登別カルルス温泉 深山の庵岩井

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北海道は実は温泉天国。道内の各地で名湯が湧いているが、代表的な温泉地のひとつが登別温泉。もくもくと湯煙が上がる町中にたくさんの旅館が軒を連ねます。そんな登別温泉のさらに奥にあるのが登別カルルス温泉。比較的新千歳空港に近い静かな温泉地で北海道旅行の最後の夜をゆっくりと温泉に浸って、ビールを飲んでゆっくり畳の上でくつろぐのはいかがでしょうか?紹介する宿は登別温泉のさらに奥にある登別カルルス温泉の「深山の庵いわい」です。

登別温泉のさらに奥座敷の静かな温泉地

登別温泉の賑やかな街並みを通過し、山の中を走る事10分。とても静かな山の中、民家が点在する小さな集落の中に、ホテル岩井は佇む。本当にここにカルルス温泉があるのかと思うくらい、付近は静かな山村の中、突如として森の中に姿を現した宿。その姿を見つけた時には少しほっとした。

昭和の香りを残しながらも快適にリフォームされた宿

宿泊した6畳の和室。宿の建物は、いい感じで昭和を思い出させてくれる、少しばかりの古めかしさがある。廊下やプライベートルームの扉なんか、いかにも古い北海道の温泉旅館独特の、いい味を出している。このあたりは好きな人と嫌いな人でバッサリ2つに分かれそうだ。
ただし、廊下などの公共空間は古いままだが、客室は綺麗にリフォームされている。それでいて清潔。まるで、客室と廊下では違うホテルのようだ。客室で滞在するのには何ら不便なく、それどころかすこぶる快適だ。

部屋には洗面所とトイレが装備されている。お湯も出る、ウォッシュレットもついている。寒い北海道でも快適な水回りが確保されていて、しかもリフォームされていてきれいだ。
部屋には金庫のほか、空の冷蔵庫もある。この部屋はスタンダードで3人までの宿泊となっているが、それでもゆっくりと足を延ばして滞在ができる。とても気持ちが良い部屋だった。

部屋から望む風景。あいにくの激しい雨に、さらに奥に広がっているであろう、北海道の山景色はかき消されてしまっている。付近は手つかずの原野の中に、畑と民家が点在する。あとは深い森。正直何もない。驚くほどに何もないところに温泉がある。ツムラのCMで「登別カルルス」と聞いていて名前は知っていたが、ここには本当に素朴で何もない風景が広がるのみ。しかし、大勢の人が歩き、多くの旅館が所狭しと身を寄せる登別よりかは、逆にこの方が風情がある。いかにも北海道の秘境の温泉一軒宿といった雰囲気がプンプンにする。こういうどこか古臭くて、何もない温泉が、いかにも北海道らしい温泉だと思う。もうなくなってしまったが、ぼくが大好きだった「塩狩温泉」も、これに近い雰囲気だった。それでもカルルス温泉は北海道で最初に国民温泉保養温泉地に指定された温泉。歴史は古い。

ホテルのロビー。いかにも昭和。これこそ昭和。しかし、広々としていて、古臭いながらもっこうすわり心地の良いソファーがあってくつろげる。自販機も充実していて、アイスも販売。卓球台ならぬビリヤード台が置かれている。

源泉かけながしで味わう登別カルルスの湯

さあ、この宿に泊まった真の目的。温泉。入浴剤でも有名な、「登別カルルス温泉」だ。
浴室はやや古い印象は受けるが、どくどくと湯船からあふれ続ける湯量には驚き。源泉温度が高いため、多少の加水はあるそうだが、それでも正真正銘の源泉かけ流しだ。湯は単純温泉で無色無臭。クセがなく、誰にでもなじめる。それでも湯に浸かると、とても暖まる。柔らかな湯は、体を沈めているだけで、とても気持ちがいい。さらにカルルス温泉は飲泉ができ、胃腸の病気によく効くそうだ。そのため、在りし日は湯治で滞在する人がとにかく多かったらしい。

