金刀比羅宮(こんぴらさん)【785段の趣ある参道】

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香川県のこんぴらさんと呼ばれる「金刀比羅宮」は江戸時代から全国から参拝者が訪れる海運の神社。海の神様でありながら785段の階段の上に鎮座して、その参道はとても趣があります。

金刀比羅宮(ことひらぐう)は、香川県仲多度郡琴平町の象頭山中腹に鎮座する歴史ある神社で、「こんぴらさん」と呼ばれて親しまれている。全国の金毘羅神社(金刀比羅神社・琴平神社)の総本社である。
江戸時代中期から、全国的にこんぴら参りの信仰が広がり、多くの人がここを訪れている。当時、こんぴら参りは伊勢参りに次ぐ程の庶民の憧れだったとも言われている。

境内までの参道沿いは雰囲気あるお店めぐりが楽しい

金刀比羅宮参道

参道へと続く道。夜が明けたばかり。静寂が漂う商店街。今の世になっても、脈々と続く歴史を感じさせる。

金刀比羅宮参道

参道を金刀比羅宮へと向かう。本宮までの道のりは785段の階段。遠い道のりである。
階段は連続しておらず、境内までの平坦な部分の参道には、商店がずらっと軒を並べている。おみやげから、なぜこのようなものが売っているのかと思わず思ってしまうお店。飲食店もある。
ただ、平成や令和の世になって、江戸時代から続く「こんぴら参り」の歴史は薄れたのか。シャッターが閉まっている店舗も多い。現在、金刀比羅宮の最寄駅には琴平電鉄とJRが乗り入れる。しかし、以前はほかに2社の私鉄が乗り入れていたそうだ。それを考えると、ここに訪れる人の数は減っているのだと感じる。
しかし、お店のおばちゃんは商魂たくましい。この険しい参道を登る参拝客には、善意で杖を貸してくれる。善意で無料のお茶でおもてなししてくれたり、手荷物を預かってくれたり。
が、この杖、ビニールテープで各商店独特の模様をつけていて、どこの店で借りたか一目瞭然。そしてお茶を出した人の顔は、絶対に忘れない。下りてくる参拝者を捕まえて、結構商売を頑張られる。もちろん、杖やお茶を頂いたので、ここでおみやげを買うのも良い。が、下の商店街で買えば50~100円ほど安い場合もあることを了承したうえで・・・

金刀比羅宮参道

参道で見かけた「フィギュア専門店」
なつかしのキャラクターがずらりと並ぶ。愛好家でなくても、思わずひきつけられてしまうだろう。もしかしたら、お宝が見つかるかも・・・
歴史ある参道の中に佇むレトロは、とても趣のある空間だった。

金刀比羅宮参道

延々と続く階段。どこまで続いているか、知りたいような知りたくないような・・・
天国まで続いていそうな階段は、本宮まで785段。気が遠くなりそうな距離だが、両脇を固める様々なお店を見ていると、そんな事も忘れてしまう。

厳かな雰囲気の境内と歴史ある五人百姓

金刀比羅宮大門

やっとたどりついた大門。ここからは境内になる。今まではお土産屋が並ぶ俗世だとしたら、ここからは神々が居並ぶ神域。振り返ると、足元に今までいた琴平の町が見下ろせる。天上の世界、神々の世界にたどりついた喜びがこみ上げてくる。
が、ここまではまだ半分。もう一度気を締めなおし、神域への巨大な門をくぐる。

誤認百姓

門をくぐると、両脇に今までの商店の代りに灯篭が立ち並ぶ参道が続く。一気に厳かな雰囲気にあふれだす。
門をくぐってすぐの場所には、5つの露店が出ている。これは『五人百姓』という。境内では商売禁止だが、昔からの神事への功労により、5店の商家が特別に境内での営業を許されている。
『加美代飴(かみよあめ)』砂糖と水飴を煮詰めた、柚子の香りがほんのりとする手作りのべっこう飴を販売している。
ここからもつらい道のりが続く。甘い飴を食べて、英気を養うのもよい。

