こいのぼり公園 【四万十川鯉のぼりの川渡し】
日本最後の清流、四万十川。山水画を見ているような手つかずの自然が残る下流域から遡上し、中流域にさしかかると風景はがらりと変わる。豊かな自然を残す事は変わりないが、そこにはJRのローカル線が走り、田や民家が点在し、人の暮らしが色濃くなる。そんな四万十川の暮らしの風景の中、ゴールデンウィークに楽しめる見事な風景がある。
鯉のぼりの川渡し発祥の地
川に渡されたロープやワイヤーにたくさんの鯉のぼりが泳ぐ「鯉のぼりの川渡し」。四万十町(旧十和村)の「こいのぼり公園」で4月中旬から5月中旬の約1か月間、四万十川の上を500匹もの鯉のぼりが気持ちよく泳ぐ。現在では全国で時々お目にかかることができるが、実はここが発祥の地。1974年から毎年行われており、四万十川が流れる悠久の風景中、青空に大量の鯉のぼりがはためく風景はとにかく圧巻。
豊かな森林と日本の原風景を思わせる山村。そんな中にずらりと並んだこいのぼりが、五月の心地よい風を受けて泳ぐ。日本に生まれてよかった。そう思える感動的な風景だ。
鯉のぼりが渡る四万十川。深緑が眩しい山々の間を縫うように、流れていく。「最後の清流」と形容される四万十川だが、水質は普通の川である。まだ同じ高知県の「仁淀川」の方が恐ろしい程に澄んでいて、実際に日本の河川では水質上位の常連である。しかし、流域にある人々の暮らしを見ていると、その四万十川が最後の清流と言われる理由がわかってくる。四万十川には沈下橋などかけて自然には抗わず、未だに川漁が多く行われている。。川とともに生きる。そんな風景が四万十川には色濃く残っており、それが最後の清流と言われる由縁だと思ったりもする。
新緑の四万十川を泳ぐ大きくたくさんのこいのぼり
川を渡すだけでなく山の中腹に展望台のようなものがあり、ワイヤーはそこから通されている。よくある鯉のぼりの川渡しは本当に川の流れの上を渡すだけだが、ここでは四万十川が削った深い谷を渡す桁違いの迫力の川渡しだ。これだけの大がかりなこいのぼりを間近で見られるのは、とても迫力がある。
移動中、車で寝ていた娘だが、「こいのぼりがいっぱいいるよ」と起してみる。外にずらりと並んで泳ぐ鯉のぼりを車窓越しに見た瞬間、びっくりして目を覚ます。そして、写真撮影用のお立ち台によじのぼり、優雅に泳ぐ姿を楽しそうに眺めている。こいのぼり公園は舗装された駐車場のほかに、学校のグラウンドのような広場が広がる。
今までは山側を眺めていたが最後は町側への眺め。鯉のぼりが泳ぐ高さがぐっと低くなり、その表情もはっきりと眺められる。よく見ると、子どもの名前を書いている鯉のぼりもある。この地区の親が願いを込めて、四万十の大空に鯉のぼりを泳がせているのだろうか。四万十の美しい風景の中に、山里の美しい暮らしの情景が交錯する美しい場所だった。
四万十川の宿泊案内
最後の清流と呼ばれる四万十川の美しい所は流域には大きな町がないこと。昔の日本を思わせる小さな集落が連続する四万十川の流域には、ロハスを意識した小規模な宿があり、ホテルは河口の中村に集中します。流域での宿泊でオススメな宿は、四万十川を見下ろすスタイリッシュなホテル「四万十星羅」や露天風呂が気持ちよいと人気の「松葉川温泉」です。
■四万十川流域の宿・ホテル一覧こいのぼり公園
場所: 高知県四万十町十川
電話: 0880-28-5111 (四万十町十和総合支所)
交通: 高知自動車道・四万十町中央ICから国道381号経由で40km50分
JR十川駅から徒歩10分
駐車場: 30台(無料)
トイレ: あり(水洗)
【投稿時最終訪問 2013年5月】