一草庵【種田山頭火終焉の地】
正岡子規、高浜虚子、河東碧梧桐。教科書にも出てくる著名な俳人を多く生み出した四国・松山。松山には「俳句ポスト」が市内に90か所以上も設置されており、市民や旅行者から広く俳句の投句を集っている。また、「俳句甲子園」が開催され、全国の高校生が熱く俳句を作り、語っている。今でも市内で俳句や言葉があふれる町、松山。そんな文学に親しめる町を終の地とした流浪の俳人がいた。それが、種田山頭火だ。種田山頭火は戦前の自由律俳句で著名な俳人。15年近い放浪の旅ののち、松山で「一草庵」を結庵してこの地で生涯を閉じている。
「一草庵」は愛媛大学と松山大学がある静かな文教地区の外れにある。大川の清らかな流れを小さな橋で渡り、御幸寺山の麓に近づくと、御幸寺の境内の一角にひっそりと佇む。現在一草庵のある場所は公園として整備されており、交流の場ともなっている。
実際に種田山頭火が住んでいた一草庵は老朽化が進んだため、昭和27年に再建されたものが現在に残っている。見た感じは普通の古い木造家屋。同じく松山市内に再建された正岡子規と夏目漱石が同居していた「愚陀仏庵」(現在は災害のため崩壊)と比べ、インパクトは随分と穏やかだ。今でも人が住んでいるようで、本当にこの建物が一草庵かどきどきしながら近づいた。
建物の内部は随分と新しく、台所まである。今でも誰かが本当に住んでいそうだ。一草庵の内部は種田山頭火が住んでいた頃を再現しているのではなく、講座等の会合を行うために市民に広く開放されている。教育課程として学校が使う場合は無料。一般使用する場合は1時間500円と、市が管理しているだけにとても安い。かつての俳人の終の家が、今は市民の文化活動を育む場となっているのだ。ちなみに和室にある仏壇には、山頭火の位牌が祀られている。
公園の内部には休憩所があり、種田山頭火に関する案内パネルが設置されている。山頭火の足跡や功績をここで学ぶことができる。休憩所にはトイレもあり、公園内はとてもきれいに整備されている。今も多くの市民に愛される山頭火。その終の地であり、彼の偉業を伝える地として、今も多くの人がこの場所を美しく保っているのだろう。
松山の観光と宿泊情報
松山の宿泊といえばやはり道後温泉ですね。四国を代表する温泉街で、老舗からモダンな旅館まで多くの宿があり、歴史ある温泉風情を楽しめます。また、松山にはシティホテルが多くあります。中には温泉を引いている場所もいくつかあります。予算や目的によって豊富な宿が選択できる松山の宿泊は、愛媛の旅にはオススメです。
【じゃらん】道後温泉の宿一覧一草庵
場所: 愛媛県松山市御幸1-435-1
電話: 089-948-6891
営業時間: 外観見学自由
休業日: なし
料金: 無料 (一草庵貸切時は1時間500円・要予約)
アクセス: 松山自動車道・松山ICから約30分
伊予鉄道 赤十字病院前電停下車、徒歩15分
駐車場: なし
【投稿時最終訪問 2011年10月】