マイントピア別子の産業遺跡【端出場水力発電所と第四通洞】
愛媛県新居浜市にある日本三大銅山のひとつ、別子銅山。すでに閉山したが、最後の採鉱本部があった場所は「道の駅マイントピア別子」になっている。昭和48年の閉山後、施設のほとんどが取り壊されたが、その跡地が別子銅山の歴史を知るテーマパークとして整備されている。
マイントピア別子に残る歴史ある建物
マイントピア別子内にある有料の観光坑道も良いが、それ以上の魅力は園内に点在する産業遺跡。最後の採鉱本部があっただけに、その産業遺跡の規模は大きい。
対岸には巨大な発電所が今もそのままの形で残っている。これは明治45年につくられた「端出場水力発電所」。山の上から約600mの落差で水を落とし、銅山に使う電力を発電していた。当時の規模としては東洋一を誇ったとか。100年近く経つ今もその頑丈な建物は崩れることもなく、内部には当時の発電機が残っている。ただし、残念ながら内部は立ち入ることはできない。
また、この発電所のすぐ下を流れる川。とても美しい。自然のままの姿かと思いきや、多くの場所が遠い昔に護岸された跡が残っている。レトロな風景に流れる川の水は、とても澄んだエメラルドグリーンだ。
別子銅山は住友が財閥として発展する礎となった産業。住友企業の迎賓館であった「泉寿亭」がマイントピア別子の中に移築・保存されている。中は自由に見学可能。昭和12年に建てられた京風数寄屋造の落ち着いた佇まい。しばしここで休息してみるのも良いかもしれない。
海面下1000m・総延長700kmの地下世界の入口
さて、マイントピア別子の北側の奥には、大規模な産業遺跡が残っている。別子銅山の最終期には、海面下1000mまで、クモの巣のように地下坑道が走っていた。その地下世界への入口として、大規模な坑道がいくつかここに造られている。そのうち、簡単に近づけるのがこの「第四通洞」だ。
大正4年に完成した通洞で、その全長は4596m。他の通洞と連絡することにより、昭和17年には全長10kmにも延長されている。昔はこの鉄橋を列車が渡り、屈強な抗夫たちを次々と地下へと送りこんでいたそうだ。
通洞の入口までは違う橋で安全に近寄れる。入口は固く封鎖されているが、中は閉塞されていない。今も海面下1000m、総延長700kmの坑道へと続く入口がぽっくりとここに口をあけている。暗闇の中からは流れる水の音。そして、冷たい空気、時には暖かい空気が地下から噴き出し、地上の空気に触れたとたん真っ白になる。
別子銅山には多くの坑道の入口が残るが、多くが閉塞(埋め戻し)や扉などで封印されていて、深い地下の世界とはつながっていない。しかし、この第四通洞は閉塞されていないようで、直に地下の世界を感じられる。何かしら坑道を利用して鉱山の事後管理をしているのかも知れない。出来ればあのトロッコに乗って、この地下の世界に入っていきたい。
しかし、閉山後40年使用されていないこの坑道の内部に入るのは、とても危険だ。そのため、監獄のような鉄柵で入口は封鎖され、センサーで侵入を見張る徹底ぶり。ただ、今はこの地下の1歩手前で、真っ暗な地下に命をかけた男たちのロマンが広がっている。噴き出す地下の風に、その熱い思いの欠片を感じ取ることだけが、できること全てだった。
マイントピア別子
住所: 愛媛県新居浜市立川町707-3
電話: 0897-43-1801
営業時間: 9:00~18:00(観光鉱山、入場は17:00迄)
休業日: 2月第3月曜から1週間程度点検期間休
砂金採りは冬場は土・日・祝日のみ営業
交通: 松山自動車道・新居浜ICより車で約20分
料金: 観光坑道 大人1200円、中・高校生800円、幼児・小学生600円
(JAF割引で20%OFF)
駐車場: 約400台
【投稿時最終訪問 2014年7月】