湯船につかり、くつろぐ。ああ、気持ちいい。やはり日本人は温泉だ。
浴室はとにかくシンプル。飾り付けはまったくなく、それがまた味があっていい。湯船はもう一つあり、壁の下にあるのがぬるい湯が入れられたぬる湯だ。
さらには、ジャンプをすれば覗けてしまいそうな女湯との低い壁。そして、女湯と行き来できるドア。当然カギはかかっている(ハズ)。このスタイルも、塩狩温泉など、古い北海道独特のものだ。北海道の古い温泉は混浴が多かったと聞く。今はカルルス温泉では混浴は1軒もないが、この低い壁はその名残かもしれない。
余談だが、もう潰れた北海道の塩狩温泉は、女湯と混浴の2つの湯しかなかった。男湯と思っていた湯にはもう一つ入口があり、そこからご婦人が突然入ってくるのには驚いた。こういう北海道の古い温泉は、本州には無い、どこか独特の雰囲気がある。

洗い場。カランなどの水回りはリフォームされていて、とても快適に使える。シンプルながらも、とても心地よい湯。思わず長湯してしまう。

秘湯感たっぷりの森の露天風呂

森の中の露天風呂。森の向こうにはカルルス温泉の里山が広がっているのが見える。白樺が混在する森はいかにも北海道。
露天風呂の右側、1枚の壁を隔ててすぐ女湯の浴槽だ。その気になれば、ちょっと森に出て覗けるような距離。こういう男女の距離が近い温泉も北海道にはとても多いような気がする。
露天風呂の湯は内湯の一部にパイプが通されていて、そのパイプから湯船に湯が流されて引かれている。内湯よりやや温度と鮮度が下がるが、それでも源泉かけ流し。露天風呂によくある、まるでプールのような塩素臭などまったくない。
雨に濡れる森の薫り、湯のぬくもり、大自然の音。全てが気持ち良く身を包んでくれる。最高の露天風呂だ。

食事は朝も夜も部屋でのんびりと頂ける!

さあ、温泉でゆっくりと暖まったら夕食。この岩井の素晴らしい所は、夕食も朝食も部屋食だという所。これは子連れだと特にありがたい。
比較的海にも近いカルルスは、海の幸、山の幸ともに豊富。北海道の食材で丁寧に作られた料理。量や見た目の派手さはないが、それでもとても美味しく、気持ちよくビールも進んだ。

朝食。量は多くないが、とても品がある。特に「梅乃香竹豆腐」という、茶わん蒸しのような豆腐料理が最高だった。胃腸に良いカルルスの源泉を使用して、松茸・ザーサイと絡めた餡タレ。梅ゼリーとイクラを乗せて頂くその味は絶品。とても美味しく豆腐を頂け、ご飯と一緒にでもいける。これはこのホテルのオリジナルメニュー。これは普通に食堂で単品で売っていたら、それだけでもオーダーしたいメニューだ。これほど美味しく朝食を楽しめたのは久しぶりだった。
北海道最終日、外はあいにくの雨。雨霞に付近は真っ白。まだ9月だというのに、長袖シャツでは寒く感じるほどだった。それでも美味しい食事と気持ち良い朝風呂で、身も心も温かくなっている。北海道の最後の夜、とても快適な滞在を楽しめた温泉ホテルだった。
それに何より、このホテル、安い。夏休み期間でも、部屋食で1泊2食付で6450円のプランがあるなど、とにかく安い。お財布にも優しいホテルだ。

【登別・カルルスの温泉宿一覧】

深山の庵いわい

住所: 北海道登別市カルルス町27番地
電話: 0143-84-3160
交通: 道央道 登別東ICより車で約20分
客室数: 37室
駐車場: 25台

【投稿時最終訪問 2011年9月】

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