今治城【 藤堂高虎の海城・絶景天守閣】

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今治タオルで有名な愛媛県今治市にある「今治城」は1604年に築城の名手、藤堂高虎が手がけた平城で、近代城郭の基礎となった造りをいち早く取り入れた先進的なものでした。お堀に海水を導いた日本三大海城のひとつで、別名「吹揚城」。今治市の中心部の海の近くにあり、海上交通で栄えた今治を象徴しているお城です。模擬天守の最上階からはしまなみ海道や四国の山々を間近に望める絶好のビュースポットでもあります。

珍しくも先進的だった藤堂高虎の海の城

今治城

今治城の全景。海水を引いたお堀にはクロダイやスズキなど、大型の海水魚まで泳いでいます。潮の満ち引きによって水位が変わり、場所によっては湧水があるためメダカなどの淡水魚も泳いでいる珍しいお城です。かつては三重の堀があり、中堀には海に出るための港があったそうです。城内へは石垣に覆われた土橋で堀を渡って入ります。

今治城鉄御門

今治城の入口には「鉄御門(くろがねごもん)」が守りを固めます。平成19年9月に再建されたこの鉄御門は藤堂高虎の築城の技術の結晶。門戸には鉄板が隙間なく打ちつけられ、まさに名の通り鉄壁の防御力を誇っています。コの字型になった櫓から、門を破ろうとする軍勢に一斉に鉄砲や弓矢を仕掛けるつくりです。この形は今治城で初めて完成したそうで、後の城郭設計に広く取り入れられています。

今治城鉄御門内部

鉄御門の内部。再建されて間もないので中はとてもきれい。昔ながらの造りですが、現在の和風住宅としても十分通用する内装です。鉄御門の模型や、そこから敵を狙う様子などの展示があります。

今治城天守閣

今治城天守閣。現存しているものは昭和55年10月に再建されたものです。内部は城の再現は全くなくビルのようになっています。創建時の今治城天守閣は、上の階が少しずつ小さくなる初の層塔型天守閣だったそうです。今残る天守閣の先駆けが子の今治城だったのです。

城内にはご利益たくさんの吹揚神社

吹揚神社

天守閣の横には「吹揚神社」があります。明治の廃藩の際、市内各所にあった4つの社を今治城内に合祀して造営されました。天照大神をはじめとする多くの神々が祀られており、今治城を築城した藤堂高虎も祀られています。たくさんの神々が祀られたお城の神社は御利益がたっぷりいただけそうなパワースポットです。

吹揚神社稲荷の鳥居

「吹揚稲荷」もあり、参道には短い距離ですが赤鳥居が立ち並びます。その中に入ると、そこはもう幽玄の世界です。

有名な怪談の逸品から武具まで充実した展示

今治城天守閣

お堀から見上げる今治城の天守閣。再建されたものとはいえ、青空に映えるお城はやはり立派です。駅からも市街地からもほど近く、藤堂高虎の居城だったことを考えると、城が好きな人はぜひとも立ち寄っておきたいところです。

今治城天守閣内部

城内の展示は今治藩の歴史や刀・鎧に始まり、なぜか世界の動物や鉱石など、あまりにも幅広い。その展示の量は怒涛で見ごたえがあります。特に有名な怪談「飴買い幽霊」の絵は必見です。

天守閣は瀬戸内海と四国山地一望の展望台

今治城天守閣最上階

天守閣最上階は展望台となっています。瀬戸内海に面した今治城の天守閣からの展望は素晴らしく、今治の町並みはもちろん、瀬戸内海を行きかう船、来島海峡大橋、西日本最高峰の石鎚山を手に取るように眺められます。

今治城天守閣からの瀬戸内海

天守閣から北を眺めると、足元には今治市の町並みが広がります。そしてその向こうの青い海には、数多の島々が横たわる瀬戸内海。その島の間に細い白い塔のようなものが何本も建っているるのが「来島海峡大橋」です。愛媛県今治市から広島県尾道市を貫く、島と島を橋でつないだ「しまなみ海道」の四国側の起点であり、全長4kmを超える巨大な橋です。また、しまなみ海道の橋は自転車、徒歩でも渡れることができ、本州から四国へと旅する長大なサイクリングロードは、全国のサイクリストの垂涎のコースです。

今治城天守閣からの来島海峡

いくつもの島を跨いで海峡を渡る来島海峡大橋。今治城からは横からの姿を見られるので、その長さと高さがよく分かります。巨大な橋をくぐるように、多くの船が行き来しています。
来島海峡は川の流れのような潮流の中を、運搬船や旅客船がひっきりなしに往来する海上の交通の要所。今では橋ができ、その橋がかけられている島々は自家用車で簡単に四国や本州に行き来することができるようになりました。それでも橋がかかっていない島のほうが多く、その島々を巡る船も今日も忙しそうにこの海域を縫うように往来しています。

今治城からの来島海峡大橋

来島海峡にはかつて「村上水軍」が栄えており、瀬戸内海の海上交通の要所でした。今治市は海上交通で発展しましたが、このしまなみ海道ができてから、その様相は一転したように思えます。今治の船着き場の周りに栄えた市の中心部はシャッターが下ろされましたが、陸路での四国の玄関口として国道やバイパス沿いにはロードサイドの商業施設が多くつくられ、愛媛県第2の都市として大いに賑わっています。今治タオルやしまなみ海道サイクリングなど、新しい名産や観光地も近年では生まれています。

今治城からの石鎚山

今度は瀬戸内海とは反対の南側を見てみます。標高1982m、西日本最高峰の石鎚が目の前に聳えます。四国山脈の顕著な特徴としては、一気に瀬戸内海から2000m近くまで山が立ち上がること。海に浮かぶようにそびえる真っ白な山の風景は、瀬戸内海の意外な一面です。
穏やかで暖かな島々をつなぐ橋を走りながら、間近に聳える真っ白な霊峰を望むのも、冬のしまなみ海道の醍醐味です。藤堂高虎が築城した、後世の先駆けとなり、海を利用した堅牢な造りの平城。充実した展示や風光明媚な瀬戸内海の展望が楽しめる、見所いっぱいの城跡です。

今治のオススメホテル

しまなみ海道の四国側の起点、今治市は今治タオルの産地として有名。造船業の集積地でもあり、海沿いに建ち並ぶ巨大な造船所群は見ごたえがあります。また今治焼き鳥、焼豚玉子飯といった素早くガッツリ食べられるご当地グルメも人気です。今治の宿泊は海沿いの海鮮が美味しい旅館、近隣の温泉ホテル、少し山に入った鈍川温泉がオススメです。

■糸山公園すぐ、瀬戸内海の海の幸を堪能できる人気海鮮旅館

まなみサイクリングでもオススメの近隣の温泉ホテル

■山の中、渓流沿いの静かな鈍川温泉

今治城

場所:愛媛県今治市通町3-1-3
電話:0898-31-9233
料金:520円(高校生以下無料)
休み:無休(年末に不定休有り)
時間:9:00~17:00(12~2月は~16:30)
交通:西瀬戸自動車道・今治ICより車で約10分
    JR予讃線今治駅からせとうちバス今治営業所行きで7分、今治城前下車すぐ
    JR予讃線今治駅から徒歩15分
駐車場:56台(1時間100円)

【投稿時最終訪問 2019年7月】

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