江ノ電と「鎌倉高校前駅」

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「鎌倉大仏」を参拝したら、もう鎌倉を去る時間だ。しかし、鎌倉から横浜までまたJRで戻るのは芸がない。ここは少し遠回りになるが、有名な「江ノ電」で藤沢を経由して横浜に向かうことにした。
江ノ電は100年以上の歴史を誇る全長10kmほどの短い私鉄電車だ。しかし、湘南の海を背に、民家の軒先をかすめるようにして走る電車は人気が高く、多くの観光客を乗せて走る。乗るだけで楽しい電車だ。

家と家の間をすり抜けて走る江ノ電

江ノ電

10分程で大仏のある高徳院から「長谷駅」に到着。ホームに入ったら藤沢方面へと続く線路を眺める。
駅は至って普通の駅舎だが、少し走ると、民家に囲まれた細い空間を切り裂くように線路が続いている。

江ノ電の線路

電車がホームにやってきた。一番前の席はやはり人気だ。子供連れやカメラを構えた鉄道ファンの方でごった返している。僕も何とかその一角を確保できた。
長谷駅を出発して、民家の軒先をかすめるように電車が走る。窓から人が顔を出したら、大事になりそうなくらい家と電車の距離が近い。
やがて目の前にぽっかりと空いたトンネルに電車は吸い込まれていく。ここは江ノ電唯一のトンネル。トンネルを抜けるとそこは「極楽寺駅」
テレビドラマで使われ、江ノ電ブームの火付け役になった駅だ。

江ノ電

さらに電車は走る。民家が密集する場所を抜けると、今度は道路と一緒に走る。ちょっと間違えれば、車と接触するので、運転手も慎重に電車を操る。まるで路面電車だ。
本当に路面電車のように道路の中央を我が物顔で通過する場所もある。

富士山と江ノ島を一望できる素敵な車窓

江ノ電と江の島

電車は線路に導かれて海に出た。青い海が眩しい。海の上に続く橋は、江の島に続く江ノ島大橋だ。電車用の青信号の右側に、うっすらと富士山が見えている。肉眼ではもっとはっきりと、美しい富士山の姿が眺められた。江の島から、こんなにはっきりと富士山が見えるとは思わなかった。絶景だ。

江ノ電

その富士山を背にした絶景ポイントで電車は止った。この美しい海の風景をサービスしてくれているのかと思ったら、向こうから電車がやってきた。ここで電車の行き違い。

アニメSLAM DUNKの聖地「鎌倉高校前」駅

鎌倉高校前駅

さて、この美しい風景に誘われ、次の駅で途中下車した。この駅は「鎌倉高校前」駅。湘南の海のすぐそば、江の島を望む江ノ電屈指のロケーションの駅。
映画やCMの撮影にもしばしば使われており、アニメ「SLAM DUNK」で一躍有名になった場所だ。

江の島の海

この駅を出て、山の手から踏切越しに海を眺める風景が、写真撮影には絶好のポイントらしい。探しに行きたかったが、駅を出るともう一度切符を買いなおさないといけない。それよりも、この恐ろしいほど気持ちの良いロケーションを楽しもう。
ベンチに腰を下ろし、眺めるのは湘南の海。駅から眺める海のある風景は僕の住む愛媛にもある。JR予讃線の「下灘駅」だ。下灘駅もそのロケーションからドラマやCM撮影のロケにひっぴりだこの場所。
しかし、下灘駅が漁船行き交う旅情的な雰囲気である一方、この駅から眺める海は、洗練された都会的な雰囲気だ。海との間の道にはひっきりなしに車が行き交い、サイクリストやランナーが己を鍛えている。そして、鉄道ファンがこの美しい風景の中を行く電車の姿をとらえようと、カメラを構えている。
その日はまだ2月の中旬だったが、春を感じさせる暖かい日差し。コートが暑いくらいだ。輝く海を駅舎のベンチから眺める。たった15分の電車待ちの時間が、とても贅沢な時間に感じた。

鎌倉高校前駅

贅沢な時間の終焉を告げるように、次の電車がホームに入ってきた。友人との約束がなければ日が沈むまでここに居たいくらいなのだが、残念。電車に乗り込むと、何事もなかったように藤沢に向けて定刻通りに線路を走り始めた。

江ノ電藤沢駅

「江ノ島駅」で大勢の人が降りた。ここで一番前の座席を奪取する。が、このあとの江ノ電の旅は、今までの区間に比べるとどことなくたいくつ。あっという間に「藤沢駅」に到着した。
やはり江ノ島電鉄は江ノ島駅から鎌倉駅までの区間が面白い。まだ長谷駅から鎌倉駅までは乗っていないので、今度もう一度乗ってみたい。そう思った。江ノ電からJRへの乗り換えはすぐ。次は友人の待つ横浜へ行き、今度は春節の中華街へとくりだすのだ。

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