坂本ダム【碓氷湖】
群馬県から長野県軽井沢に向かう旧中山道。今は碓氷バイパスや上信越自動車道などの新しい道がありますが、旧中山道(国道18号線)には旧国鉄信越線跡や碓氷第三橋梁(めがね橋)が残っており、廃線跡をハイキングできる産業遺産がみどころ。そんな歴史ある街道の途中にあるダムが「坂本ダム」で、その湖畔では美しい湖を眺めながら休憩したり、ハイキングをしたりすることが出来ます。また、かつて軽井沢に向かった廃線跡である「アプトの道」のウォーキングの基地のひとつとなっています。
まるで鉄橋が走るようなデザインの坂本ダム
坂本ダムは国道18号を碓氷峠を経て軽井沢へと登る途中にあります。国道はダム湖の側を通らないので、運転しているだけでは知らないと、その存在に気づきにくい場所です。
坂本ダムがせき止められるダム湖は「碓氷湖」と名付けられています。坂本ダムは昭和33年に防砂堰堤として建設され、平成6年に現在のダムに改築されました。堤高36.3m、堤頂長85mの比較的小さなダムです。
坂本ダムは、碓井湖の近くに残るアプト式鉄道の遺構や、その一部であり、重要文化財にも指定されている観光スポットの碓井第三橋梁の意匠に似せられています。明治時代に造られたレンガ造りの鉄橋やトンネルと同じレトロな鉄道を思わせるデザインがダム上部や付近の施設に取り入れられています。
坂本ダム堰堤上部は歩いて渡ることができます。特に無くても問題はないのですが、鉄道の鉄橋を模した鉄骨が頭上に組まれており、よくあるダムとはまた違った趣を感じられます。少し離れて坂本ダムを眺めると、まるでダムの上に鉄道が走っているような風景にも見えます。
坂本ダムが造り出す碓氷湖と碓氷川の景色
坂本ダムがせき止めるダム湖は「碓氷湖」という名で、深い森に美しい池を広げています。奥にある赤い橋は「夢のせ橋」という碓井第三橋梁を模したデザインの五連アーチ橋で、遠くから見ると歴史ある産業遺産の一部かと思えるほど、付近の雰囲気に溶け込んでいます。夢のせ橋は碓井湖を一週する遊歩道の一部となっています。また夢のせ橋をくぐって碓井湖に流れ込む碓井川の少し上流には、本物の産業遺産の碓井第三橋梁があります。
ダムの上から見下ろす碓氷川。ダム付近の川はコンクリートでがっちり護岸されていますがその付近は深い緑の渓谷に包まれていて、豊かな自然の中を流れて行きます。
坂本ダムは元々砂防堰堤として造られており、発電施設はありません。ダムにせき止められた水が川の右岸から放流されています。魚のうろこのような模様の護岸が美しいデザインを織りなしています。
廃線歩きを彷彿とさせる碓氷湖散策
ダム湖の周囲には一周約1.2kmの遊歩道が続いています。碓井湖の湖畔は碓氷湖親水公園としてに整備されていて、釣りや散策を楽しめるスポットとして人気があります。途中、吊り橋やトンネルもあるので、時間があれば湖を散策してみましょう。
ダムの駐車場となっている碓氷湖パーキングには公衆トイレと自販機があります
ロッジ風の外見をした管理事務所など、環境に配慮されています。なお、国道から駐車場に下る道の脇に、かつて軽井沢へと続いていた廃線跡のトンネルがあります。現在は「アプトの道」としてトンネルの中も散策することが出来ます。ここの駐車場を利用して、碓氷第三橋梁、そしてその先終点の熊ノ平駅跡まで歩いてみるのも楽しいですよ。
坂本ダム
場所:群馬県安中市松井田町坂本
電話:027-382-1350
交通:上信越自動車道・松井田妙義ICより約15分
入場料:無料
駐車場:40台(無料)
見学時間:24時間
【投稿時最終訪問 2019年9月】