塩釜の冷泉 【蒜山高原・日本名水百選】
日本二百名山である蒜山の麓に広がる蒜山高原。岡山県と鳥取県の県境に位置し、中国山地の奥深くにある。蒜山の裾野には広大な牧場や畑が広がり、スキー場やキャンプ場などのレジャー施設が多く存在する関西・中国地方の避暑地でもある。
そんな高原でも近年では夏には信じられない暑さになる。あまりもの暑さに思わず自動販売機を探してしまうが、その欲求を違う方法で満たすため、我慢して車を向かわせた場所がある。それが「塩釜の冷泉」だ。日本名水百選にも選ばれており、贅沢にその清水でのどを潤そうと思ったのだ。
塩釜の冷泉は、県道422号線から塩釜キャンプ場へ向かうと、その奥にある。駐車場は売店や農産品直売所の奥にある。水車の向かい、少し離れた所に塩釜の名水を使った茶屋があり、そこが冷泉への入口になっている。ほんの数分歩くと、木製の柵に囲まれた泉が森の中から現れる。ここが塩釜の冷泉だ。
湧水が湧き出し続ける透明な塩釜の冷泉
うっそうとした木々の中にある泉には美しい水が湛えられていて、そのそこからは絶え間なく砂を巻き上げながら水が湧き出している。泉には柵がしているので直接湧水に近づくことはできない。
初めて水と人が接することができるのが、泉から水が流れ出した場所だ。
冷たくて美味しい湧水にいやされる
一点の曇無く透き通った水が大量に川となって泉から流れ出している。その清流に触れようと、かがみこんだ瞬間、とても涼しい空気に体が触れた。流れる自ら放たれる冷気が、残暑厳しい川辺に清々しい清涼感をもたらしてくれている。
ゆっくり流れに手をつけると、冷たい。まるで冷蔵庫の中でキンキンに冷やされた水のようだ。さっそく火照った腕をその冷たさの中で冷却した。
水源から少し離れているので、飲めるかどうか少し考えた。しかし、地下から湧き出した大量の伏流水で、こんなに勢いよく流れだしているのだから大丈夫だろう。冷たい水を手に掬い、一気に口から喉の奥に流し込む。
うまい!
冷たくて何の味もしない。これこそ名水だ。思わずゴクゴク飲んでしまう。おかげですっかりのどの渇きはうるおされた。
塩釜の冷泉には毎秒300ℓという大量の中蒜山の伏流水が湧き出している。水温は1年を通じて約11℃。ということは、夏は冷たいが、冬は凍らず、周辺の水に比べて温度が高いということだ。
ここは中蒜山への登山道の入り口にもなっている。登山をした人は下山後にここで火照った体を潤すのも良いかもしれない。
蒜山高原の宿泊情報
蒜山には高原リゾートのプチホテルや公共の宿、ペンションが多くあります。
また、高速道路で少し走ると、ダムの下の露天風呂「砂湯」で有名な湯原温泉もあります。涼しい高原や趣ある温泉など、ゆっくりと滞在するにはもってこいのエリアです。
塩釜の冷泉
場所 岡山県真庭市蒜山下福田
交通 米子自動車道蒜山ICから国道482号、県道422号を車で約11km
駐車場 約30台・無料
近隣観光 湯原温泉、ヒルゼン高原センターJOYFULPARK、蒜山高原ライディングパーク
【投稿時最終訪問 2007年9月】