新明館【黒川温泉・秘湯の宿】

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黒川温泉は山奥の川沿いに寄り添うように小さな旅館が立ち並ぶ温泉。豊富な湯量を誇り、全ての旅館が源泉掛け流し。「入湯手形」を購入して、旅館自慢の温泉を外湯でハシゴできるシステムをいち早く取り入れ、人気を得た温泉地だ。
黒川温泉のほとんどが10室ほどの客室しか持たない小規模な旅館なので団体客の受入れはできない。そのため、人気がある割にはとても静かな温泉街で、ゆっくりとした滞在を楽しめるのが黒川温泉の魅力。そんな秘湯情緒あふれる黒川温泉でも秘湯の宿と人気を博している「新明館」に宿泊した。

黒川温泉を代表する秘湯の宿「新明館」

新明館

「日本秘湯の会」の会員でもある「新明館は、宿の主人がノミ1本でくり抜いた洞窟風呂が名物。その他いろいろな種類の野趣あふれる湯船があり、宿泊者だけしか入れない湯船もある。部屋数は13室。ゆっくりと滞在しながら静かに温泉を楽しめる、まさに秘湯の宿。

新明館

新明館の全景。川沿いの急斜面にすがりつくように立つ。緑と川の気持ち良いせせらぎに囲まれた自然あふれるロケーション。山の清々しい風が運ぶ緑の香には湯の香が気持ちよく混じりあい、下界に比べてとても涼しい。
宿の橋の前が、宿泊者専用の駐車場。車を停めると、スタッフがすぐに出てきてくれて、誘導と荷物持ちをしてくれる。

新明館玄関

新明館入口。古民家風でどこか懐かい、田舎に帰ってきたような雰囲気が楽しめる。ロビーの奥には囲炉裏端があり、無料のコーヒーをセルフで楽しめるのも嬉しい。客室は基本全て2階にあり、エレベーターはない。残念ながらバリアフリーではない。

新明館客室

新明館の客室。ふんだんに木が使われた、古民家風のとても落ち着くつくり。それでいて清潔感満点で、設備も新しい。部屋も十分に広く、とても快適な空間。

新明館内湯

少し休憩したら、まず旅の疲れと汗を流しに内風呂に。内風呂は宿の建物の中にあり、宿泊者専用となっている。広くは無いが、宿泊者の数は少なく、多くの湯船に分散するので、貸切状態。
絶え間なく湯船に贅沢に注がれる源泉掛け流しの湯はとても気持ちが良い。ほのかに硫黄臭を放つやや濁った湯には、強烈な温泉パワーを感じざるを得ない、最高のお湯だ。閉そく感ある浴室だが、それがまた秘湯の雰囲気をいっぱいに感じさせてくれて良い。内湯には洗い場があるので、洗い場の無い「秘湯」をめぐる前に是非入っておきたい。

到着したら早速楽しみたい内湯と貸切露天風呂

新明館風の湯

内湯を楽しんだら向かうのは、宿泊者専用の貸切風呂である「風の湯」。新明館裏山の中腹の森の中にある温泉だ。時間予約制で、チェックインした時に希望の時間を告げておくと、その間に入る事ができる。
希望時間にフロントで鍵を受け取る。宿の専用の出口をこの鍵を使って開けると、裏山を登る階段に出る。そんなに距離は無いが、荒天時や体の不自由な人はきつい。

新明館風の湯

「風の湯」。森の緑が湯船まで飛び込んできて気持ち良い。名前の通り、谷の上空を走る風が気持ちよく流れ込んで来て、火照った体を冷やしてくれる。ここにも洗い場が1か所あるので、チェックインしてから体を洗うのも可能だ。

新明館風の湯

風の湯に浸かる。緑の木漏れ日が湯に射し込み、ゆらゆらと立ち上る湯けむりがとても幻想的に見える。湯船の横には小さな建物があり、ここが脱衣所になっている。ちなみに朝は男女時間別で入浴が可能になっている。

新明館夕食

夕食は部屋食。馬刺しや川魚など、山の幸がふんだんに使われていて、とても美味しい。川のせせらぎを聞きながら、温泉でポカポカに温まった後にビールを片手の夕食は、もはや天国。

新明館家族風呂

あまりもの夕食の気持ちよさに、気絶。気づくと夜中の2時。残念ながら洞窟風呂はもう終わっていた。夜中にきちんと湯を抜いて清掃をしているそうだ。そこで、家族風呂に入る事にした。
家族風呂は宿泊者専用だが、夕食後は予約不要。チェックアウトまで空いていれば自由に使える。古民家風の小屋の中、川のせせらぎと虫の音を聞きながら入る岩風呂の温泉。日本人に生まれてよかったなぁと思える、懐かしい日本の風景を体の中まで沁み渡らせてくれる、情緒あふれる湯だった。

