、当時の華やかな商家がずらりと軒を連ねる町並みが保存されている。
そんな町並みに残る当時の繁栄の象徴ともいえる立派な芝居小屋が「内子座」だ。
内子の町並に似合う立派な造りの芝居小屋
内子座は大正天皇の即位を祝い大正5年に創建された本格的な芝居小屋。木造2階建ての瓦葺き入母屋作りで、当時の建築技術の粋が集められた建造物だ。昭和末期に老朽化のため取り壊されるところ、地元住民の運動により、改修工事が行われて現在も芝居小屋として存続している。
本格的な純和風芝居小屋の内子座は約650人を収容することができる。愛媛県内に現存する最古の木造芝居小屋である。
舞台には回り舞台やすっぽんと呼ばれる競り上がりの床なども用意されており、その設備で手の込んだの演出が可能だ。。黒御簾や義太夫席など音楽や語り手が座る舞台脇の席もあり、本格的な浄瑠璃や歌舞伎も楽しめる。
内子座の中では観客席はもちろん、裏方の世界まで見学できる。
観客席は1階の正面席。2階の正面席、2階の側面席がある。特に2階の正面席は「大向」といわれる。料金が低く、常連がよく入ったところらしい。「大向をうならせる」とは目の肥えた常連を関心させるほど芝居がうまいということらしい。
舞台にもあがることができ、歌舞伎独特の舞台に直接ふれることができる。役者の目線を体験してみるのも楽しい。記念撮影用の法被が用意されているので、利用してみるのもいいかも。
舞台下など隅々まで見学できる貴重な内子座
裏方の世界で興味をひかれるのは「奈落」。ちょうど1階観客席と舞台の下に広がる地下室だ。
急勾配の階段を降り、石積みで築かれた迷路のような地下通路を行くと、突然大掛かりな木造の装置に出会う。ここは人力で舞台を回転させたり、舞台に役者を押し出したりするのに使う。また、舞台脇にも役者をせり出させる仕組みが奈落には備わっている。
裸電球に照らされた、ちょっと神秘的な空間。奈落は夏場、ヒヤリとしていて気持ちがいい。
他にも2階には資料室があり、内子座の歴史を知ることができる。
現在も内子座では芝居が上演されている。ほかにも、寄せやコンサートなどさまざまな催しに利用されている。見学はもちろん催しのないときに限られる。
伝統的な空間で行われる各種イベント。普段とは違った雰囲気になることは間違いないので、見学だけでなく、一度イベントにも参加してみるのも良いかもしれません。
内子の宿泊情報
内子町には大きなホテルや旅館はありませんが、歴史ある町屋に宿泊できる宿など、大人が静かにくつろげる隠れ家的な宿が何軒もあります。夕方の内子の町並散策もとても味わい深いので、ゆっくりと内子の歴史ある町並みで滞在を楽しんでみたいですね。
内子座
場所: 愛媛県 喜多郡内子町内子2102
電話: 0893-44-2840
時間: 9:00~16:30
休日: 12/29~1/2
入場料: 400円 (子供200円)
駐車場: 7台(無料)
アプローチ: 松山自動車道・内子ICより約5分 JR内子駅より徒歩10分
近隣観光地: 内子(護国・八日市の町並み、上芳賀邸)、大洲
【投稿時最終訪問日時 2007年11月】