坂の上の雲ミュージアム 【愛媛県 松山市】

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10年以上前になるが、四国が幕末や明治のドラマでとても熱くなった時があった。
3年にわたり放送された司馬遼太郎氏原作のNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」
日露戦争で活躍した軍人の秋山兄弟(阿部寛・本木雅弘)と正岡子規(香川照之)主演の松山出身の3人の物語。
そしてそれと並行して放送された大河ドラマ「龍馬伝」
ご存知、坂本龍馬(福山雅治)と三菱財閥の開祖・岩崎弥太郎(香川照之)が主人公のドラマ。
半沢直樹以前に香川照之さんの熱い演技が楽しめる作品に四国は熱く沸き返っていた。
そんなブームの最中、松山にオープンしたのが「坂の上の雲ミュージアム」だ。

今までは夏目漱石の小説「坊ちゃん」で町おこしをしていた松山だが、ドラマの放送が決まってからはこの「坂の上の雲」を町おこしの中心にしている。確かに、松山を「不浄な地」と言い放ち、地元の上司を闇討ちして松山から逃げるように東京に帰った坊ちゃんよりも、松山出身の偉人3人の活躍を描いた小説の方が町おこしにはぴったりかもしれない。
そんな町おこしのひとつとして、今目玉になっているのが「坂の上の雲」ミュージアム。松山の中心地「大街道」からすぐの所にあり、アクセスもとても便利だ。

松山の中心にあるスタイリッシュな外観のミュージアム

大街道のアーケード入口から路面電車の通る道を少し西へ進むと「坂の上の雲ミュージアム」がある。大通り沿いには面しておらず、少しだけ松山城側に入った所に位置している。案内板が出ているので見落とさないように。駐車場はないので、車で来るなら近くの有料駐車場を利用したい。
コンクリート打ちっぱなしとガラスをふんだんに使ったモダンな建物である坂の上の雲ミュージアム」。晴れていれば青空と城山の緑に映えて美しい。坂の上の雲ミュージアムは2007年4月28日に開館した、比較的新しい施設。設計は有名な建築家である安藤忠雄氏で、いかにも氏の設計らしい自然と調和するスタイリッシュな建物だ。

館内への入口。ガラスとコンクリートが作り出す美しい空間。安藤建築が好きな方なら思わずニヤリとしてしまう場所だろう。館内はスロープが完備されていて、バリアフリーの対応としてはとても充実している。ただ、券売機は館内ではなく、スロープ入口にあり、雨が降っていると傘をさしながら買わないといけないのが残念(券売機に屋根はあるが小さい)

雰囲気ある展示で魅せる物語と歴史の世界

館内の様子。館内もコンクリート打ちっぱなしで吹き抜けた広い空間が多い。ガラスから見事に採光され、幻想的に空間を光が遊ぶ。
「坂の上の雲」の展示ももちろんだが、安藤建築のも存分に楽しめるミュージアムだ。

思わず建築美に見とれてしまいそうになるが、ずらりと展示されている「坂の上の雲」の資料に再び目が向く。当然ながら展示の撮影はできないので、ここからは小説やテレビドラマの世界に没頭していく。

訪れたのは3連休の中日で、坂の上の雲のスペシャルドラマが始まる前週。そのため館内はびっくりするくらいの大にぎわい。とにかく多くの人が訪れ、じっくりと展示を楽しんでいる。どの展示の前にも人だかり。ひっきりなしに人が館内に入ってくる。
今は相当人出は落ちついているだろうが、坂本龍馬や四国の偉人の小説を多く遺している司馬遼太郎氏のファンが多く訪れているだろう。

物語に吸い込まれる展示と当時の風景

ふと、窓の外に目をやると、緑に囲まれた森の中にとてもレトロな建物が見える。「萬翠荘」という、大正11年に建築された建物で、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造りのフランス風の洋館だ。
萬翠荘は、旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨氏が別邸として建設したもの。当時は最高の社交場として賑わっていたそうだ。また、久松定謨がフランス陸軍に留学する際、補導役として坂の上の雲の主人公のひとり、秋山好古が同行している。この時に好古もフランスで騎兵戦術を学んでおり、「日本騎兵の父」と称される活躍の基になったとされている。この萬翠荘も坂の上の雲に繋がっている。
雨の中に霞む萬翠荘はとても幻想的。ここが松山の繁華街の中心のすぐ近くとはにわかに信じられない。松山の中心には松山城が鎮座し、その城がある山には緑が豊かに残っている。市街地のすぐ近くまで裾野を広げる城山の一角に萬翠荘はある。
雨に薫る森に包まれるレトロな建物は、どこかの避暑地の別荘を思わせ、ここが松山であることを忘れさせる。このミュージアムの見学が終わったら、あの萬翠荘にも足を伸ばしてみよう。

ミュージアムは4階建てになっていて、スロープで上の階に登って行けるようになっている。その一角、壁一面にずらりと並ぶ展示物が。
実は「坂の上の雲」は昭和43年から昭和47年にかけて、産経新聞夕刊に連載された小説。その新聞の連載をすべてここに展示している。
ひとつひとつ挿絵がされた連載記事が並んでいるのは、圧巻。ついつい坂の上の雲の原案ともいえる新聞小説を読み綴ってしまう。

ずらりと並んだ「坂の上の雲」とそれを見事に取り囲む安藤建築。文学と建築。ジャンルは違えど2人の巨匠、天才が織りなす独創と創造、表現の世界がここにある。
「坂の上の雲」のドラマを見か小説を読んでいれば、ここに来れば深い感動をもたらしてくれるに違いない。ベビーカーに子供を乗せて来れる場所なので、子連れで家族で訪れるにも良い場所です。

坂の上の雲ミュージアム目の前のホテル

坂の上の雲ミュージアム

住所: 愛媛県松山市一番町3-20
電話: 089-915-2600
期間: 通年
休み: 月曜(祝日の場合は翌日休)
時間: 9:00~18:00
交通: JR松山駅から伊予鉄道道後温泉行きで9分、大街道電停下車すぐ
駐車場: なし (身障者用のみ5台あり)
料金: 大人400円、高校生200円、中学生以下無料

【投稿時最終訪問 2009年11月】

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