椿の湯【道後温泉本館の別館】

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愛媛県松山市にある道後温泉のシンボル、「道後温泉本館」。道後温泉の宿で泊まれば、開館の朝6時からの気持ち良い朝風呂を楽しむことができる。ぽかぽかと温まった体で歩く、まだ夜が明けぬ冬の朝はとても静かで気持ちがいい。休日の昼間にはとても賑わう商店街は、今は誰もいない。このまま宿に帰ってしまうのももったいない。そう思うと、足は自然に道後温泉のもうひとつの公衆浴場に向かっていた。
それが「椿の湯」だ。道後温泉本館の開館は朝6時。そして椿の湯は朝6時半。本館で一番湯を楽しみ、さらに椿の湯でも一番湯を楽しめる、温泉好きにはたまらない至極の贅沢。しかも、道後温泉本館の開館時には、「残したい日本の音風景100選」に選定されている太鼓の音が出迎えてくれるという、風情も楽しめる。

道後温泉の別館で源泉かけ流しの椿の湯

道後温泉椿の湯

道後温泉本館から徒歩でほんの2~3分。椿の湯に辿りついた。
明治27年に建てられた本館と比べると、昭和28年の建築の椿の湯はずいぶんと近代的な建物に感じる。それでも「椿の湯」は道後温泉本館の別館としての位置づけである。道後には多くの温泉宿があるが、「完全源泉掛け流し」なのは、『道後温泉本館』と『椿の湯』だけである。椿の湯の裏には源泉を管理する施設が隣接している。ここの湯でも、道後の源泉をしっかりと楽しむことができる。

椿の湯の湯釜

道後温泉本館の浴室を模したとすぐわかる椿の湯の浴室。その一番の特徴である「湯釜」がここにも設置されている。湯釜には、司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」の主人公のひとり、松山出身の俳人・正岡子規の句が記されている。

椿の湯洗い場

椿の湯も、平日の朝一番にも関わらず、地元の方が多く訪れていた。本館ほどではないにせよ、こちらも時代を感じるレトロな浴室だ。椿の湯は本館と違い、浴室は男女ひとつずつしかない。本館は男風呂3、女風呂2もある。しかしそのぶん、浴室も湯船もとても広い。天井がとにかく高く、解放感がある。冬の冷気の中に立ち上る温かな湯気が、その広さを覆い隠してしまっているが・・・
椿の湯は重要文化財に指定されている本館と違い、多少手を加えることが可能なようだ。その為、本館にはない浴室への手すりがあるなど、椿の湯のほうがバリアフリー化は進んでいる。

椿の湯湯舟

本館よりもやや浅いが、それでも湯船は深い。お尻をつけると、顔の半分まで湯の中に埋もれてしまいそうになる。たっぷりの湯の中に浸かるスタイル。それが「道後の湯は熱い」とよく言われる所以かも知れない。それでも真冬の温かな湯はとても気持ちがよく、全身で掛け流しの湯の温かさと気持ちよさを楽しむのは、何事にも変えられない贅沢だった。

道後温泉本館

椿の湯でも源泉掛け流しを楽しみ、しっかりと温まった。お肌が明らかにツヤツヤ・ツルツルになっているのがわかる。とても気持ちがいい。
ロビーには道後温泉本館の大きな模型が展示されている。とても手の込んだ、精巧な造りだ。道後温泉本館は、幾重にも複雑に純和風な建物が組み重なったとても不思議な建物。まるで異世界に迷い込んだようで、おとぎ話に出てきそうな建物だ。それゆえに、宮崎駿監督・ジブリ映画の”’「千と千尋の神隠し」”’の舞台『湯屋』のモデルになったと言われている。事実、道後温泉本館の目の前には「ジブリショップ」があり、そんな逸話が本当のことだと裏付けているようにも思える。
さて、椿の湯の外に出ると、さっきまで真っ暗だった空はすでに明るくなっていた。それでもまだ静かな湯の町を、泊っている宿であるへの道を急ぐ。湯上りのおいしい朝食、これもまた、道後に宿をとった朝の贅沢のひとつだ。

椿の湯徒歩すぐの道後温泉の宿

道後温泉 椿の湯

場所:愛媛県松山市道後湯之町19-22
電話:089-935-6586
料金:330円、子供140円 (ロッカー代別途10円)
営業時間:6:30~22:30
定休日:無休
駐車場:100台(道後温泉本館横の駐車場利用。入浴客1時間無料、その後30分100円)
風呂:男女別内湯各1
設備:シャワー、石鹸(シャンプー・リンス・タオル・ドライヤーは有料)
効能:源泉かけ流し
   神経痛・関節痛・筋肉痛・五十肩・運動麻痺・うちみ・くじき・慢性消火器病・痔・冷え性・疲労回復
開設:昭和28年

【投稿時訪問日時 2009年12月】

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