黒川温泉新明館

朝一で、新明館がほこる「秘湯」に入る事にした。新明館の奥に秘湯が軒を連ねている。写真中央に洞窟風呂の入口がある。

秘湯新明館

一番奥が「岩戸風呂」。緑と岩に囲まれた、野趣あふれる露天風呂だ。

新明館の外湯めぐり

秘湯への入口。とても趣きがある回廊だ。朝になると、宿のスタッフが水をまいて、情緒あふれる世界を演出してくれている。
ここからの秘湯は外湯として開放されている。宿泊客は専用の扉を出ると、外湯客は専用の通路を通るとこの入口に出る。ここには外湯客用のコインロッカーと待合用の囲炉裏端が置かれている。

新明館の囲炉裏

囲炉裏端では常に火がかられている。薪が醸し出す煙の香が、どこか懐かしい雰囲気を常に嗅覚でも感じさせてくれる。

新明館最大の秘湯、神秘の洞窟風呂

新明館洞窟風呂入口

洞窟風呂は「女湯」と「混浴」の2つ。囲炉裏端の前が女湯の入口で西と東、2つの入口が並んでいる。どちらも入口には目隠しを兼ねた脱衣スペースがあるが、扉や鍵はない。目立たない標識で女性専用と書いてあるので、間違って入ってしまいそうだ。

新明館洞窟風呂入口

洞窟風呂・混浴の入口。ここには目隠しはなく、丸見え。中から蒸気が噴き出している。

新明館洞窟風呂

洞窟風呂内部。まるで迷路のように、ぐるりと洞窟が入口から1周し、所々1人が入れる部屋のようなスペースもある。岩壁から温泉が流れ出し、ゆらゆらと光を反射する湯に包まれ暗い空間で浸かる湯。これはとても幻想的。この洞窟は、この宿の主人が長い年月をかけてノミで掘ったものだという。

新明館洞窟風呂

湯の流れが洞窟内にこだまする。目を閉じて、湯の中に体を横たえると、とても不思議な感覚に陥る。洞窟の中に閉じ込められた湯の放つ蒸気がまるでスチームサウナのようで、本当によく温まる。肉体的にも精神的にも癒される空間だ。さすがにこの湯は気持ちよくて、何度も入りなおしてしまった。

新明館洞窟風呂脱衣場

混浴洞窟風呂の脱衣場。ちょっとのぞけば丸見え。混浴となっているが、女性専用の洞窟風呂があるので、わざわざここに入る女性はいないだろう。

黒川温泉の秘湯情緒が詰まった混浴・岩戸風呂

新明館岩戸風呂入口

洞窟風呂を楽しんだら、今度は岩戸風呂に。源泉があふれる場所を通り抜け、味のある茅葺の門をくぐってさらに奥に進む。

新明館岩戸風呂通路

川の音を聞きながら、素掘りのトンネルを通り抜けていく。もうこの時点で秘湯雰囲気満点。

新明館岩戸風呂

「岩戸風呂」。大きくせり出した岩を削りとったような空間に広々と湯船が広がる。コンクリートの柱や天井で一部補強さてれいるが、それでも野趣満点。味のある東屋の下で、川のせせらぎを聞きながら入る湯は最高に気持ちがいい。岩戸風呂の一番奥では、湯が岩壁が滝のように流れ出している。そして、さらにその奥には、主人が何かを造ろうとしたのか、どこかに続く謎の抜け穴が1つ掘られていた。

新明館岩戸風呂

岩戸風呂の手前には浅くなっていて寝湯のように楽しめるスペースがある。奥から湯が湧くので、手前に来れば湯が少しぬるくなっている。

新明館岩戸風呂

岩戸風呂の奥から手前を望む。障子がある古民家風の小屋が脱衣所。といっても簡単な造りでカギなどなく、脱衣所はここ1か所だ。
ちなみに、この「岩戸風呂」は混浴。この脱衣所以外に着替えが出来るようなスペースは無いので、この岩戸風呂は女性には厳しい。

美味しい湯上がり朝食と外湯めぐり

新明館朝食

湯を楽しんだら朝食。純和風。それでいて、朴葉味噌焼きなど、食欲をそそるメニューがずらりとならぶ。とにかく白米がすすむ、すすむ。朝からしっかりと食べ、そしてまた温泉に向かう
今回は1歳の子供と一緒に泊まったが、子供用に食器、ごはん、ふりかけもサービスしてもらったり、いろいろと気を使ってもらい、宿の方にはとても親切にしてもらえた。部屋数の少ない宿だからこそ、アットホームで隅々まで気のきいた接客をしてもらえた。温泉だけではなく、スタッフの心遣いもとてもあたたく感じられるいい宿だった。
チェックアウトと同時に、入湯手形を持った多くの人が、「秘湯」を求めて訪れ始めた。神秘的な新明館の秘湯にはやはり宿泊してゆっくりと楽しみたい。

新明館の外湯めぐりの注意点

1.洗い場がない

2.貴重品はコインロッカーを利用

3.脱衣所はまるみえ (女性専用のものも、とても簡易)

4.女性専用湯船は洞窟風呂のみ

5.外湯客の駐車場なし(共同駐車場を利用)

新明館

住所: 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6608

電話: 0967-44-0916

交通: 湯布院インターより車で約1時間 熊本インターより約1時間

【投稿時最終訪問 2010年8月】

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