霊山寺【四国霊場一番札所・お遍路スタートの寺】
四国にある88か所の寺院をめぐるお遍路。1400kmにも及ぶ弘法大師の足跡をたどる修行の旅の始まりのお寺が、徳島県鳴門市にある「霊山寺」(りょうぜんじ)です。始まりの寺でありながら、逆打ちという逆回りで参拝をした場合は、結願の寺(ゴール)となるお寺。多くのお遍路さんが旅立ち、そして目指すお寺です。創建は奈良時代、東大寺の大仏の建立に携わった行基によって開かれたとされている歴史のあるお寺。お遍路の旅を見守るにふさわしい古刹です。
発願の寺・はじまりの寺である霊山寺
駐車場のすぐ横にはまるで鳥居のような「発心門」があります。ここをくぐって長い長いお遍路さんの道のりが始まります。まずは一番霊場の霊山寺の山門がにここをくぐると最初に出会います。
発心門を抜けると道路に出ますが、その道沿いに霊山寺の入口にあたる仁王門があります。お遍路さんが最初にくぐるにふさわしい、巨大で風格ある立派な山門です。
山門をくぐるとすぐに錦鯉が泳ぐ放生池があり、右手に大師堂、左手に多宝塔があります。
池に囲まれた境内でお遍路最初の参拝
この放生池を渡る橋が山門からすぐにかかっています。ここで最初のお遍路の決まりである「橋を渡るときは杖を突かない」ことを実践しましょう。橋の下では弘法大師が野宿をされているかもしれないので、大師様を起こさないように杖を突かないのが習わしです。
寺の付近からもその姿が目に付く多宝塔。塔の中には大日如来の知恵を表す「五智如来」が祀られておんり、格子の間からその姿を垣間見ることが出来ます。1400年前後に建てられた歴史ある建造物です。
開放的な放生池の上流部、緑に囲まれた小さな泉水池があります。静かで落ち着いた雰囲気で、本堂の参拝とお遍路の旅立ちを前に心が鎮まります。
多宝塔の奥には13体の石仏が並んだ「十三仏堂」があります。十三仏は亡くなった方の供養である初七日から三十三回忌までの13回の仏事を守る本尊だそうです。特に慈悲深い仏様として信仰を集めています。
さらにその奥には「不動明王堂」があります。中には真っ赤な焔を背負った不動明王の石仏が祀られています。
天井に無数の灯篭が並ぶ神秘的な本堂
参道の一番奥に本堂があります。まずは本堂に祀られているご本尊の釈迦如来に参拝しましょう。ろうそく、線香を立てて納付を納めて読経をするといったお遍路をする際の細かな手順があります。初めてのお遍路さんはここで戸惑いながらもその手順を踏んで初めての参拝をすることになるでしょう。余談ですが、霊山寺の中には白装束を来たマネキンがあります。本堂にも立っていて、外国美人のマネキンがお遍路の格好をしてたたずんでいる姿は少しシュールです。
霊山寺の本堂は漆黒の空間。天井に揺らめく光に照らされた内部から厳かな雰囲気を感じます。
本堂の中に入ると、天井にはぼんやりと明かりが灯る灯籠が無数に吊り下がっています。窓のない暗闇の中降り注ぐ灯篭の数多の光はとても幻想的で、他の霊場とは違う神秘的な本堂です。お遍路始まりの寺にふさわしい、心を静めて落ち着かせてくれる神秘的な空間です。思わず参拝を忘れてその場で瞑想したくなる雰囲気です。
本堂の脇からは水が流れ出しています。この水が放生池と泉水池を満たしているのでしょう。
大師堂参拝と同行二人の遍路道への旅立ち
続いて放生池の向こう側にある大師堂へお参りします。本堂はそのお寺の御本尊が祀られてますが、大師堂はどのお寺も弘法大師が祀られています。本堂をお参りしてから大師堂をお参りするのが基本です。大師堂の裏は駐車場になっており、車で訪れたならそのまま大師堂の脇を通って戻ることが出来ます。
お遍路さんが最初に立ち寄る始まりのお寺だけあって、白衣や菅笠、金剛杖に納経帳など、お遍路さんの必須用品がとても充実しており、一通り巡礼用品を揃えることができます。駐車場に面した売店そのラインナップはかなりのもので、専門店といえるレベルです。
霊山寺で参拝と参拝準備をしたらついに遍路への出発です。長くつらい旅ですが、お遍路は同行二人。弘法大師の化身であるとされる金剛杖を持ち、弘法大師が旅の途中共にしてくれるというものです。旅と心の準備をさせてくれる寺院でした。
■霊山寺門前の宿
霊山寺
場所: 鳴門市大麻町板東東塚鼻126
電話: 088-689-1111
営業時間: 7:00~17:00
休業日: 無休
料金: 無料
交通: 高松自動車道・板野ICより約5分
JR高徳線・板東駅より徒歩10分
駐車場: 100台 (無料)
【投稿時最終訪問 2020年5月】