富郷ダム【内部見学ができるダム】

新居浜から四国中央市へと、山を越えて進む「別子・翠波はな街道」。新居浜市から出発し、山を越えると、銅山川沿いを走るようになる。
かつて、「別子銅山」で栄えた地域に流れる川なので、このような名前になったのだろうか。「銅山川」という名前からは想像できないくらい、この川は透き通っていてとても美しい。車窓から見える、川の底まで見える透明な水には、ついついハンドルを握りながらも目を奪われそうになる。実際、銅山開発で鉱毒事件が起きた川なので、当時はこんなきれいではなかっただろう。閉山から40年で、これだけ美しい自然が回復しているのも、別子銅山の素晴らしい所だ。
さて、この銅山川は日本三大暴れ川のひとつ、四国三郎の異名を持つ「吉野川」の最大の支流のひとつ。吉野川の源流とは1本山脈を隔て、1500m以上の山々から流れ出す水を川の両側から集め、四国を横に流れている。銅山川流れる新居浜市と四国中央市は重工業や製糸工業の集積地で四国有数の工業都市だ。瀬戸内海に面した市街地には、1500m~1700m級の山からの水は一気に海に流れ落ちてしまうので、これだけの工業地帯をまかなえる工業用水はない。この両市に水を供給するのは、この銅山川に作られた4つものダム。新居浜市も四国中央市も四国を代表する産業の集積地として発展できたのも、このダムからの分水による所が大きい。

内部まで見学自由の開かれた富郷ダム

富郷ダム

そんなダムのうちのひとつ、2000年に完成した比較的新しいダムが「富郷ダム」だ。富郷ダムは地域に開かれたダムとして開発され、付近には湖畔公園や展望広場が整備されている。また、ダム本体も解放されていて、事前許可なく無料で見学することができる。
道路から入口を入ると、すぐにダムの管理棟がある。この建物は解放されていないが、とてもきれい。奥まった場所になく、普通の観光客も入りやすいつくりになっている。管理棟を過ぎると、観光用の駐車場がある。駐車場の奥にはトイレも完備されている。駐車場からダム湖である「法皇湖」を堰止める「富郷ダム」の姿を見る事ができる。

富郷ダム

駐車場から少し戻るとダムの入口。ダムの上部は道になっていて、渡ることができる。
以前はダムの入口の前に「とみさとダムワールド」という建設工事に使われたトンネル跡を利用した資料館があった。今回訪問すると、その資料館は閉館していたので、少し残念だ。

富郷ダム堰堤

ダムの上を歩いていく。堤頂長250mのダムの左は断崖絶壁、右は美しいダム湖の風景が広がる。右に左に、少しずつ変わっていく風景を楽しみながら、ダムの中心部へと進んでいく。ダムの中央部には建屋が並んでいる。

堰堤上からは美しいダム湖や足がすくむダム下を一望

法皇湖

建屋の間から眺める法皇湖。高く深い山々の懐に抱かれるように広がる湖はとても美しい。山々を渡り、水面を走る風はすでに冷たく、秋の気配をさらに深めていく。

富郷ダム操作室

いくつも並ぶダムの上の建屋には窓がついている。中をのぞくと、そこはダムのゲートを操作する機械室。富郷ダムには3つの放流ゲートがある。ダムの頂上にある非常用洪水吐である「クレストゲート」4門。中段にある「オリフィスゲート」1門。底部にあり、常用洪水吐用の「コンジットゲート」2門。それらのゲートの開放をこの機械室でするのだろう。

富郷ダム

ダムの下をのぞき込む。すごい高度感。思わず足がすくむ。今は静かだが、放水されている時にはものすごい迫力なのだろう。

ダムの内部を見学できる貴重な施設

富郷ダム入口

さて、建屋のひとつの扉から内部を見学することができる。ダムの廊下とエレベーターを使って、ダムの下まで降りられる。。
以前はこの扉は、「とみさと探検ギャラリー」と看板がかけられ、開放されていたが、現在は事前予約が必要となっている。

富郷ダム内部

エレベーターに乗って、高さ106mの堤頂から底部に一気に下る。エレベーターが到着したのはダムの底部にある監査廊。ダムの水に冷やされたそこは、まるで冷蔵庫の中にいるように冷たく、そして湿気がある。
無機質なコンクリートに囲まれ、さらにその冷やかさを感じる。夏に訪れると、冷たくてとても気持ちがいいが、秋などにはやや寒さを感じる場所だ。長い通路の先には、外への出口が待っている。

真下から見上げるダムは大迫力!

富郷ダム

出口から外に出ると、ダムの真下に出てきた。今まであのダムの頂上にいて、一番左にある建屋の中からエレベーターで下ってきたのだ。巨大なコンクリートのダムを真下から見ると、その大きさや威圧感に圧倒される。また、この巨大なダムが、あれだけ広いダム湖の水を堰き止めている事に驚かされる。よくこんなものを作ったなぁと、その技術に感嘆もする。

富郷ダム

ダムの下には遊歩道と広場、そして東屋とベンチがある。ダムの下には橋も架かっていて、富郷ダムの雄姿を真正面から眺められる。

富郷ダム放水

一度、ダム中段、中央にある「オリフィスゲート」からの放水をしている時の富郷ダムに訪れたことがある。とてつもない轟音を立て、付近には一面の水しぶき。この橋も虹に包まれていた。無謀にも橋の上から放流の様子を見ようと思ったが、爆風と水しぶきに近寄る事すらできなかった。

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富郷ダム

場所:愛媛県四国中央市富郷町津根山353-6
電話:0896-22-0302 (見学予約受付)
交通:松山自動車道・三島川之江ICより駅から車で約50分
入場料:無料
駐車場:20台(無料)
見学時間:9:30~16:30(平日)
     
【投稿時最終訪問 2012年8月】

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