金刀比羅宮旭日社

何度も何度も階段を登り返すと、突然目の前に巨大な社が現れる。とても立派でとても大きい。ここが本殿、やっと到着だ。
・・・と思いきや、ここは『旭社』(重要文化財)
1837年に建立された銅瓦葺の二層入母屋造の建物で、多くの美しい彫刻が施されている。そのあまりの豪華さに江戸時代に参拝した森の石松は本堂と誤り、ここへの参拝のみで帰ってしまったと伝えられている。確かにこの旭社の迫力は、名のある神社の本堂としても、十分通用する。

金刀比羅宮境内

旭社から本殿へ通じる門をくぐるとそこは静寂の世界。深い森を一本の階段が、延々と空を目指して貫いている。木々の隙間から一筋の光が、参道を行く参拝者を見守る灯篭に注がれる。ここはもう、神々の世界。見る世界全てに神々しさが漂う。聞こえないはずの、神々の息遣いさえ、聞こえてきそうだ。

785段を登った先に鎮座する神々しい本殿

金刀比羅宮本殿

785段の階段を登りきり、やっと到着。ここが正真正銘の本殿だ。
山の急な斜面に斜面に櫓を組み、造られている。本殿の周辺にいると気がつかないが、奥社へ続く道へと進むと、まるで京都の清水寺のような光景が見れる。
神社の中には「金」という文字を○で囲んだ印ががあらゆる所に配されている。知らずに見ると、アヤシイ宗教かな思ってしまう。もちろん、金刀比羅の「金」の文字であることは容易に推測できるのだが・・・
江戸時代に「金」という時を○で囲んだマークをあしらったうちわを参拝の土産としてつくり始められた。今でもそのうちわは、参道のお店で売られている。

モルツマーメイド号

金刀比羅宮は山の上にありながら、海の守り神である。船舶の航海の安全祈願が多くなされている。
ここには世界初のアルミ缶リサイクルソーラーボート『モルツマーメイド号』が奉納されている。海洋冒険家として有名な探検家、堀江謙一氏が地球環境問題を訴える為、空缶約22000個をリサイクルした資材で船体を建造し、ソーラーパネルによる自力発電機を搭載した船。平成8年に16000kmの太平洋単独無寄港航海に成功した。
堀江氏はその前にこの金刀比羅宮に参拝しており、そのお礼と参拝者に地峡環境の保全を訴えるためにこのモルツマーメイド号が奉納されたそうだ。また、境内には日本一の造船量を誇る、地元四国の『今治造船』が巨大な金色のスクリューを奉納している。

金刀比羅宮本殿からの展望

境内から見渡す讃岐平野。遠くには、富士山のような形をした、『讃岐富士』も見えている。
ここからさらに583段、森の中の厳かな参道を行くと、『奥社』にたどりつく。参道入口から、1368段、標高421mの金刀比羅宮の最高地点になる。
本宮までの賑わいはなく、とても静かな参道となる。また、そこから見下ろす讃岐の国の眺めも格別。時間と体力に余裕のある方は是非奥社までチャレンジして欲しい。
参拝を終え、参道を下った後は、讃岐うどんで乾杯をあげるのも、また金刀比羅ならではの楽しみ方である。

こんぴらさん参拝の宿泊情報

金刀比羅宮の参道入口には「こんぴら温泉」があり、多くの旅館が軒を連ねています。山の上まで続くこんぴらさんの参拝にはとても便利で、訪れる人の少ない朝一番の参拝はとても神々しいものがあります。

金刀比羅宮(こんぴらさん)

場所:香川県仲多度郡琴平町
交通:(参道入口まで)
   土讃線 琴平より 徒歩約分7分
   高松空港より 車40分 
   高速道路: 高松自動車道・善通寺IC 7km, 徳島自動車道・美馬IC 25km
   琴平電鉄琴平高松線 琴平駅より徒歩5分
参拝料:無料
駐車場:周辺の有料駐車場を利用(何箇所もあり、入口で客引きをしている)
周辺観光地:まんのう公園、ニューレオマワールド、銭型

【投稿時最終訪問:2007年1月】 

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