金融資料館【小樽・北のウォール街観光】
北海道小樽は「小樽運河」に代表される北海道有数の観光都市。様々な見所があります。明治末から昭和初期にかけては小樽が北海道開拓の中心地であり、重厚な歴史的建造物が多く残っています。特に開拓資金を取り扱った銀行が多くの支店を開いており、「北のウォール街」とも呼ばれていました。銀行の支店として多くの重厚でレトロな建物が建てられ、商業施設として今も使われています。そんな中でも銀行の中の銀行、日本銀行の小樽支店跡で無料で見学できる資料館が「金融資料館」です。日銀ならではのお金にまつわる展示はもちろん、レトロで重厚な歴史的価値の高い洋館内部も見所いっぱいの観光スポットです。
歴史的建造物内部の見学も見応えあり
「金融資料館」は、東京駅を建設した辰野金吾氏の設計により明治45年に建設された日本銀行小樽支店。石造りのルネサンス様式は日銀の支店としての重厚さを感じます。2002年まで実際に銀行として営業されていました。
現在は無料の資料館となっており、小樽の「北のウォール街」としての歴史だけでなく、日本銀行の歴史や業務、紙幣や経済事情や金融の仕組みまでが詳しく説明されています。何より、当時のまま残っている銀行内部の営業室は見応えたっぷりで、本物の銀行の金庫室の中にも入ることができるなど、是非立ち寄りたい施設です。
金融資料館の中に入るととてもレトロで広大な空間が広がります。目の前には受付窓口のカウンターが当時のまま残されています。重厚なカウンターの周囲には大理石がふんだんに使われており、レトロながらも高級な雰囲気が漂っていてます。
営業室の天井は約10.5mもあり、まるでホールの様。煉瓦の外壁から鉄骨を組んで屋根を支えているので、広大な空間には柱1本もありません。
営業場カウンターの中に入ることができます。カウンターは高級そうな木製で、大切に使い込まれた歴史を感じます。レトロな空間の中央に鎮座し、ホールを区切る存在感あるカウンターが、歴史ある金融機関の面影を今に伝えています。
営業カウンターの内部から来客スペースだった空間を眺めます。ここは預金や為替の窓口。銀行員になった気分を少し味わえます。パーテーション自体は平成時代のものと思われますが、銀行らしい雰囲気はとても感じられます。
在りし日は、多くの人がここに現金の預け入れや融資の相談で訪れていたのでしょう。閉店した今は訪れる客はなく、広大なホールは静寂に包まれています。当時はホールに響き渡るくらい人の声の賑わいがあったことでしょう。
壁はライトアップされ、吊り下げられた照明はレトロな形ながらもLEDを使った最新の照明に取り替えられています。現代のライティングがレトロな美しい雰囲気を高めています。
充実した小樽の歴史や金融の資料展示
カウンター内部は展示スペースとなっています。日本銀行のあゆみや金融経済の歴史のなかでどのような役割を担ってきたかを、当時の資料や美しいパネルを使って紹介しています。
かつて北のウォール街と呼ばれ、銀行をはじめとする商社の洋館が建ち並んでいた最盛期の小樽の街並みがジオラマで再現されており、まるで異国のようなその風景は模型ながらもとても興味深く感じます。また、日本銀行小樽支店が果たしてきた役割も解説されています。
日銀ならではのお金の展示は必見
大ホールから奥に進むと、お札についての展示になります。日本銀行は日本で唯一の紙幣を発行する銀行。お札がどのようにつくられて廃棄されるか、どのような偽札防止の工夫がされているかなどが紹介されています。お金についてここまで展示されているのはさすが発行元の資料館。とても面白く、興味深いコーナーです。
銀行といえばやっぱり金庫室。業務展示ゾーンには実際に利用されていた金庫室も展示されています。重厚で鉄壁な金庫室の扉は立派で見入ってしまいます。
万が一故障や災害で金庫が開かなくなった時のために、巨大な金庫扉の隣に「人孔」(じんこう)と呼ばれる小さな補助扉があります。名前の通りすぎ、人がひとり身を屈めて潜れるくらいの小さい扉ですが、それでも大扉と動揺に重厚で厳重なつくりになっています。普段は金庫室の換気にも使われていたそうです。
金庫室の一つには中に入ることができます。実際に2002年までこの中で現金を保管していたそうです。開いている金庫の扉や壁の分厚さは相当なもので、施錠されるとどうやったら中に入れるかわかりません。難攻不落の金庫を目の前にすると、気分はルパン三世です。
金庫の中にはダミーの札束がどっさりと置かれています。手前のテーブルに置かれている模擬紙幣の束が1億円分。実際に1億円がどれくらいの量になるのか実感できます。
レトロで重厚な歴史的な建物はもちろん、日本銀行ならではの充実した展示を楽しめる金融資料館。小樽観光で時間があればぜひ立ち寄りたい観光スポットです。
金融資料館
場所: 北海道小樽市色内 1-11-16
電話: 0134-21-1111
営業時間: 9:30~17:00(12月~3月は10:00~17:00)
休業日: 水曜日(水曜が祝休日の場合は開館)、12月29日~1月5日
交通: JR小樽駅から徒歩10分
料金: 無料
駐車場: なし
【投稿時最終訪問 2018年3月】