浄瑠璃寺 【四国霊場46番札所】

四国に点在する88箇所にも及ぶ寺を巡礼するお遍路。順番に霊場を巡り、お参りをしてご朱印を頂いていく巡礼はご利益があるが、霊場になっているお寺を参拝するだけでもとても心が洗われる。松山市内にあり、古い歴史がある四国霊46番札所の「浄瑠璃寺」に2歳の娘と参拝した。

浄瑠璃寺

松山・久谷地区の奥まで車を進めると、遍路道と合流する。45番札所の岩屋寺から歩き遍路は、瀬戸内海と太平洋の分水嶺である三坂峠を越えて山道を降りてくる。細い道路を車で走ると、山を下りてきたばかりの歩き遍路に何人か出くわす。車で走るのも嫌になるような険しい峠越えを乗り越えたお遍路さんには、お疲れ様と声をかけたくなる。

そんなお遍路さんを迎えるのが、山村の中にあり、ひときわ威厳を感じる浄瑠璃寺の門構え。この門にたどり着いた苦行を越えたお遍路さんは、言いようのない安堵感に包まれるはずだ。

浄瑠璃寺

少しだけ石段を登るとそこはもう境内。ひときわ深い森に包まれた境内は荘厳で、神々しさも感じる。古より寺を護り続ける巨木がもたらす幻想的な光と影。心地よい森の香りに、線香の香りが入りまじる。ツクツクボウシの蝉しぐれに合わせるように、お遍路さんが唱える般若心境が心地よくシンクロしながら響き渡る。自然と人が作り出す不思議な空間は、日本の宗教文化の美しさを感じずにはいられない。

浄瑠璃寺

寺には途切れることなく、お遍路さんが訪れる。中にはラフな服装でリュックを背負った若者のカップル。ちょっとした観光かと思いきや、2人ともきちんとお遍路の巡礼方法を守り、読経までこなしている。
菅傘の代わりに麦わら帽子。白装束の代わりに白Tシャツ。お気に入りのリュックを背負って、娘はプチお遍路デビュー。般若心経はさすがに読めないが、おおよそのお遍路の参拝方法で、一緒に娘とお参りした。
白装束の巡礼着をまとっているか。歩いて巡っているか。何か所目の巡礼か。お遍路の寺に訪れる人は様々。それでもきちんとお参りをすれば、やはりどこか心が洗われる。

浄瑠璃寺仏手石

境内には仏の手と足をかたどった「仏手石」、「仏手足」が安置されている。仏の手や足跡に触れる事で健康などにご利益があるとか。境内のあちこちに、その他こういったありがたいものが普通に安置されいてる。ゆっくりと見て回りたい。

浄瑠璃寺本堂

浄瑠璃寺本堂。お遍路さんが途切れることなく訪れ、熱心に読経している。
浄瑠璃寺は奈良の大仏開眼に先立ち、布教のために訪れていた行基が建立したといわれる。弘法大師が改修に携わったこともある、由緒あるお寺だ。

浄瑠璃寺説法石

本堂のわきには「説法石」というものがあった。釈迦が説法をした、インドの霊鷲山の石が埋め込んであるという。確かに、大きな石の上に、別の石が埋め込まれている。
腰掛けてくださいと案内板にあったので、休憩がてら娘と腰掛けさせていただく。

夏の陽射しが残る残暑の厳しい日だった。しかし境内は、大きな木々が作る日陰が涼しい。ここだけ時間が遅れているのかと思わせる蝉時雨だけが、夏の名残を感じさせた。

浄瑠璃寺蓮池

本堂の左側に一願弁天堂がある。その奥、木々に囲まれて薄暗い境内の向こうに、とても明るい場所が見えた。暗と明。まるで極楽浄土を思わせるようなまぶしい光に導かれて、その場所に向かう。

浄瑠璃寺蓮池

たどり着いたのは広い蓮の池だった。浄瑠璃寺は写真を撮る人の間では、美しい蓮が撮れる場所としても人気がある。残念ながら9月のこの時期には、蓮の花は完全に終わっていた。
それでもまだ夏の名残を感じさせる場所。周りの風景も手伝って、まるで夏休みの田舎に来たような気になる。もしここに多くの蓮の花が咲いていれば、それば極楽浄土と呼ぶにふさわしい風景なのかもしれない。
娘とのプチ遍路。それは夏の名残と美しい日本の文化を楽しめた、ちょっとした心の旅になった。
さて、最後に駐車場の案内。駐車場は境内入口にある細い道に入る。案内看板が出ている。浄瑠璃寺の敷地、北西の一角駐車場になっていて10台ほど駐車が可能だ。
ただしこの道は細くて離合できないうえ、北側から侵入できない。すなわち、松山市内から向かってくると、切り替えしを何度もするか、Uターンして戻ってこないといけない。ちょっと駐車場の利用は不便。当然帰路の際、松山方面に出ることはできなかったので、門前にある旅館の近くでUターンした。
山門の横の路肩が広くなっていて、ここに車を停める人も多い。中型観光バスもここに停車して、巡礼のお遍路さんを境内に吐き出していた。時間のかからない巡拝なら、山門横の路肩に車を停めるのもいいのかもしれない。

松山の観光と宿泊情報

松山の宿泊といえばやはり道後温泉ですね。四国を代表する温泉街で、老舗からモダンな旅館まで多くの宿があり、歴史ある温泉風情を楽しめます。また、松山にはシティホテルが多くあります。中には温泉を引いている場所もいくつかあります。予算や目的によって豊富な宿が選択できる松山の宿泊は、愛媛の旅にはオススメです。

【道後温泉・松山の宿一覧】

浄瑠璃寺

住所: 愛媛県松山市浄瑠璃町282
電話: 089-963-0279
交通: 松山自動車道・松山ICより約20分
駐車場: 約10台(無料・門前の細い道が駐車場入口)

【投稿時最終訪問 2011年9月】

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