銅親水公園【足尾銅山・渡良瀬川源流部】

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「銅親水公園」は足尾銅山の上部、足尾砂防堰堤の下にある公園。日本初の公害と認定された足尾銅山の荒廃した風景を自然に戻す事業の一環として造られました。公園内には足尾環境学習センターがあり、美しい渡良瀬川源流の流れや自然に戻った広大な銅山跡の風景を眺めることができます。

流れ落ちる深い山々から集めた美しい水

足尾砂防堰堤

足尾銅山の産業遺産群が集まる松木川( 渡良瀬川)を遡ると、一般車が入れる最も上流にあるのが、まるでダムのような足尾砂防堰堤。貯水機能がないためダムではありませんが、その巨大さは堰堤としては群を抜いたもので高さ39m、長さ204mと圧倒的な大きさです。この堰堤の袂に足尾銅山に自然を取り戻す目的で造られた「銅親水公園」( あかがねしんすいこうえん)があります。

銅親水公園銅橋

松木川に架かる全長106mの銅(あかがね)橋。足尾砂防堰堤や、山を下っていく松木川とそれが作り出した渓谷美を望む絶好のビューポイントです。

足尾砂防堰堤

巨大な堰堤から滝のように流れ落ちる松木川。2000m級の山々から集めた流れが一同に流れ落ちる足尾砂防堰堤の水の美しさは感動的です。この下に6段の堰堤が連続しており、足尾砂防堰堤と1段目の小さな堰堤が作り出す滝壺のような場所の澄んだ水を銅橋の上から眺めることができます。

足尾砂防堰堤

奥日光や百名山の皇海山から集まり、滝のように流れ落ちる堰堤。高くそびえる山々から澄んだ水だけでなく自然の薫りがこの堰堤に集められたかのような清々しさです。 かつて足尾銅山の採掘や煤煙で木々が枯れて荒涼していた場所とは思えないほど豊かな自然を今は感じます。

銅親水公園から望む松木川

銅橋から下流を望むと、何段もの堰堤に分かれて山を流れ落ちてゆく松木川。川底がクリアに見える澄んだエメラルドグリーン色の水はとても美しく、かつてはこの川に流れ出した鉱毒が日本初の公害を発生させたとは信じられません。

日本初の公害事件となった足尾銅山の歴史

足尾銅山おばけ煙突

銅橋からさらに下流に目をやると、松木川が流れる谷間に巨大な煙突が1本立っています。これは足尾銅山最大の精錬施設だった本山精錬所の大煙突。お化け煙突の異名をもち、高さ約50mの巨大な産業遺産が閉山後半世紀経つ今も残っています。本山精錬所は今も多くの建物が残り、一部稼働している施設も見られます。大煙突は足尾銅山の貴重な遺構として保存されているそうです。山の中に突き立つ巨大な煙突からは稼働当時は大量の排煙があり、付近の森を枯らしていました。今は当時のままの姿を残しながら、生き返った緑に飲み込まれつつあります。

足尾環境学習センター

公園内には「足尾環境学習センター」があります。足尾銅山の歴史や銅山にまつわる環境問題を学ぶことができます。

自然に戻った鉱山が見せる渡良瀬川源流域

渡良瀬川源流

銅親水公園の入口には渡良瀬川源流の碑があります。実際には渡良瀬川に名前が変わるのはもう少し下流ですが、ここが源流と思う方が感動的な風景です。この場所の標高は約800m。堰堤の上では松木川に仁田元川、そひて久蔵沢川が合流してつくり出す広大な風景が広がっています。少し北アルプスの上高地を思わせる風景です。あちらこちらに工場用の砂利道や簡易な橋がかかっていて人の手が入りながらも原始の風景に見える不思議な場所です。

渡良瀬川源流

高い山々を深く抉る松木渓谷。その上部には標高1960mの大平山。山の向こうは奥日光・中禅寺湖があります。渡良瀬川(松木川)の源流となるのがこの渓谷の最奥に鎮座する日本百名山のひとつ、標高2144mの皇海山(すかいさん)です。

渡良瀬川源流

「日本のグランドキャニオン」と称されるほど荒涼とした様相を見せる松木渓谷。明治時代、松木渓谷には鉱山町や工場があり、煤煙が立ち込めて木々の生えない禿山になっていました。この広大な河原は自然が作り出した風景ではなく、草木が枯れたことにより大量の土砂が山から流れ出し、巨大な足尾砂防堰堤がその土砂を食い止めてできた自然破壊の跡なのです。大規模に破壊された自然が再び自然に戻り、見たことがない壮大な風景となったこの場所には自然の底力を感じます。

銅親水公園

住所: 栃木県日光市足尾町885
電話: 0288-93-2525
営業時間: 24時間(足尾環境学習センターは9:30~16:30)
休業日: 無休
料金: 無料(足尾環境学習センターは大人200円、高校生以下100円)
交通: 日光宇都宮道路・清滝ICより約25分
   北関東自動車道・太田桐生ICより約1時間30分
駐車場: 約30台

【投稿時最終訪問 2018年9月】

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