カレイ山展望公園【大島大橋と伯方島を一望】

四国・今治と本州・尾道を結ぶしまなみ海道。瀬戸内海に浮かぶ島々を縫うように渡された橋には高速道路とサイクリングロードが併設されており、自転車乗りには憧れのサイクリングルートでもある。もちろん、この道をドライブで駆け抜けるのも良いが、橋が通じている島に下りて、瀬戸内海の独特の風景を楽しむ旅も面白い。今回は瀬戸内海独特の多島美を楽しめる穴場的スポットを目指す。

ヤギの親子が歓迎してくれるカレイ山

駐車場から展望公園まではアスファルトの道を行く。途中、ヤギの親子が立派な小屋で暮らしている。小屋の2階が広場になっているので、見た目小屋は地下に埋もれた感じになっている。。どうやらヒマらしく、人が近づくと小屋から出てきてこちらに駆け寄ってくるので、ちょっとした交流が楽しめる。この付近にはキャンプ場も整備されているらしいが、訪れた時には気づかなかった。トイレや炊事場のようなものがあったのだが・・・

もう少し歩くと森を抜け、視界が広がる。目の前に「カレイ山展望台」が見えた。展望台の裏側に石でできた長いベンチがある。足を海に投げ出す形で、そのベンチではくつろげる。ここの展望と滞在もなかなか素敵だ。展望台の1階にはアートギャラリーのようなスペースがあった。残念ながらこの日は閉まっていたのだが、何か展示しているのだろうか。

カレイ山のカレーが美味しくて絶景

展望台の横には「遠見茶屋」という店がある。この日はこの店も閉まっていたのだが、営業中なら名物のカレーが楽しめる。カレイ山でカレーとは、なんともベタだが、1日限定20食のカレーはとても手が凝っていて美味しいと人気だ。店には窓ガラスがなく、瀬戸内海の景色をさながらオープンデッキのように眼下にダイレクトに楽しめる。ロケーション抜群の快適な店だが、当然天気と天候を考えて立ち寄らなければならない。

展望台からは数々の島が浮かぶ瀬戸内海の絶景

展望台を登る。エレベーターはないが、無機質なコンクリートに包まれて階段は何となくいい味を出している。

屋上は屋根はなく、展望看板が置いているだけではあるが、360度の瀬戸内海の大パノラマを楽しめる。瀬戸内海に浮かぶ無数の島、それを縫うように走る様々な船。そして時には川のように島の間を流れる潮流。時間とともに移り変わる風景はずっと眺めていても飽きない。360度の展望と書いたが、当然後方はこの展望台のある大島の展望になる。その展望の中には、露天堀の採石場がある。大島は「大島石」の産地で、まるで巨大なクレーターのような採石場が海に浮かぶ島にぽかりとあいている様は不思議な光景だ。

島をひとつひとつ見ていくと、瀬戸内海の特異な文化を垣間見れる。手前の無人島は戦国時代に活躍した能島水軍の城があった「能島」で、現在は城の遺構が残っておいる。奥の有人島「鵜島」でも、海岸の入り江をプライベートビーチのようにして建てられた家など。どんな人がどのようにして生活しているのか。そんなことを考えながら、見ているだけでもとても興味深い光景だ。

多くの島が織りなす風景は独特。自然が作り出す海岸線が複雑に入り組み、海のすぐ近くまで森が迫る。穏やかな海は川か湖を思わせる。

このカレイ山展望台からの一番の眺めといえばやはり「大島大橋」。向こうに見えるのは伯方島。「伯方の塩」の発祥の地として有名だ。しまなみ海道のメインスポットともいえる島と島を渡す橋をこうして見下ろせる展望はとても心地よい。向こうの島のまた向こうの島はどこで、いったいどんな場所なんだろうか。海を風のように渡っていくしまなみの旅に、思いを馳せながら眺める瀬戸内海。そんな風景を静かに楽しめる場所だった。