玉川湖 【水没した龍岡小学校遺構】

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愛媛県松山から今治に向かう山越えルートの国道317号線。その山の中にあるのが「玉川湖」だ。玉川ダムで堰き止められた、ダム湖である。玉川湖は愛媛県の桜の名所。1500本も桜があり、春は花見客でとても賑わう。また、ボート競技のフィールドでもあり、大学の端艇部がここでよく練習をしている。そんな玉川湖に普通に秋の週末に訪れた。

無料でロケーション抜群のキャンプ場はかつての小学校校庭跡

龍岡小学校跡

玉川湖には無料の「龍岡キャンプ場」があり、バーベキューやピクニックを楽しめる場所でもある。そのキャンプ場の端、池のほとりが我が家の花見ポイント。ここでレジャーシートを敷いて、秋のピクニックを楽しもうと思った。ダムができると必ず水没する村がある。この玉川湖も例にもれず、小学校や神社が水没している。玉川湖畔には「龍岡小学校」がかつてあり、その校庭跡がキャンプ場として現在整備されている。
ふと玉川湖を見ると、随分と水が引いている。普段はフェンスのすぐ近くまで水があるのだが。せっかくなんで、水が引いた湖でピクニックしよう。そう思い、湖の中に入っていく。

渇水時に現れる湖に沈んだ小学校の遺構

龍岡小学校跡と玉川湖

水が引いた玉川湖。湖畔まで寄ると、そこには不思議な構造物が・・・

龍岡小学校跡と玉川湖

水が引いた湖底には、いろんな遺構があった。おそらくここが、水没した龍岡小学校の跡なのだろう。一番奥の大きな基礎が校舎、この手前の小さな基礎はトイレだろうか。

龍岡小学校跡

遺構の中でも原型をとどめていたのが手洗い場。はっきりとその形を見る事ができる。井戸のようなものも残っている。普段はこんな遺構が水の中で眠っているなんて、にわかに信じられない。遺構大好きの僕は、ピクニックと家族ほったらかしで探検開始。

龍岡小学校跡

校舎後と思われる遺構。昔の写真を見ると、校舎は木造。おそらく木造部分は撤去され、壊すのに難儀なコンクリートの基礎部分だけ放置されたうえ、水没したのだろう。僕が大好きな別子銅山の遺構も、建屋部分が解体や焼却処分され、コンクリート基礎や石垣・レンガ組みの部分だけは放置されている。これが人間がその生活の場を放棄する時の昭和時代の手法のようだ。遺構の向こうにはボート競技で使うブイが浮き、若者がボートを漕ぐ練習をしている。どうやらここで国体大会のボート競技も開かれるようだ。昭和時代のかつての人々の生活の場が、平成の世にはボート競技の場所になっている。随分と不思議なものだ。

水の中で眠っていた過去の生活の痕跡

玉川湖

玉川湖は標高1200mを越える山々からの水を集めた透き通った湖。この湖底にもまだ、いろいろなかつての生活の跡が眠っているのだろう。もっと水が引くと、川にかかっていた石橋も姿を現すそうだ。

渇水期の玉川湖

おそらく昔の川岸がこのあたりだったのだろう。ダム湖の端を過去の流れが川となって現れている。この付近にも小学校の手洗い場などの遺構が多数残っている。崩壊した給水タンクを乗せていたようなコンクリートの構造物はどこか哀愁を感じる。

玉川湖の龍岡小学校跡

焼却炉と思われる遺構。以前はここには火をくべられ、煙を立ち上らせていたのだろう。しかし今は川の中に沈み、少しずつ水に削られて朽ちていくのみ。

玉川湖に沈んだ龍岡小学校跡

湖底は一面の干上がった不毛の世界。稀に見ぬその景色に娘も興味津々だ。木の棒でそこらを穿り返してみたり、歩き回ってみたり。干上がった湖底は、大人だけでなく、3歳の好奇心に火をつけるには十分なワンダーランド。何度もこの玉川湖は通っているが、水没した遺構を見たのは初めてだった。いつも湖畔まで立ち寄るのは花見の季節だけだからだろう。夏などの渇水期に寄れば、昔の集落の跡まで見れるかもしれない。季節によっていろんな風景を見せてくれる玉川湖。桜の春以外の楽しみをこの湖に見つけた瞬間だった。

玉川湖の近くの山間にある名湯・鈍川温泉

【今治のホテル・宿一覧】

玉川湖(竜岡キャンプ場)

場所: 愛媛県今治市玉川町龍岡下
電話: 0898-55-3092(玉川湖畔の里)
交通: 西瀬戸自動車今治ICより車で約20分
料金: 無料
駐車場: 約多数(竜岡キャンプ場や今治湖畔の里を利用)

【投稿時最終訪問 2012年9月】

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