神戸ルミナリエ【子連れで美味しいものも楽しめる】

12月初旬から中旬にかけて行われる神戸ルミナリエ。阪神淡路大震災の犠牲者の追悼で1995年から始まった日本を代表するイルミネーションイベントです。その年ごとのテーマによって意匠が異なり、作品群も違ってくるので、毎年訪れても見飽きない、神戸の年末の風物詩です。そんなルミナリエに5歳の娘を連れて、出かけました。

会場まで行列も美しい街のイルミネーションが楽しめる

ルミナリエは元町駅から三宮方向に向けての一方通行。訪問者が多くなると、元町付近の街並みを行ったり来たりしながら長い距離をルミナリエ会場まで歩かないといけません。とはいえ、付近は旧居留地跡。歴史ある建物や神戸の老舗がならぶ雰囲気ある場所です。
しかし、ルミナリエ入口までは渋滞緩和のため、ぐるりと三宮の町を迂回します。平日でも迂回ルートを約15分、週末にいたっては1時間以上ルミナリエ会場に到着するまで並ぶこともざらにあります。時間やトイレには余裕をもって訪れたいですね。並んでいる間は、旧外国人居留地の異国風情が漂う夜景を楽しめます。

ライトアップされた「セントモルガン教会」。闇の中に浮かび上がったその姿は神々しく美しいです。

神戸生まれの洋菓子で有名なケーニヒスクローネ。そのケーニヒスクローネのホテルが「ホテルケーニヒスクローネ神戸」です。旧外国人居留地の中にあるヨーロピアンスタイルのホテルで、本職のデザートの美味しさは間違いなし。ゆっくりとした時間をここで過ごすのも楽しそうです。

大丸神戸店。旧居留地に似合う佇まいで美しくライトアップされています。この大丸が近づけば、ルミナリエはもうすぐです。

大丸の角を曲がると、旧居留地38番館がある明石町筋。レトロなガス灯、建物のライトアップ、そしてLEDのイルミネーション。美しい様々な光が歴史的な通りを演出して、まるでテーマパークのような夢の通りになっています。

美しいルミナリエの顔 「フロントーネ」 がお出迎え

ルミナリエの顔とも言える「フロントーネ」。壮大で荘厳。多くの人が光に導かれ、この光の建物の中に入っていきます。昨年から天井部にも輝きが灯され、さながら光の城か光の教会がそこにあるかのように思えます。ルミナリエは毎年デザインや色合いが異なっており、今年は紫色をはじめとした青の色彩が鮮やかです。イルミネーションを独特の幾何学模様で、まるでステンドグラスのように形作った巨大な光のアート。それはそこに光の神殿があるかのように思わせるほど、美しい。

別の年の「フロントーネ」。この年は開始当時と同様の白熱電球にすべて戻していました。LEDがシャープで近未来的な印象があるのに比べ、白熱電球は暖かくクラシカルな雰囲気です。LEDの突き刺さるような直線的な光ではなく、辺りを照らすかのように柔らかく包んでくれるような柔らかな白熱電球のあかりはとても優しく感じられました。

幻想的な光の回廊「ガリレア」を進む

見上げると、まるで歴史ある教会の大聖堂に訪れたかのような美しさ。荘厳な光の空間からはまっすぐに闇に向かって蒼き回廊が続いており、とても幻想的です。西洋文化あふれる神戸旧居留地に粛々と輝く光のレクイエム。鎮魂・希望というルミナリエのテーマを深く感じられる空間です。

「ガリレア」と呼ばれる回廊を進みます。頭上にはビルが覆い被さっていますが、ルミナリエの期間はビルの明かりや街灯は消灯されます。漆黒の闇となった街の中を青く輝く神秘の回廊が、この先に待つ光の国へと人々を誘います。回廊の中はを大勢の人が降り注ぐ光を浴びながら進んでいきます。人混みの中、5才の娘がルミナリエを見るのは難しいので、ここは頑張って肩車。当然混雑しているので迷惑にならないよう、靴を脱がせて持参したレジ袋で保管。見えない、見えないと言っていた娘も、特等席に担ぎ上げられた途端、うわぁ、きれいと大満足。

まるでおとぎ話の国「スパッリエーラ」

ガリレアに導かれたどり着いたルミナリエの終点「東遊園地」の広場をぐるりと囲むように作られた「スパッリエーラ」。まるでおとぎ話に出てくるようなの夜に輝く光の街です。かつての外国人専用の運動公園だったこの場所に設けられたのは、光の壁掛けはぐるりと光のオブジェが広場を取り囲み、その中に入って作品を鑑賞できます。

スパッリエーラ の内部に入ると、ぐるりと360度、光の彫刻に囲まれた美しい広場になっています。多くの人で混みあいますが、頭上を取り囲む暗闇を照らす光の町は幻想的で、いつまでもその場に留まりたくなるくらいです。モスクを思わせるオブジェを取り囲む光の装飾、そしてそれを浮かび上がらせる漆黒の闇。闇の中に現れた光の国は美しく、おとぎの国を訪れたかのように思わせる。

白熱電灯の年のスパッリエーラ。とても明るく、雰囲気が全然違います。

神戸のホテルや食品メーカーの味が楽しめる「光のファウンテン」

東遊園地の南側の噴水広場で開催されている「光のファウンテン」。ルミナリエと同じ期間、同じ時間に開催される食とショーのイベントです。赤レンガの歴史ある建物に並び、ルミナリエと同じデザインの光のゲートをくぐり、会場へと向かいます。

スパッリエーラ「光と音の大パノラマ」。ライトアップされた広場の噴水のまわりに、美しいルミナリエの光と美味しいお店が並びます。

会場の中央にはステージがあり、期間中は様々なイベントが開かれています。この会場のルミナリエ「スパッリエーラ 」は、音楽にあわせての点滅し、ショーを盛り上げてくれます。噴水を取り囲むように並んだお店で購入した商品は、設置された小さなテーブルや噴水の縁をベンチがわりにしていただけます。並ぶお店も有名どころばかり。神戸ポートピアホテル、メリケンパークオリエンタルホテル、ウェスティンホル淡路などの付近の人気高級ホテル、QBB、UCC、神戸コロッケなどの神戸にゆかりのある大手メーカー、そして老祥記などの地元の人気店です。販売されているメニューの一部をずらりと並べるだけでもよだれが止まらなくなるほどおいしそうなものばかりです。淡路牛クロワッサンサンドウィッチ(2コ500円)、QBBチーズ串揚げ(2本400円)、ビーフシチュー神戸ワイン仕上げ(650円)、布引ハーブチキン(450円)、神戸ポークソーセージのポトフ(700円)など。どれも観光地価格というほどの高い値段ではないのも良心的です。

ずらりと並ぶ美味しそうなものの中でも一際目を引かれたのが、オリエンタルホテルの「神戸ポークハムとクリームポテトのラクレットチーズ」(700円) 。巨大な丸いチーズを炙り、溶けだした部分をすくいとっています。昔から一度は食べてみたいと思っていたスイスなどの牧歌的なチーズ料理!巨大な丸いチーズを炙り、溶けだした部分をすくいとっています。昔から一度は食べてみたいと思っていたスイスなどの牧歌的なチーズ料理!しかも神戸の夜景の名所・ハーバーランドのランドマークである一流ホテルのシェフが作ってくれる一品。たまらずにオーダーしました。

オーダーをすると、女性のホテルシェフ丁寧にチーズを溶かして「神戸ポークハムとクリームポテトのラクレットチーズ」を作ってくれました。商品を受け取ってから気付きましたが、鼻をつく発酵系の匂いが結構あります。店の付近でも香っていましたが、まさかこのチーズの匂いだったとは。おそるおそる一口。う~ん、なかなかクセがあります。感覚的には、クセがかなり強いラム肉という感じでしょうか。その濃厚さにはワインが欲しくてたまらなくなります。会場ではもちろんホットワインの販売もあります。
自分だけ美味しそうなものを食べていると、娘がズルイと不貞腐れていたので、光る綿菓子を買って一緒に食べました。子供が喜びそうなメニューもいっぱいあります。
またゆっくり夕食を食べるなら、元町駅に近い、日本三大中が外のひとつ「神戸南京外」に足を伸ばすのもありです。

水面に揺れるルミナリエの光。ゆらゆらと揺らめく美しい煌めき。見ているだけで癒されます。そしてこの揺らめきを見ながら美味しいものを頂ける幸せ。

噴水広場にある輝きもルミナリエの作品のひとつ。水面に輝く鏡像を従えた光の彫刻は今までにないルミナリエの美しさを演出しています。

鎮魂の灯「1.17希望の灯り」

再び東遊園地に戻ります。毎年ルミナリエを去る前に訪れるのが「1.17希望の灯り」。震災を忘れないように鎮魂のために灯し続けられる火。冬の定番のイルミネーションイベントとなったルミナリエですが、本来は阪神淡路大震災の鎮魂のイベント。美しく華やかに輝く神戸の町を楽しみながらも、あの日、この街で起こった悲しみの記憶を消してしまわぬよう願いたい。
もうすぐあの日から20年以上経つ。震災を知らない人が多くなったが、神戸では学校や幼稚園で震災について語り継ぐ教育がある。犠牲になった小学生の姉弟、避難所で明るく振舞っていた娘と同い年だった女の子。そんな話を娘に聞かせながら、犠牲になった方にお祈りしてこの場所を後にした。

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